04465.里帰りその8
最初に感じたのは、異常な魔力の動き。
部屋に漂っていた自然の魔力が、どこかへ引っ張られるかのように流れ出したのだ。
魔法のない世界だというのに、明らかに人為的なものだった。
常人ならば、微震か何かと勘違いしただろう。感知の得意な魔法使いでも、異常は感じ取れても詳細までは掴めなかっただろう。ただ、私は常人でない魔法使いな上に、こういう異常事態に慣れていた。
生まれ持った読む技術と勘の鋭さで、この流れを上手く掴めていて――だから、対応ができた。
もうお義母様とはテレビの前で隣り合って、ゲームをしていない。
リビングではなく、玄関に繋がる廊下にて、いま、向かい合っている。
そこで私は、マンションに魔法陣が展開されたことを確信しつつ、その中心部にいるであろう想い人の名を零す。
「……この魔法陣の対象は、やっぱりカナミ?」
魔力の流れていく先に、視線を向けた。
方角は真上。
他階で魔法陣の危機に晒されているカナミを心配する私に、お義母様は――アイカワノゾミは驚いた顔を見せる。
「方角まで、分かるものなのね。私では、薄らとしか感じられないのだけど……。もしかして、これがどういう代物なのかまで分かるのかしら?」
魔法陣が自分たちの仕込みだと、隠さなかった。
その上で敵意なく、純粋に聞いてきた。
私も隠すことなく、敵意もなく、その話に頷きながら、答えていく。
「うん、分かるよ。だから、色々と気になるな。魔法陣でカナミを捕まえて、それからどうするつもりなの?」
「どうするも何も。ただ、親子の大切な時間を伸ばすだけよ? もう少しだけ説得がしたいの、私たちは」
何でもない談笑のように、答えは返ってくる。
この状況はアイカワノゾミにとって、テレビゲームの延長上でしかないと思わせる余裕を感じる。
ただ、こちらはそうもいかない。
先ほどから、異常に身体が重い。
魔法陣の対象に、私も巻き込まれているのだ。
対面しているアイカワノゾミが無事なことから、対象の条件は『魔法使い』か『魔力持ち』あたりの可能性が高い。
こういった条件による魔法使いへの妨害は、私たちの世界でもポピュラーだ。
ただ、こちらの世界で発動してしまえば、話は少し変わる。
私とカナミの二人だけに特化した超限定的な結界となってしまう。
その別世界からやってきた異物を追い出すような結界は、話に聞く『身じろぎ』のようだとも思った。魔法陣の造りと異常性から、例の『世界』の協力があってもおかしくない。だから、これは本当に特別で、意地悪で、念入りに準備された素晴らしい魔法陣――
こんな魔法陣の下で、普通の説得など行われるわけがない。
間違いなく、カナミは強硬手段に出られている。
そして、その強硬手段を通せる確信が、このカナミの両親たちにはあるのだ。
私たち相手でも通用する切り札となると、普通に魔法が使えると思ったほうがいい。それも、二人は本当の『魔法』まで届いていて、その効果は向こうの目的から考えると、おそらく――
「ふ、ふふふっ。まーた洗脳魔法かぁ……」
お馴染みの答えに届いてしまって、私は笑いが堪えられなかった。
その私の独り言を聞いて、驚いていたアイカワノゾミの顔が引き締まる。ただ、すぐに柔和な顔つきで、談笑を続けていく。
「……たったこれだけの情報で、そこまで読めるのね。凄いわ、ラスティアラちゃん。ただ、いつも言っているけれど、人聞きが悪いわよ? 私たちは親として、家出した息子を、ほんの少し教育し直すだけ。進さんも言っていたでしょう? 昔のレッスンをし直したいって」
「でも、その教育って、絶対魔法込みだよね? そういうのって私も経験あるから、余りいいイメージないんだよね……」
「別に、変な魔法は使わないわ。ただ、私たちを好きになって貰う素敵な魔法よ?」
「私の生まれたところの偉い大人たちも同じことを言ってたけど……結局、どれもこれも碌でもなかったよ。だから、私は騙されない!」
「でも、その碌でもないのが大好きなんでしょう? 騙されたがりのラスティアラちゃん?」
「――――っ! ぐっ、うぅっ……」
確かに、嫌いじゃない……。
嫌いじゃない展開だが、好き嫌いだけで道を決めないと、私は決めたのだ……。
そう必死に頭の中で抵抗しているが、先ほどから上手く思考が働いてくれない。
この意識が朦朧とする感じは、《スリープ》系の魔法を思い出す。
リビングにあった玩具の模造刀を折って尖らせて、手の甲を傷つけて気付けにしているが、もう一度強く押し当てよう。
ぐりぐりと流血させて、この状態異常の悪化を防ごうとする――が、その自傷行為には、ストップがかかる。
「それ以上は止めなさい。確かに私は睡眠薬を盛ったけれど、限りなく導入剤に近いものよ。それだけ痛みがあれば、気付けには十分過ぎるわ」
睡眠薬と導入剤とやらの違いは分からないが、盛られた眠りを促す薬は軽いものらしい。
アイカワノゾミは心配そうな表情で話を続けていく。
「あなたが疲れ果てるまでゲームを楽しんで、美味しい料理でお腹いっぱいにすれば、この薬だけで十分に無力化できると思ったのだけれど……。なかなか上手くいかないものね」
そう言って、視線を私の後方にやった。
廊下の奥のリビングには、途中で放り投げられたゲームが散らばっている。
先ほどまでの最高に楽しい時間を思い出しながら、口を尖らせる。
「お義母様、ぜーんぶ嘘だったんだね。私と一緒に楽しそうに遊んでいた時間も、全部」
「全部は語弊があるわ。久しぶりに童心に帰れたのは確かよ?」
「そんなこと言いながら、ちゃんと魔法を知ってたくせに。たぶん、普通に使えるんだよね? ……私の魔法ショー、あんなに驚いてくれてたのも嘘だったんだ」
「私は魔法を練習しても使えなかったのよ。だから、ラスティアラちゃんのレベルの高い魔法は、心から驚いていたわ」
「嘘ばっかり。くだらないお遊戯だって、本当は思ってたんでしょ」
「そう拗ねないで。……馬鹿になんてしないわ。お遊戯が上手いのは、とても大事なことだもの。これから、私の娘として生きていく上では、特にね」
とりあえず友人として、チクチクと文句を言ってみた。
だが、ずっとアイカワノゾミは心外だと首を振り続けている。さらに微笑を浮かべて、その包容力で全てを受け入れていこうする。
「ラスティアラちゃん、決して悪くはしないわ……。ただ私は、あのティアラ・フーズヤーズの真似をしたいだけ。はっきりと言えば、少しの間あなたの母親代わりをしてあげたいだけなのよ……」
「お義母様が、ティアラお母様の『代わり』に?」
「いま、私は彼女と全く同じ気持ちよ。ただ、あなたたちには『こちら』に住んで欲しい。『こちら』を優先してほしい。『こちら』で生きて欲しい。ただただ『こちら』に欲しいっ、あなたたち息子夫婦が……!」
全ては家族愛ゆえだと、必死に訴えかけてきた。
その言葉を信じれば、ここで一旦眠りにつくのは悪くない道だろう。
ただ、それはティアラお母様の名前が出た時点で、全く信じられない道である。
「いや、まだなんか……、胡散臭いよ。これも、お義母様の『演技』な気がするな。勘だけど」
いまのアイカワノゾミは、カナミや大聖堂時代の親友を思い出す。
さらに言えば、いま手の甲から血を流したことで、この状況を私が戦闘と認識したことも大きいだろう。
少しずつ思考が研ぎ澄まされていくのを感じていた。
いま私は、ゲームをしているとき以上に興奮して、楽しくて、有り難がって――本気になれている。
ただ、その戦意をアイカワノゾミは嫌って、さらに柔らかく首を振る。
「『演技』じゃないわ。私は進さんと違って、そこまで『演技』は得意じゃないのよ……。どちらかと言えば、見た目で引っかけるタイプね」
「謙遜だね。お義母様からは、昔のカナミや私の先生レベルの『演技』を感じるよ。その『演技』は一流で……だから、私の望む『理想の母親の演技』だって出来る」
そう言い切って、絆されはしないと突き放した。
するとアイカワノゾミは、ゆっくりと微笑みを深める。
それから、軽く拍手してから、お礼を言う。
「そうやって褒めて貰えるのは嬉しいわ、ラスティアラちゃん……。でも所詮、私は一流止まり。この程度、大した技術じゃないわ」
「……そういう言い方をするってことは、お義父様のほうは超一流ってこと?」
「そうよ。でも、あの人も所詮、一流の中の一流止まり。『一番』には、なれていない」
「『一番』……、『一番』かぁ。こんなにいいところに住んで、あんなにいいものを食べてるのに、まだ目指すの?」
「ええ、目指すわ。生まれ持って恵まれているあなたたちには分からないかもしれないけれど、私たちはこういう生き方しかできない生まれなのよ」
そう言い切られる。
その迷いのない毅然としたアイカワノゾミの姿は、なぜか美しく見えた。
いま、やっとカナミの言っていた「格好いい」という言葉の意味が少し分かった気がする。
それはバイタリティといった話だけじゃない。
どれだけどん底に落ちても、決して諦めない意志が美しいのだ。
むしろ這い上がり甲斐があると、逆境で活き活きし出す姿は、まるで物語の『主人公』のように格好良くて――
あと単純に、私の親友ラグネちゃんに似ている。
つまり簡単に言ってしまえば……、好みなのだ。
こういう人が、私は大好き過ぎる……。
その好意を読んだのだろう。アイカワノゾミは呆れながら、余裕を持って好意を返していく。
「……この状況で未だ、その顔なのね。やっぱり、あなたっていいわ。まず理解がいい。『演技』の感性もいい。温いようで、善悪の基準が冷徹。本当に何もかもが、とてもいい……。もし私の娘でなければ、いますぐ殺したいくらいに、いい」
ただ、その好意には殺意が混じっていた。
致死性毒のような嫉妬も滲んでいる。
その好意の配合は、私にとって本当に美味しくて、心地よくて、堪らない。
しかし、いまは敵対者なので、その非人道的な扱いを一応拒否しておく。
「モノ扱いかあ……。お義母様といえど、誰かのモノになるのはちょっと遠慮させて欲しいかな?」
「モノじゃない人なんてないわ。常に人は何かの支配を受けてる。それは親、金、力……、『異世界』風に言うならば、運命の糸かしら? あなたにとっては、いままでと何も変わらないことじゃないのかしら? ちょっと私がティアラさんの代わりになるだけよ? 本当に駄目?」
「それは確かに……、まあ、そうだけどさ……」
その素敵な提案に、ちょっと私は揺れてしまう。
先ほどから、アイカワノゾミの言葉は私の心に刺さり過ぎている。
後日談に入って微温湯に飽き始めている私にとって、アイカワ夫婦との敵対は……、悪くない。
新たな強い敵に抗いながら紡いでいく物語は、とても魅力的だった。
いま提案された通りの未来を進めば、きっと人生が楽しくなるだろうなとも確信できる。
ああ、本当に……。
本当に、『理想の母親の演技』が上手い……。
そう思っている私の表情も読んで、アイカワノゾミは答える。
「本当に、悪くないって顔をしてるわね……。ちょっとびっくりするわ。交渉しやすくて、こっちは助かっているけれど……」
「いえ……、ごめんなさい、お義母様。そのお誘いは、やっぱり悪いです。また新しい世界で『冒険』をしたいと飢えてる私とカナミにとって、それは……最高過ぎて、悪いんです」
「最高なのに……、悪い?」
丁寧な敬語を使ってでも、その魅力的な提案を私は突き放した。
先んじて、軽く想像する。
アイカワ夫婦の洗脳の下、こちらの世界で活動する私とカナミの姿だ。
魔法という優位性を利用すれば、この科学中心の社会を簡単に上がっていけるだろう。ただ、全てが理想通りとはいかないはずだ。それは私とカナミには、頼りになる仲間たちがやってくるから――ではなく、もっと単純な理由だ。単純な理由で、とても最高な未来になってしまう可能性が高い。だから――
「その未来は私にとって、楽し過――いや、危な過ぎるので、ごめんなさい。私はカナミのところまで、助けに行きます。いますぐにでも」
「…………。素直ね。本当に最高だって思ってて、その上で断ってる」
「これでも、向こうでたくさん学んだので……。意外に大人なんです、私」
「みたいね。そういうイメージは持ってなかったから、本当に意外だわ」
と言っても正直なところ、提案を蹴った一番の理由は「マリアちゃんに怒られるから」だろう。
あれだけ口を酸っぱくして「大人しく隠居しろ」と言われていたのに、ちょっと目を離した隙に洗脳されていたら、今度こそガチのレベリング地獄を味わわされる。
先ほど少し想像した未来群の中でも、マリアちゃんたちと争うことになるパターンは多かった。軽く手足の一本二本を奪ってくれる仲間たちが、最高の表情をして、私と戦ってくれるのは――我慢して、みんなとの合流を優先する。
だが、その合流の一歩目であるカナミへの道が、いま塞がれている。
アイカワノゾミは出入り口のドアを背負い、決して通さないと意思表示し続けている。
「行かせないわよ。これでも職業柄、護身術は得意なの」
余裕を持って、微笑んでいる。
ただ、アイカワノゾミは間違いなく、私より動けない。
所詮、平均成人女性よりも少し『体術』ができる程度だ。
女優業としての心構えを教えられた一環で、スタンガンを持っているという話は聞いているが、あれは『演技』中の情報なのでミスリードだろう。
隠し持っているのは、魔法道具の可能性が高い。
いや、高位の魔法を連発してくると想定したほうがいいか。
出会ったとき、魔法は使えないのは『ステータス』で確認済みだ――が、いまここで、魔法を使えるようになるだけのセンスが、彼女にはある。
と未来の義母の才能に喜ぶ私を焦らせようと、アイカワノゾミは舌戦をしかける。
「ラスティアラちゃん、まだ動かないの……? 出入り口を抑えて時間を稼いでいれば、すぐに進さんと渦波がやって来てくれるから、私は構わないけれど……」
「いやあ、もう考えるの面倒臭くなってきたから……、動くよ。ただ、もっとたくさん話せば良かったなあって思ってさ」
「お話? それなら、まだ遅くないわ。もっともっとお話をしましょう? リビングでゲームを楽しみながらなら、私は拒否しないわ」
「そうだね。まずは一度、リビングに戻って――」
そう言いつつ、私は後退っていく。
それをアイカワノゾミは追いかけない。
いまの「お話をしましょう」は口だけで、出入り口を塞ぐことを優先している。
…………。
やはり、アイカワノゾミは『異邦人』を相手にしている実感と経験が足りていない。
私たちから聞いた剣と魔法の世界の物語も、情報として読んだだけで、『行間』は全く読んでいないのだろう。
だから、私が二歩三歩四歩と距離を取っていくのを、気軽に見送ってしまった。
十分な距離を得た私は勝利宣言する。
「お義母様、『異世界』だと出入り口にドアなんて使わないんだ。想像してるよりも、もっともっと『異世界』はアニメチックで、とにかくゲームっぽいんだよ――!」
だから、全部終わったら、またお話をたくさんして、ついでに寝ずのアニメ上映会をしよう。
そう願いながら、私はアイカワノゾミに背中を見せて、駆け出した。
廊下を戻って、リビングのテーブルやチェアを跳び越えてから、そのまま綺麗な一面張りのガラス窓に向かって、飛び蹴りを放つ。
「――――っ!? こ、ここが何階だと、思って――!」
後ろから、焦り呼び止める声が聞こえた。
しかし、振り返ることなく私は、ガラス窓を破壊しつつ外に出て行く。
その外とは、マンションの外。
夜の都会の宙。上空150メートルほどに飛び出て、澄んだ空気を一杯吸い込んだ。
ああ、気持ちいい。
天に輝く月明かりを浴びることで、私は身体が軽くなるのを感じる。
魔法陣の力が弱まった。
やはり、その効果範囲は限定的で、マンション内のみだったようだ。
魔法陣の縛りから解放されたことで、私は自信をもって魔法を構築できる。
「――《グラヴィティ》」
まずは得意な星属性の重力操作を(と言っても、本当に得意なのはノワールちゃんの身体なのだが)行う。
私の周辺が重力に捕まらないように、落下を停滞させた。
加えて、こちらは余り得意ではないが――
「――《ワインド》」
風魔法で、飛び出た方向とは逆に突風を吹かせる。
いま砕け散ったガラス片が下に落ちるのは危ないので、纏めてリビングに送り付ける。
それは追ってくるかもしれないアイカワノゾミの出鼻を挫けて、一石二鳥。
さらに言えば、風で宙にいる私の方向転換も行えて、一石三鳥。
アニメで使われていた慣用句を使えて私は満足しつつ、空中を蹴るかのように上昇してから、別階層のマンションの壁に張り付いた。
外側の壁はガラス張りが多いが、出っ張りは多くある。
高さゆえ夜風は強く冷たく、手はかじかむ。
しかし、私の『筋力』と経験があれば、登攀するには十分過ぎた(というか、スカイツリーで出来なかったことが出来る建て前を得て、内心凄く嬉しい)。
すぐさま、私は器用にマンションの壁を登っていく。
目的地は上だ。
つい先ほど、カナミは部屋を出る前に「外を展望しながら、酒が飲めるフロアがある――」とアイカワススムと話していた。
魔力の流れを感じるまでもなく、おそらく一目で分かるレストラン専用の階層があるはずだ。
その階層まで急ぐ途中、下から声が聞こえてくる。
「……ラスティアラちゃん。確かに、私が甘かったわ。でも、それはどちらかというとアクション映画じゃない? 私は恋愛ドラマ専門だから付き合えないわ――」
耳の良い私は、そのアイカワノゾミの呆れた独り言を聞くことができた。
どうやら、向こうはジャンル違いを理由に、マンションの中を通って上階に向かうつもりのようだ。
壁を伝いながらのバトルがなくなったのを残念に思いつつ、呟く。
「お義母様、ごめんなさい……。私もお義母様と戦いたかった。けど、そのお義母様たちのためにも、いまは急げ急げ急げぇー……!」
早く行かないと、本当に危ない。
私の予想が正しければ、簡単にカナミは洗脳できる。
その類の状態異常の耐性が非常に低いからだ。
だから、急いで助けに行かないといけない――とアニメのワンシーンのように、助けを急ぐ私の手には、例の人気アニメ主人公の武器が握られていた。
壊れた玩具の剣だが、魔法で強化していれば出っ張りに引っかけるのに結構便利だった。
――魔法で強化された壊れた玩具の剣。
私らしい武器を手に苦笑しつつ、急ぐ。
ただ、先ほどから視線が「いや、おまえは『主人公』要素、全くないからな?」と言っているような気もするが――それでも、私は誰よりも『主人公』のつもりで、カナミの下に向かって行った。
予定のプロットだと、両親編は父親である『相川進』だけにスポットを当てて、母親の描写はゼロでテンポを良くする予定でした。
すみません。この話は飛ばしても良かったのですが、後日談なのでまったり描写させて貰います。後日談に入る前は絶対仲が悪いと思った嫁姑ですが、書いてみると意外に気が合っていて楽しかったのが理由ですね。




