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第2話 朱色のセカイ その2

・・・何を考えているのだ!

少しばかりカッコいいからって本性はあれだし!

どうせ掃除だって手伝ってはくれないだろうし!

私は可愛い男の人が好みだと確認したじゃない!

今日は意識してしまうが、それは変な話を聞かされたからだ。

さっさと終わらせてさっさと帰って忘れてしまおう。

もしバレてしまったら永遠に笑い話にされてしまう。

考えるだけでもおぞましい。

最後に1つ溜め息をつき、気持ちを入れ替える。

うん、もう大丈夫だ。

いつのまにかヤツは日誌も書き終わって外を眺めてる。

・・・少しイライラしてきた。

そもそも、掃除は2人でやるもんでしょうが。

女の子にまかせて1人ぼーっとしてるなんて酷い野郎じゃない。


 「あのさぁ。あんたもやってよ掃除。」


なんて不満そうな顔。

誰のせいで私がこんなに苦しんでると思っているんだ。


 「今思えば、分担内容が不公平でしょ。」


反応はない。ただ、見つめられるだけ。

夕日が差し込み綺麗な朱色の瞳。そこに写る自分。

心拍数があがってるのがわかる。どきどきしてるんだ、今。

なんでこんなに意識してしまうんだろう。変なことを考えてしまう。

・・・くそう!負けじと睨み返す。


 「・・・なんか言いなさいよ」

 「赤いセロファンを通してるみたいだなーと」

 「は?」

 「ほら、今日は夕日が綺麗じゃんか。世界が赤いなと思ってたら

  誰かさんも顔も真っ赤で、思わず見とれてたんだよ」


・・・っ!見とれてたって何!何で!誰に!

一瞬で顔の血が沸騰してしまったようだ。

思わず伏せてしまった顔を上げることが出来ない。

なんでこんな恥ずかしいことを平然と言えるのよ・・・!

まさか、本当に・・・想われている・・・とか。

耳元で心臓が響いてる。

そもそも、私はなんでこんなに過剰な反応してるんだろう。

分かる気がするが、分かりたくない。


 「なんで平気でそーゆー事言えんの?」

 「普段から言い慣れてるからじゃないか、知ってるだろ」


知らないわよ!・・・言い慣れてるの?誰に!

だから私にも平気で言えるの?

何で私は怒ってるのだろう。何に対して怒ってるのだろう。


 「・・・誰にでもそんなこと言ってるなんて外道だね。」


そんな台詞は大事な人だけに言ってあげるのが普通じゃないの?

私はこの外道に笑いものにされてるだけなの?

ならいつもみたいに冗談だ、落ち着けよって言ってよ!


 「彼女にだけ言ってあげなよ、そーゆーのは!」

 「彼女が居れば是非」

 「・・・居ないのは知ってるよ」

 「知ってたら俺が驚くな」

 「・・・だからって、あたしにそんな事言わないでよ!

  変に勘違いしたらどうすんだバカ!」


相手が変に冷静なせいで逆に興奮してしまう。

いつもそうだ。自分で何を言っているか、もうわからない。


 「何を?」

 「何をって・・・何がよ」

 「何を言われたら、どう勘違いすんだ?」


顔は熱くて、興奮して、怒ってるか恥ずかしいのか分からない。

なのに

質問に答えようと落ち着いてしまった。

どう勘違いって言るはずないじゃんか!そんなこと!

また俯いてしまう。恥ずかしさで死んでしまいたい。


 「・・・うぅ・・・」


言葉にならない呻き声しか出てこない。

恥ずかしい!恥ずかしい!

なんであんな事言っちゃったんだろう・・・

もうだめだ、おかしくなってしまう。

逃げよう、逃げてしまおう。


 「・・・元はといえばあんたが!」


こそこそ私を盗み見してるから変な噂がたってる。

そう言おうとした言葉は続かなかった。

言葉と同時に指差そうと振り上げかけた手が机のカドに直撃した。


 「いっ・・・たぁー」


何やってるんだろう私。カッコ悪い。痛いし。

もう泣いてしまいそうだ。

笑えば良いじゃない。ゲラゲラと。

そうすればすっきりするから。私もきっと笑えるから。


 「おいおい大丈夫かよ。手、痣できてないか?」


なんでよ。なんでこんな時に優しくするのよ・・・。

私は笑って欲しいのよ!

今の、笑うタイミングじゃない。馬鹿にするタイミングじゃない。

・・・涙はもうこぼれかけてる。

なんで?我慢できそうにない。

恥ずかしいのに。痛いのに。

苦しいのに。悔しいのに。

凄く、嬉しかったんだ。

心が震えてしまった。


もうダメだ。

こいつ許さない。

泣くぐらいなら殺してしまおう。

ぶっころす!

私を心配して近づいてきた間抜けに全身でタックルをかます。


 「ぐへっ!」


床に叩きつけ、馬乗りになる。

凄い音がしたが気にしない。

・・・なんか眼の焦点がずれてるが今の私にはそれどころじゃない。

こいつをやっつける方が大事なのだ。


 「あんたさぁ・・・あんたさぁっ!」

 「あたしをおちょくりたいんなら変に優しくしないでよ!

  バーカって笑えばいいじゃない!なんでよ?なんで?」


やっつけるハズだったのに力ははいらず

出せるものは涙と質問の言葉だけ。

いつもみたいに殴れば良いだけなのに。

分かってしまった。

こいつの事、好きだ。今の私じゃ倒せそうにない。


 「・・・ごめん」


なんでこんなことになっちゃったんだろう。

いつから好きだったんだろ。こんな可愛げのないやつ。

あぁ、でも終わったよね。

私、凄く嫌なやつだ。

もう顔を見る勇気もない。

力入らないけど、すぐ逃げないと。

これ以上嫌われたくない。

一人になりたい。帰ろう。帰って寝よう。

逃げてしまおう。潰れてしまう。


 「好きだから・・・かな」


その意味がわからなかった。

私に優しくしてくれた理由?

好き、だから?

私を?本当に?こんなことされても?


 「…え…っあ…冗談・・・だよね?」

 「あぁ」

 「死んでしまえっ!」


意味が分からない。

やっぱりころす!今ならやれる!

しかし、振り上げた拳は止められる。成功されたようだ。


 「冗談だよ」


そう言って彼は少し照れたような、いつもの顔ではにかんだ。

バカ・・・本当に死んでしまえ・・・

手は握られたまま。離してくれない。

ダメだ。涙が止まらない。嬉しい、んだよね。

彼と目が合う。

今の自分はきっと、泣きながら笑う酷い顔。

慌てて顔を背けられた。

夕日はもう沈みかけていたけど、しっかり見えた。

照れて顔真っ赤な彼の顔。


 「・・・意外に可愛いじゃん」


この瞬間の2人のセカイがいつまでも続きますように、そう願った。

ここで彼女が見たセカイは終了です。


次回はBoy's Side

この朱色のセカイ。

彼にはどんな色に見えたのか。


もし宜しければ、続けてお付き合い下さいませ。

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