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第1話 朱色のセカイ

ふと顔を上げると

夕日が教室を赤く染め始めていた。

教室に居るのは私と彼。

教室に響くのは私の箒の掃く音。

私の世界はこれだけだ。

自然と溜め息がもれる。これで何度目だろ。

考えも止まらない。答えも、まだでない。






今日の日直は私と彼の2人。

日直は毎回ペアが変わるので

次の機会には別の人と組むことになるだろう。

彼との付き合いは決して浅くはない、と思う。

出会いなんてもう覚えてない。

何度も喧嘩して

何度も心の中で謝って。

腐れ縁ってのが正しいのかな。


性格はよく分かってる。

優等生面してるけど、ほんとうは口ばかり回る嫌なやつだ。

むかつくことに口で勝てた試しがない。

私は口より先に手が出ちゃうタイプ。

実際に我慢できず手を出したこともある。

余裕の表情で受け止めるか、失敗してそのまま殴られる。

前者はそれがまたむかつく。ので足が出る。

後者は物足りないけどあまりのカッコ悪さに力が抜ける。

何度殴られても懲りない。

きっとMなんだと睨んでいる。


今日の日直も何かあれば怒れる分、気楽なぐらいだった。



しかし昼休み、

いつものグループと昼食を食べている時のこと。

友人が授業中、私をちらちら見ている彼を目撃したというのだ。

彼の席と私の席は横が同じ列だ。自然に目に入る位置ではない。


好きなんじゃないのか?彼、意外とかっこいいよね。

偶然じゃないの?本当に私を見ていたの?

彼の人気は悪くないよ?告白されたらどうするの?


話はどんどんヒートアップし、散々からかわれ

その熱を保ったまますぐに別の話に逸れていった。


・・・そもそも、私は可愛い男の子が好きなのだ。

私にしてみればからかわれるネタを探されてたんじゃ・・・

なんて自分の行動を思い出しハラハラするだけで

皆と一緒に黄色い声をあげる余裕はなかった。



午後の授業。

視線を感じる。

誰だ・・・なんて確かめなくても分かる。

きっと友人達が興味本位で眺めているのだろう。

監視されるなんて良い気がしない。

全部彼のせいだ。

何かしら理由をつけてぶん殴ってやる・・・


だが、授業が終わる頃には飽きちゃったのかぐーすか眠ってる。

実は私も凄く眠い。

お昼ご飯の後の歴史の授業なんて、普段なら睡眠時間である。

私だって変に緊張しなければとっくに寝ていたね。

その緊張は解けてしまった。


瞼が重い。自然に閉じていく。

でも、あと数分我慢すれば授業も終わるじゃない。

まずは黒板をちゃっちゃと写してしまおう。

友人達のノートはきっと真っ白だろう。

写させてくれ、なんて頼まれるかもしれない。

どれぐらい焦らしてやろうか・・・


友人への優越感に浸る自分を想像していると

・・・世界が揺れた。

一瞬で現実に戻る。舟を漕いでいたらしい。

急いで横目で彼の方を確かめる。

自然に目を逸らされた気がする。

・・・油断した、見られた。

後でなんと言って笑われるか、考えるだけでも気が重い。

もういいや、寝よう、寝てしまおう。

頑張ろうなんて思わなければ・・・

ひどく後悔しながら私は意識を放り投げた。




 「おい、そろそろ起きとけよ」


彼の声がする。目が覚める。夢じゃない。現実だ。嫌な予感がする。

顔を上げると授業は終わり、皆帰ろうとしている。

またもやってしまった。自分の失態に気付き一気に覚醒。


 「・・・なによ」

 「起こしてやったのにそれかよ」


何も言い返せない。恥ずかしさで顔が燃えてしまいそう。

逃げ帰ってしまいたいがそうもいかない。

私たちは日直なのだ。その仕事の分担の話をしにきたのだろう。


 「仕事の分担の話でしょ、さっさと決めて、さっさと終わらせる!」


しかし、彼は私の顔をじっと見つめている。

なんだか恥ずかしくなってくる。


 「・・・なんかついてる?」

 「頬に寝てた跡がな」


顔が沸騰しそうになる。突き飛ばしたくなる衝動を抑える。


 「しかし、今日は珍しく授業中寝ないと思ってたら

  最後の最後に寝たな、期待を裏切らないやつだ。」


誰の期待よ!なんて言いかえそうとして、気付く。

確かに今日は最後以外寝てない。でも、それを知ってるってことは・・・


 「まぁいいや。ちゃっちゃと決めちまおう。

  俺が日誌と・・・」


友人達の言葉を思い出してしまう。

そういえば、さっき見られた事も笑われてない。

ただ、見られてただけなんだろうか。


 「・・・をやるから、残りがそっちで大丈夫か?」


いや・・・まさか、ね。でも・・・もし・・・どうしよ・・・

顔が少しずつ赤くなっていくのが自分でも分かってしまう。


 「聞いてるか?」

 「ん・・・大丈夫」

 「ならさっさ終わらせるぞ。」


彼の事をどう思っているのだろう・・・嫌い、ではない。

じゃあ、もし・・・告白されたら・・・?

自分の割り振られた教室の掃除を始める。

考えで仕事が手に付かない。溜め息が出てしまう。

掃除はまだまだ終わりそうにない。

彼は仕事をてきぱきと終わらし、机に座り日誌を書いていた。

多分、あれが最後の仕事だろう。

夕日に照らされた横顔は悔しいが様になっていた。

慌てて目を逸らすと、また1つ、溜め息をもらす。


「2人のセカイ」Girl's Side その1です。

名前をつけるってのがこんなに難しいとは・・・


登場人物からタイトルまで一番悩んだんじゃなかろうか。

悩んだ結果、登場人物は名無しです。

読める内容でしたら、お好みの名前を当てはめて下さい・・・


そんな楽しみ方もできる小説、作れたらなぁ・・・

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