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勇者がいない人類の魔王軍との戦いの記録(北部王国軍参謀本部戦記)  作者: ゆーや
南部王国の陥落、南部王国軍の撤退そして
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day66(北部王国軍南部方面軍司令部)

 南部王国首都との連絡という南部方面軍最大の任務が終了し、参謀本部からは北部王国首都防衛のための防衛ライン形成を命じられた。



 魔王軍による圧力は日に日に強まっており、防衛線の維持も困難になりつつある。

 南部王国軍の併合こそしたものの、長きにわたった防衛戦や撤退戦のため疲弊が激しく、すぐに戦場に投入するのはためらわれた。ただそれは北部王国軍構成各部隊も同じで、かなり難しい情勢に置かれているが、難しい情勢なのは共和国からの撤退以来ほぼずっと変わらないことなので、今更ではある。



 次の防衛目標は北部王国首都になる。事実上、人類軍最期の防衛拠点であり、ここを失うともはや人類側の敗北が見えてしまう。まだ距離的には相当離れているとはいえ、参謀本部もこの考えが士気を直撃すると考えておりピリピリしている。南部方面軍司令部としても同じ見解を持っており、いかにして兵士の士気を保ちながら後退戦闘を続けていくかは難題である。



 不幸中の幸いは、北部王国領に入れば砂漠戦ではなく森林地帯での戦闘に移行でき、遅滞戦術をよりやりやすくなる。地形も自分たちが知り尽くしている場所であり、全体的に戦いはしやすくなる。補給線も首都から伸びているので、首都が近づけばそれだけ補給の問題も解消するという皮肉な見方もある。



 避難民の収容は組織的にはすでに行っておらず、竜騎兵がたまに拾ってくる避難民の保護をしている程度である。まれに南部王国軍の生き残りが合流してくることもあり、前線部隊が驚くこともある。前線部隊に対して戦線死守は命じておらず、後退が必要な場面があれば戦力の温存を優先し後退することも許可している。戦略的な目線はともかく、戦術的に守るべき目標もすべきこともないため、部隊の温存がもっとも重要な課題となっている。



 南部方面軍という組織自体役目を終えているため、東部方面軍との合流が可能となり次第吸収して消滅させるべきという考えも参謀本部に上申している。いますぐの話ではないが、目的を達しているうえに、首都に向かって後退しているのは我々も東部方面軍も同じのため、どこかで合流することになると予想している。それまでは正面の戦線をできるかぎり保持しつつ、各部隊の温存を続ける予定である。

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