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勇者がいない人類の魔王軍との戦いの記録(北部王国軍参謀本部戦記)  作者: ゆーや
南部王国の陥落、南部王国軍の撤退そして
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北部王国への道2 「女王付侍従」

 女王陛下の侍従の一人して、陛下のおそばについて数年。

 基本的に常に帯同しているため、国政に関する情報も耳に入る。

 魔王軍や、魔物というよくわからない単語を耳にする機会が日に日に増えたあたりから、不穏な様子は悟っていた。共和国からの連絡が完全に途絶したことや、この件について北部王国と協議するという過去に例がない話が舞い込んだ時も、粛々と仕事をこなした。



 女王陛下が首都に住む住民の避難、および軍の北部王国軍への合流指示を出したとき、自分には関係ないと思ったことが間違いだった。それから少しして、侍従長以下陛下の付き人全員が集められ、基本的に全員脱出して北部王国に向かうようにというお話をされたときは、通夜のような雰囲気になった。当然、全員が陛下と運命を共にすると言ったが、陛下は頑として受け付けず、命令として脱出準備を行うように下命された。



 しばらく誰も動けなかった。あの侍従長ですら、しばらく呆然としていた。あらかじめ話を聞いていたらしい近衛、親衛の両連隊長だけが正気を保っている様子だった。

 少しずつ皆が正気を取り戻し、事実を受け入れ悲壮な決意を胸にそれぞれの自室へ戻っていった。私も、もともと荷物はそれほど多く持っていなかったが、それでも全くないわけではない私物を少しずつ整理し、その日を待つこととした。



 軍からは、市民の脱出はすでに始まっているので、侍従の脱出もあわせて行うこと。

 全員同時脱出はできないため逐次行うこと。順番を軍では決めないので、侍従たちで決め、準備ができた者から避難に合流するようにという指示が矢継ぎ早に出された。

 気持ちの整理もついていない状況だったが、侍従長以下順番を検討し、翌日以降仕事の軽い者から脱出させる方針が伝えられた。



 私も、比較的軽い仕事が多かったうえに、身辺のお世話を中心に仕事をしていたのだが、首都が包囲されてからは陛下も作戦室にこもることが多くなり、身辺のお世話という仕事自体がなくなっていたため、脱出第2陣に選抜されてしまった。



 侍従としてお仕えして以降毎日着ていたメイド服を脱ぎ、脱出のとき動きやすい格好に着替え、わずかな荷物を携え、市民とともに軍部隊の警護を受け首都から退去した。家族とは宮殿に宮仕えするときにこちらから連絡を絶っており、いまでも行方はわからない。家族は首都に住んでいたわけではなかったので、元気であることを祈るしかなかった。



 北部王国への旅は、魔物に襲われる日々だったが、軍兵士のほかに、陛下の護衛をしていた侍従も一緒にいたし、市民にも戦える人が多くいたため、私は食事の世話などを中心にした。竜騎兵部隊の戦闘風景を見るのは初めてだったが、とても格好良かった。



 首都を脱出して6日後、北部王国軍への合流を果たした。皆、喜んでいたが、我々侍従職だったものは、沈痛な面持ちだった。これで陛下とお会いすることが二度と叶わなくなってしまった。

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