day59(南部王国首都の陥落)
もともと、地下水道網から魔物の侵入は許しており、厳格な防衛線を確保していたわけではないが、それでも城壁や城門は破られておらず、首都としての体裁は保っていた。
この日は、朝から東西南北4つの門すべてが激しい攻撃にさらされた。
特に首都防衛戦開始以来ずっと攻撃にさらされていた東門は、午前中には半壊状態となり、夕方には完全に破壊されるという情勢だった。
事ここに至り、女王陛下から南部王国首都の放棄と、南部王国軍残存全戦力の脱出、北部王国軍への合流が命じられた。
この急報はただちに北部王国軍南部方面軍司令部にも伝えられ、南部王国軍の収容を行うため、損害度外視で行けるところまで南進するようにという命令が出された。膠着状態だった前線部隊は一斉に南進を再開。第1、第2両軍団長も、ここが踏ん張りどころと部下を督戦した。
竜騎兵部隊も、南北連絡線形成、南部王国軍脱出の支援を行うべく、連絡任務ではなく最前線の戦闘に参加した。
事態の急転というところではあるが、こうなるのは最初から予想されていたことであり、あとはいつそうなるかという問題だけだったため、関係者はみな覚悟を決めていた。
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南部王国政府の最期は正式な記録はなく、宮殿はじめ政府機関は魔物に蹂躙されてしまったため、竜騎兵による偵察でも何も確認できなかったが、宮殿内部からもうもうと黒煙が上がり、宮殿が陥落したことはわかった。
南部王国女王は脱出せず国と運命を共にすると以前から公言しており、北部王国にもその旨通知していたため、救出作戦等は実行しなかった。できなかったという部分も小さくない。
南部王国軍の脱出は、結局組織的に行うことはできず、部隊単位に魔王軍の包囲を突破するという形になった。支援できるのは空中から戦うことができる竜騎兵部隊のみであり、北部王国軍が大損害を出しつつ南進することで収容部隊や収容避難民の数を増やすことはできた。
夕方には、首都内部の戦闘は散発的なものとなり、首都の外側で脱出部隊が包囲突破を目指して戦闘しているのが目立つ程度となった。
この脱出部隊の戦闘は日付が変わっても続き、以後数日間、北部王国軍も死に物狂いで救出作戦を実行し続けた。
章分けしているわけではありませんが、この南部王国首都の陥落をもって一区切りとなります。
まだまだ戦いは続きます。
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