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勇者がいない人類の魔王軍との戦いの記録(北部王国軍参謀本部戦記)  作者: ゆーや
南部王国の陥落、南部王国軍の撤退そして
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day57(南部王国軍第2混成旅団長(南部城門担当))

 数年前に軍を引退し首都で隠居生活をしていたところ、王国軍から動員命令を受け参集した。



 魔王なるものが姿を現し、魔物と呼ばれる輩が人を襲っているという荒唐無稽な話を聞いたときは、正気を疑ったが、首都が包囲されるに至り事実として淡々と受け入れるしかなかった。

 北部王国と連携して首都の避難民を脱出させているという作戦行動も自分の常識の埒外だったので、それほどの異常事態が起きているのだと理解した。



 現役だった頃は竜騎兵部隊の一指揮官として、空中戦訓練に明け暮れており、地上での防衛戦はからっきし苦手だったが、まわりからの圧力に抗うこともできず、3個混成旅団のうち南門周辺を担当していた第2混成旅団の指揮を執ることとなった。

 3個混成部隊の中で、一番寄せ集め感が大きいと司令部からは言われていたが、軍民の区別なく戦わざるを得ない状況でそんなことはどうでもよかった。

 私自身も武器を取り、城壁の上から魔物と直接剣を交えた。相手は人ではないので、誉も何も一切ない。



 南部城門は、北や東の城門ほど魔王軍の攻勢が強くなく、西門のような避難民脱出という重大な任務も背負っておらず、ただひたすら戦うだけの簡単にして困難な任務だけだったため、淡々と任務を遂行した。地下水路から侵入してくる魔物への対処を最も任されたのもそういう意味では必然だった。



 上層部からは首都は持って数日という話を聞いており、避難民の脱出ペースの加速指示と、総員に覚悟を決めるようにという伝達が出ている。

 王国軍主力は北部王国軍に合流するようにという命令が出されており、第2混成旅団にも移動命令が出ているのだが、すなわち城門防衛の放棄を意味するため、動くに動けないし、一緒に戦ってくれている市民を見捨てることなどできない。

 さりとて、上層部からの命令に逆らうわけにもいかないため、旅団の一部兵力だけ引き抜いて移動させる策を検討している。おそらく一両日中にはやらなければならないのだが、どうしたらいいか皆目見当がつかない。そうした緻密な作戦計画の立案を今までしたことがないという、自身の経験不足も相まっているので辛い。



 旅団司令部と参謀クラスは可能な限り北部王国軍に合流するようにと特に念押しされていることも、腹が立つところである。上層部が何を考えているのか正直理解できない。私はここで最期を迎えるつもりである。

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