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勇者がいない人類の魔王軍との戦いの記録(北部王国軍参謀本部戦記)  作者: ゆーや
南部王国の陥落、南部王国軍の撤退そして
59/122

day57(北部王国軍第1軍団長)

 北部王国首都防衛という最重要任務を担っているはずの我が軍団は、いつの間にか南部方面軍司令部指揮の下、元々南部国境を担当していた第2軍団とともに今は南部王国との連絡線形成に力を注いている。軍団長人事を拝命したときには想像だにしなかった展開である。



 最初は第2軍団に先を越されたことや、首都防衛という名誉ある任務を外されたことへの思いなど、さまざまな考えが自分含め軍団全体で錯綜していたが、実際に南部戦線に到着して全て吹き飛んだ。魔王軍という圧倒的な存在。いまは南部王国首都との連絡線形成がを任務としているが、この戦いが北部王国首都防衛戦の緒戦でもあるということを痛烈に感じてしまった。




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 最前線部隊指揮官である旅団長から、魔王軍の猛烈な抵抗で前進不能となり、その場で防衛拠点構築をするという報告を受けたときは、思ったより粘れたなというのが正直な感想だった。



 南部戦線で魔王軍との戦闘が始まってから、南部王国首都に近づくにつれて魔王軍の抵抗は激しさを増しており、首都に到達する手前で前進を阻まれるだろうことは割と簡単に予想できた。それから数日間はそれでも南進を試みたが、旅団長からついに前進不能の報告を受け、了解の返事を出した。



 そしてこれ以上南進不能という報告をそのまま上級司令部たる南部方面軍司令部に提出した。南部方面軍司令部と北部王国軍参謀本部、そして国王陛下の間で首都への前進をどこまで頑張るかで意見の相違があることは聞いており、自分がその議論に巻き込まれなくてよかったという安堵と、いったいどこまで要求されるのかという不安感があったが、結局前線部隊の意向が尊重されたようなので助かった。



 南部方面軍第二の任務である避難民の収容は順調に進んでいる。順調といっても具体的な目標があるわけではなく、とにかく目の前にいる避難民を安全に後送するだけなのだが、目の前に避難民を見ると思うところがある。特に、自分たちも将来こうなるのではという不安が、現場将兵にあり、士気という点で少々厄介な課題になっている。



 南部王国首都が陥落すれば、次は祖国北部王国首都をめぐる戦いが待っているということは誰でもわかることなので、祖国を追われる避難民という姿に自分たちの家族を投影してしまっていると報告を受けている。

 こればかりはどうしようもないが、前線指揮官にはそんな先の話より、今目の前の魔王軍に対処することに集中するよう命じている。

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