day56 (南部王国軍第2竜騎兵連隊長)
長年女王陛下の懐刀として陽に陰に活動してきた竜騎兵連隊にとって、今回の戦いは異例ずくめだった。
まず南部王国として魔王というものも魔物も理解できていない中、共和国への先行偵察を命じられ、結果をありのままに女王陛下以下王国首脳陣に報告したが、誰も信じてくれないという長い軍人生活で初の経験をしてしまった。
その後の戦いでは本来の任務である偵察に徹していたが、ひたすら押し込まれ続ける王国軍という見たくない景色を毎日見ていた。
さらに北部王国軍との連携作戦を模索するため、北部王国首都へ飛ぶように命じられるのも初だった。以後は第1の連隊長とともにあるいは交互に北部王国首都や、北部王国軍南部方面軍司令部へ毎日、日によっては複数回往復する任務が続いた。
国民を一人でも多く脱出させるため部下の竜騎兵ともども避難民の輸送も担った。一回に運べる人数はたかがしれているため、主に王国として優秀な人材や、後継者として血を絶やすことが惜しい人物を中心に運んだ。眼下では両王国軍が魔王軍と激戦を繰り広げているようで、あまりいい戦況になっていないのを見続けた。
女王陛下が南部王国軍の主力部隊を北部王国軍に合流させるよう命じたとき、南部王国軍内では罵詈雑言が飛び交ったと聞いているが、私はある程度予想していた。というより北部王国との往復の過程で女王陛下に謁見する機会がとても多く、陛下がそのように考えているのを感じ取ってしまった。
特に我々竜騎兵部隊は北部王国軍にはない部隊であり、その希少価値がどれほどのものなのかは承知していた。将来の王国再建まで見据えている陛下の慧眼はさすがと思ったが、やはり軍人としては王国と運命を共にしたかった。が、南部王国軍の象徴として陛下の命に逆らうということも自分自身の信念にもとっていたので、第1の連隊長ともども北部王国軍への合流に賛成した。
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