day56 南部王国軍第1混成旅団長(西部城門担当)
当初は南部王国東部の砂漠地帯で魔王軍相手に遅滞戦術を繰り広げていたが、日々部下や上官が戦死していき、気づいたら混成部隊の指揮官に収まっていた。生き残りとともに首都まで後退戦術を行い、城門閉鎖も担当した。
残された3個混成旅団のうち1つの指揮を担当し、首都西門の防衛を引き受けていた。積極的な命令でそうなったというよりは、流れでこの地の担当になったに近い。混成旅団という格好いい名前を拝命しているが、実態はただの寄せ集め部隊であり、兵士どころか戦闘に参加している一般市民も指揮下に収めている。本来、市民を守るのが役目のはずの軍人としては、痛恨の極みだが、相手は人間ではない魔物である。そんなことを気にしていては話にならない。
城門の外を埋め尽くす魔物の数は日に日に増え続け、地平線の先まで埋め尽くすようになってからは城壁の上から観察することをやめた。もっぱら味方の損耗状態確認や、他の2個旅団長と戦況に関する情報交換をしていた。上級司令部とのやりとりはほとんどないが、これは上級司令部の幕僚もほとんどが前線に出ていて直接戦闘をしていることによる。南部王国軍司令部としての任務は、北部王国軍司令部とのやりとり以外の任務はほぼないと、前線に来た参謀本部員と話した。
地下水路から魔物が侵入しているという話や、首都周囲の魔王軍による包囲状態、北部王国軍との共同作戦がほぼ失敗に等しいという戦況報告から総合して判断できることは、もはや時間の問題なのだろうということだった。
兵士はみな覚悟を決めているし、市民も覚悟を固めつつあるが、子供たちだけでも北部王国に脱出させたいと考えている。竜騎兵部隊が北部王国軍との連絡ついでに避難民の輸送を細々としていると聞いたときは、我が国の竜騎兵部隊をこれほど誇りに思ったことはない。
とにかく、その日が来るまでただひたすら足掻こうと考えている。
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