day17(DE街攻防戦8日目)
Day17
DE街攻防戦8日目
東部戦線司令部情報参謀
DE街からの撤退が決まり、撤退に向け共和国軍部隊の戦線整理が始められた。
あわせて防衛司令部の縮小が行われ、我々北部王国軍参謀にも退去指示が来たため、今日がこの街で手記を書ける最後となる。
共和国軍は、撤退時の殿部隊の設定、長期の戦闘により損耗が激しい部隊の後退を先に実施した。
街は放棄が決定したので、防衛上守る必要がない地区からの早期撤退も併せて行うとのことだった。
北部王国軍上級司令部との打ち合わせはこの段階でもされていない。
指揮に服するという話があったはずなのに、あれはなんだったのだろうかと思うが、ここはまだ共和国領なのは事実であるし、何よりそんな条件整理をする前にここまで追い込まれてしまっていてそれどころではないという弁解をもしされたらそれはそれで納得してしまう。
数日前まで防衛司令部を置いていた街中心の教会はすでに魔王軍支配地域になっている。その周辺地域も含め、街の半分以上がすでに陥落している。
市民がいない街は生活音が全くなく、戦闘の音だけがしており、人間同士の戦いではあまりない雰囲気を感じた。
最後に確認したところでは、街はすでに8割が陥落しているが、秩序だった撤退が実施されており部隊の壊走は起きていなかった。
市民の避難はほぼ完了し、部隊の撤退も決定していることから連絡線を経由したDE街への補給はすでに停止しており、もっぱら北部王国方面への撤退部隊だけが連絡線にいた。それも初期のころに見られた渋滞や混乱はなく、静かに後退していた。
DE街攻防戦は8日間観測した。城壁の有効性は確認できたが、陥落後の浸食速度が想定以上に早く、新たに構築する価値はないと思う。既存の城壁の増強はすべきだと考える。
市民の避難はやはり戦闘にも補給にも支障するため、早期に実施すべきである。避難させないという選択肢はない。
自警団は街ごとに戦力が異なると思うので、一概に評価できないが、教会自警団は指揮系統をしっかり整理できればや有効活用できるかもしれない。