Day13~Day15(DE街攻防戦4日目~6日目)
※街の攻防戦が劣勢で展開しているが、参謀本部や戦線司令部レベルにこうした街の攻防(戦術レベル)について報告が上がるのは始まりと終わり、結果だけなので、今回は情報参謀手記を3日分。
Day13
DE街攻防4日目
東部戦線司令部情報参謀
西門が破壊された上、西側城壁の穴が目に見えて広がっている。それに伴い街に侵入してくる魔族の数も増えており、共和国軍防衛部隊の負担がいよいよ厳しくなってきた。昨日までは平和だった北門、南門にも魔王軍が姿を現し攻撃を開始。守備兵力が分散され、そういう面でも厳しさが増しつつあった。
街の3割程度の面積がすでに戦闘地域となっており、街中心の教会に置かれている防衛司令部にも戦闘が少しずつ近づいていた。戦線から届く報告は良くない内容ばかりで、正直気が滅入るが、共和国軍的には今までの戦いも似たようなものであったらしく慣れたものであるらしい。
北門、南門が攻撃されたため西門を経由してつながっている北部王国との連絡線切断が話題になる。
東部戦線司令部はすでに街から撤退しており、連絡線を通るのは共和国軍の補給部隊や避難民のみである。
そういう意味では、連絡線をどうするかを決めのは共和国軍であり、北部王国が関知するところではないが、少なくとも私個人が街を脱出するタイミングはそこにかかっている。
day14
DE街攻防戦5日目
東部戦線司令部情報参謀
戦況が悪化してきたため、DE街に残り戦況を観測していた北部王国軍将校の数を縮小。私含めて3人を残し、残り全員は街から撤退させた。
東門の穴はさらに拡大し、東門の周辺地区についてはもはや魔王軍の支配下にあると判断せざるを得ない状況に。北門、南門も激しい攻撃にさらされており、万が一北門、南門のどちらか片方でも突破されると、共和国軍全体が半包囲される危機。
共和国軍は目の前の戦況に忙殺されており、半包囲の危機が見えていない。我々北部王国軍連絡将校チームは、どちらかの門が破壊された段階で、少なくともここ防衛司令部から後退し、西門近辺まで後退する予定。
負傷者が増加しており、救護が追いつかなくなりつつある。重傷者や戦闘不能の兵士は最初から後送してしまい、部隊の負担を軽減させる措置を講じているが、結果として戦力の減少が止まらなくなっている。
DE街自警団は戦力的に意味がないため、市民の護衛として街から脱出させた。教会自警団については防衛司令部に連絡将校が来ていないため、どうしているのか不明。前線で戦闘に参加していることと、負傷者を共和国軍負傷者と一緒に後送していることは把握している。教会自警団が指揮命令系統上どういう立ち位置なのか不明だったのが、ここに来てやっかいなことになりつつある。
Day15
DE街攻防戦6日目
東部戦線司令部情報参謀
東門に続き、南門が突破され、半包囲に直面した共和国軍は部隊全体を西側に後退させた。これにより街の半分が魔王軍の占領下に入ってしまった。各所で火の手が上がっている様子から察するに、破壊工作的な何かが行われていることは容易に想像できたが、実態はわからない。
共和国軍は防衛司令部を街中心の教会から西門駐屯所に後退。4個師団いた防衛部隊のうち、1個師団相当の兵力が今日までの戦闘により消耗していた。ただ、防衛範囲が狭くなったことで、面積当たりの兵力が増加し、戦線の後退速度は目に見えて落ち着いた。市民の避難はほぼ完了し、指揮系統整理のため教会自警団も今日付けで街から撤退した。教会自警団は結局戦力の半分を消耗したが、想像以上に善戦したといえる。
共和国軍司令官は、市民の撤退も完了し、街にこれ以上こだわる必要がないことと、いまなら秩序だった後退が可能という判断により、少なくとも一両日中にDE街を放棄し全軍を後退させるとの決断をした。ただ、この内容は北部王国軍には伝わっておらず、後退したあとどうするのかという肝心のところは何も決まっていなかった。