day10(DE街攻防戦1日目)
参謀本部記録と前線にいる参謀視点の2本立て
Day10
北部王国軍参謀本部
1.状況
DE街に一部魔族が到達。共和国軍残余部隊4個師団が戦闘開始。北部王国軍東部戦線部隊は、DE街への補給線を死守しつつ住民の脱出を支援。指揮命令系統の整理ができないため、直接の戦闘行動には参加していない。
なお東部戦線司令部より、DE街の処遇や撤退時の対応について問い合わせを受けている。
2.敵性分析
敵味方の戦力差はDE街近辺に限ると約10倍。城壁と地形を巧みに活用し防衛を試みているが、数日で陥落すると予想。なお、敵には飛行部隊がいないため、空から奇襲を受けるという事態は回避されている。
3.分析
魔王軍の全容がいまだわからない一方、DE街が完全に包囲され連絡線が遮断されるのは時間の問題。連絡線の遮断はほぼイコールでDE街の陥落を意味する。
4.見解
共和国軍残余部隊、住民とともに街を早期に放棄し、後方に構築した第1防衛ラインへの収容を図りたい。
東部戦線司令部から来ている問い合わせ事項は全て問題なしで回答する。特に避難民の脱出は迅速に行う必要がある。
なお、現在判明している魔王軍の戦力ですら第1防衛ラインでは抑えきれないことが確実なため、第2防衛ラインを早期に構築するとともに、その間にある全ての集落・街の住民退避が必要。
新規編制した北部王国軍第2軍団を東部戦線に早期投入し、敵の勢いを削ぎたい。
以下は、前線にいる東部戦線司令部情報参謀の記録
魔王軍一部部隊がDE街東側の城門に到達。城門は固く閉ざしていたが、城壁上に展開していた防衛隊弓部隊による弓攻撃を皮切りに戦闘が開始された。
魔王軍側の兵力が圧倒的に多いため、早々に東門周辺から兵力があふれはじめ、時間の経過とともに見渡せる範囲東側一体を魔王軍の軍勢が埋め尽くした。
この日は幸い城門を破られることはなかったが、明らかにダメージが入っており、城門自体数日と持たないことは容易に想像できた。
また、魔王軍の広がり方から、明日には南側城門、あさってには北側城門にも魔王軍が到達することが予想された。
北部王国領との連絡線を形成している西側の城門は最後まで閉じられる予定はないが、このペースで推移すると数日のうちに連絡線が遮断されかねない。
市民脱出のペースが引き上げられ、脱出を拒否していた市民や、戦闘加入を希望していた義勇兵も混乱防止のため強制的にDE街から北部王国に送られ始めた。補給部隊への負担軽減や、DE街での籠城を考えると適切な判断だと思うが、街道が渋滞を起こしつつあった。