day1
あらすじ
突如何の前触れもなく、魔王と呼ばれる存在が姿を現し、異形の魔物が人類の生活圏への侵攻を始める。
同じ大陸にあって友好関係はないものの、戦争もなく適度に共存していた北部王国、共和国、教会、南部王国の4陣営。
突然の侵攻の前になすすべなく敗退した共和国連合。共和国にあった教会本部が早々に占領されたため、組織的な対応が全くできなかった教会。
そうした共和国のいわば時間稼ぎによって抵抗勢力を組織化する時間的猶予を得た北部南部両王国。
本記録は、北部王国軍参謀本部が魔王軍対応へ本腰を入れ始めた時期から作成された。
Day1
北部王国軍参謀本部
北部王国軍全軍で魔王軍と戦うことが決定されたため、参謀本部もその全力を対魔王軍に注ぐ。
1.状況
魔王軍の先鋒は共和国最後の抵抗拠点DE街まで10日の位置。
共和国軍が設定した最終防衛線はすでに崩壊しており、昨日共和国第5軍団長戦死の報あり。
これで共和国軍は軍団長以上の指揮官全員が戦死、負傷、もしくは行方不明。
共和国軍師団長7名の意向により、共和国軍残余は全て北部王国軍東部戦線司令官指揮下に組み込む。
2.敵性分析
魔王軍との戦力比は、数字では算定不能。戦闘能力で比較すると概ね2倍との報告があるものの、前線が崩壊しており偵察が困難を極めているため、魔王軍全体の情勢を把握できていないと情報部では分析。推測では数倍以上の大差があるものと見ている。
3.分析
指揮命令系統が崩壊している共和国軍はもちろん、北部王国軍東部戦線の全戦力をもってしてもDE街の防衛は不可能であり、街の住民をどうするかについて直ちに決定する必要あり。
今のところ住民の脱出は散発的であり、大多数は街に残っているとの報告あり。これがDE街自治機構の方針としてそうしているのか、結果としてそうなっただけなのか等経緯は不明。情報が錯綜している。
4.見解
10日以内にはDE街に魔王軍が取りつく見通し。
DE街は共和国領であり、共和国政府が機能していない現状、北部王国として防衛することはできない。東部戦線司令官には引き続き遅滞戦術を活用した防衛を提案。DE街の住民をどうするか、特に住民の食料をどう確保するかを検討すべきところではあるが、前線が大混乱に陥っている以上、打てる手は限られる。
統合軍参謀の視点から見るアメリカ統合軍について
https://ncode.syosetu.com/n1210gt/
というエッセイを元に魔王軍VS人類連合軍という戦いを、
参謀の視点で書く戦記物です。