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0.プロローグ

現在、書き直している途中です。

しばらくお待ちください。

 とある春先。

 幼かった頃の、うっすらとした記憶。

 桜の花びら舞い散る街道を一生懸命ついていく。

 今と比べると随分と短い手足で、その後姿を追いかける。

 今はいない、大切だったはずの人。

 その人が自分へと振り返る。

 そう、大切だったはずの人。その人は確か―――――。

 確か―――――――

 確――――――

 ――――――




「………」


 目覚ましが鳴る5分前。

 最上湊(もがみみなと)は目を覚ました。ゆっくりと体を起こし、時刻を確認する。

 今は朝の7時半。季節は冬から春へと移り変わる準備を始めた頃合いだ。

 まだ完全には目が覚めてない脳内を起こすために、ゆっくりと体を起こす。


「おはよう」


 誰もいないリビングに、湊は1人挨拶する。

 今、この家の主は湊である。

 父親は、湊が中学を卒業するタイミングで仕事で海外へと向かってしまった。

 湊もついていこうかと考えていたのだが、どうやら危険な仕事らしいので置いていかれてしまった。

 今は海外から日本に住む湊に対し、月に1度生活費を振り込んでくれるという生活サイクルを繰り返していた。

 これは湊が18歳になった今でも続いている。

 では、彼の母親は?


「………母さんも、おはよう」


 彼は、部屋に飾ってある家族写真に喋りかける。

 写真には幼い湊と、若い頃の彼の父親と、人1人分の不自然な空間が広がっている。

 湊の母親は存在しない。

 これは彼の母親が亡くなった、父親と離婚したなど、その様な理由があるわけではない。


 文字通り、この世界に()()()()()()()()()()のだ。


 湊も、湊の父親も、そして親族も。

 湊の母親の顔はおろか、名前すら知らないのだ。

 最上湊が人として産まれてきた以上、父親と母親が存在するはずなのに、誰も彼の母親を知らないのだ。

 養子でもない。血のつながりがしっかりある子供だというのにも関わらず、この世界に彼の母親を知っている人間はいないのだ。

 一体いつから母親がいないのか、何故誰も彼の母親の事を知らないのか。

 湊が幼い頃は悩み苦しんだものだったのだが、18年間生きてきた今、そういう物だと割り切っていた。

 いや、彼は母親の事を諦めてしまったと言い換えた方が正しいのかもしれない。


「………よし、家事でも終わらすか」


 言い方は悪いかもしれないが、親が片方しかいない家庭というのは存在しない訳ではない。

 それに、湊は今の環境をそこまで悪く思っていない。

 一人暮らしではあるものの、父親のおかげで不自由したこともない。

 自分でも、これは恵まれた環境であると自負していた。

 だからこそ、母親の事について諦めてしまうのは自然な事なのだ。

 そんなことを思っていたのか、はたまた思っていなかったのか。

 湊は朝食を作るためにリビングからキッチンへと向かうのであった。


※※※※※※


 今の季節は3月の頭。

 つい最近まで冬の装いだった街は、来るべく華やかな季節へ向けて装いを変えていく。

 そんな季節の中、湊には重要なイベントが残されていた。

 それは『大学受験』だ。

 高校生活の3年間、学んだことをすべて出し切り挑む学生たちの戦争。

 それが受験というものである。

 その結果がそろそろ届き始める頃合いになってきたのである。


「さてさて、今日は何か届いているのかな」

 

 そう思いながら湊はノートパソコンを開く。

 そして自分が受けた大学のページを一通り目を通す。


「………まだ何も来てない、か」


 そうしてパソコンを閉じて再び生活に戻っていく。

 冬の終わり、すべての事が終わった後に加わった新たな生活のサイクルだ。

 受かっていたかどうか、一喜一憂する日々の繰り返しだ。

 今日は何にも通知が来ていないことを確認した後、湊は大きく伸びをする。

 はっきり言うと、結果はまずまずと言ったところ。

 家の近くで通学が可能な学校を絞り、既に何個かは合格をもらえるだろうなという手ごたえもある。

 

感想、評価、ブックマークなど。

今後の執筆活動の励みになります。

なにとぞよろしくお願いします。


また、誤字や脱字などありましたら教えていただけると幸いです。

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