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vol.010_理由

オレが賢者になろうとした理由・・・それは・・・


「頑張っている人を支えたいから。」


ふいに、オレは言葉に出していた。


芸満ゲイマン先輩、やっぱりステキですね。システムエンジニアとして、システムを作ったり、安定稼働させることで世の中の頑張っている人の役に立ちたいって思われてたんですね。わたしも見習わなきゃ!」


おぉっ、真木さんがイイ感じに解釈してくれたw とりあえず、真木さんへの返答はこれでOKってことにしておくか。


そう、オレは「頑張っている人を支えたい」という理由で賢者になったんだった。


もともと、オレは「魔法使い」のジョブに付き、冒険者として活動を開始した。


最初は、攻撃系の魔法でバタバタとモンスターを倒すことにやりがいを感じ、オレは魔法使いを極めるつもりでいきり立っていた。


ある程度のレベルまでは順調に成長できたが、強いモンスターと戦うことが多くなるとオレの魔法は通用しなくなってきた。まったく歯が立たず、死んでしまい、教会送りになることも多々あった。


すっかり意気消沈していたオレだったが、たまたま、当時パーティに参加した賢者がオレたちの傷を癒したり、防御力を高めたり、時にはモンスターを攻撃したり・・・とオールマイティに活躍する姿にとても憧れた。


強敵に立ち向かうオレたちの背を支えるように、適材適所で攻守の魔法を使い分ける賢者はパーティの誰もが尊敬する存在だった。


それで、オレも仲間を支援魔法で支え、そして仲間が大技を仕掛けられるように攻撃魔法でモンスターを足止めする、そんな形で貢献していきたいと考えるようになり、賢者を目指した。


ま、さすがにその上の大賢者は目指さなかったけど(笑)


おそらく、今の世界でオレが向き合っているシステムとやらも、障害がおこると多くの人に影響が出てしまうくらい、普段は人々に恩恵を与えているものなのだろう。


それを作ったり、守ることが、システムエンジニアということであれば、なるほど非常にやりがいのある仕事だ。


「真木さん、会社に入った理由は人それぞれだけど、たまに思い出してみてみると良いものだね。なんだかオレもやる気が出てきたよ。」


オレは真木さんに感謝した。


おかげで、忘れかけていた賢者になった理由を思い出し、この世界でシステムエンジニアとして会社にいる意味を認識させてくれたのだから。


芸満ゲイマン先輩、そんなことないです。わたしも職場以外で、こうやって話ができて楽しいです。あの・・・また、たまにでいいですから、こうやってご飯食べに行きませんか?」


「もちろん、ぜひ行こう!」


毎回、真木さんにお店を選んでもらってばかりだと悪いから、オレも飯が美味い店くらい探しておかなきゃだな。


この世界の支払いルールなんかも聞くことができたし、ひとまず困らずに生活はできそうだ。


オレは、さっそく覚えた支払い方法で、会計を済ませた。


先輩なのに真木さんに頼ってばかりだから、支払いくらいオレがやらないとね。


「真木さん、今日は付き合ってくれてありがとう。色々と教えてもらって助かったよ。」


「こちらこそ、ありがとうございます!先輩、まだ記憶が曖昧なようなので無理せず早く休んでくださいね。では、失礼します!」


真木さんと別れたあと、オレはほろ酔い気分で気持ちよく自宅に向かって歩き出した。


ラインっ


オレが持っているスマホと呼ばれる機械が音を出した。あぁ、これはLINEと呼ばれるものだな。真木さんに教えてもらったので、使い方もバッチリだ。


見てみると、真木さんからメッセージが届いていた。


『今日は楽しい時間をありがとうございました!こんなに先輩と話したのは初めてだったけど、いろいろとお話聞いてくれたり、話をしていただき楽しかったです。また、明日の見積もり提示もがんばりましょう!おやすみなさい。』


なんて、律儀なコなんだろう。オレは先ほど教えてもらった白坊主のLINEスタンプを送り、家路についたのだった。


vol11.へ続く

ここまでお読みいただきありがとうございます!


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