表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は傍観に徹したい!  作者: 白霧 雪。
悪役令嬢になりたくてなったわけじゃない。
1/46

01

 ヴィオレティーナ・ユカリ・ナイトレイは魔法学園の高等部第二学年に無事進級した。


 高嶺の薔薇、孤高の紫水晶(アメジスト)、なんて呼ばれているのはいざ知らず、透き通った純度の高い紫の瞳は身のうちに秘める魔力の高さを表した。


 白く透ける肌、口紅いらずのぷるんと果実みたいな唇、人ならざるモノを視る紫の瞳、横顔は憂いを帯び、所属寮を示す漆黒の制服はヴィオラによく似合っていた。

 母譲りのふわりと緩やかなウェーブを描く黒髪を背中で揺らしながら、足早に廊下を突き進む。


 後ろから「お姉さま、どこー!?」と喧しい声が聞こえた。


 高嶺の花と呼ばれるにふさわしい美貌を嫌悪に歪め、荒々しくヒールを鳴らした。

 どこか隠れられる場所はないかと、首を巡らせるヴィオラの腰を大きな手のひらが掴んで引き寄せた。


 ――薄暗い密室。細い腰を引き寄せられ、頭を抱きしめられる。制服越しに、相手の心臓の音が聞こえた。

 とくん、とくん、と一定で鳴る音は早っていたヴィオラの昂りを落ち着かせる。

 

 彼の顔を見上げようとしたら「しぃ」と、窘められてしまった。

 口を噤んで、彼の心音に耳を傾けていると足音と喧しいキンキン声が近づいてくる。


「ここら辺にいたと思ったんだけど……」

「次の授業に向かったんだろ。俺たちもそろそろ教室に行かないと遅刻しちまうぜ」

「……そうよね。遅刻なんてしたらお姉さまったらますます口をきいてくれなくなっちゃう! 早く戻りましょ、ジュキア、クリス!」


 二言、三言、言葉を交わして遠ざかっていく足音に安堵の溜息を零した。


「――……助かったわ、ユリア」

「毎日大変だね、僕のお姫様」


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ