成島さんのダイエット日記7
○月△♡日(土)天気:晴れ
………ふぅ。夜?朝?の3時半に起きてしまった。
理由は寝苦しかったのと、こっちの日記に書いてモヤモヤを消化していなかったからだろう。
今はシャワーを浴びてスッキリである。
…さて、私が悩んでいることは何かというと、
「妹」のことである。
私の妹は成島里咲といい、学校では男子からモテモテで、女子の中での中心人物である。
人付き合いはなるべくしたくなく、一人で本を読んでいる時が一番幸せな私とは正反対の性格なのである。
そんな性格が違う二人だが、姉妹仲は結構良い方だと思う。
理由は私がシスコンだから。
昔から私の後をてくてくとついてきて、置いていくと泣き出すような妹が可愛くてしょうがなかったのだ。
今は妹が傍若無人な振る舞いをするようになり、私は辟易してしまい、積極的に関わろうとはしないが、色々なことを相談し合える友情みたいなのはある。
話は脱線するが、妹とはいいものである。
友達と遊びに行く方が精神を悉く消耗する私にとって、妹は全く相手を気遣わなくて良い楽な遊び相手である。
カラオケとか、映画とか、その他もろもろ趣味をある程度共有しているから行きやすいし、無理に話さなくて良いところがとてもいいと思う。
で、今夜悩んでるのは妹の発言についてである。
いつも通り私は自室のベッドの上でゴロゴロしていたら、妹が来たのだ。そしてベッドの上に乗ってくる。つまり私の上に。重い。
妹がこのように私の部屋を訪れる時は、何か話したいことがある時や、ただ単純に暇でなんとなくそこでゲームしたいとかマンガ読みたい時に来るのである。私が一人でいたい時は大敵だ。
今日は何の話をしたかというと、まず始まったのは母親の悪口からである。
今日の母親はやたら周囲に当たり散らし、クモの子を散らすように父と妹と私はその周りから退避したのだ。
具体的にはテレビを見ながら夕飯を食べるのが気に食わず、キレたのだ。
母は、「自分が話した内容を覚えていない」「自分に都合が良いように話を脚色する」「人の話を聞き入れない」という素晴らしい特技を持っていらっしゃる。
おかげでいつも話の中で「言質とった!」と思わず、LINEなどの物理的証拠がなければ対抗できないのでそうするようにしている。
…と、まあこんな感じの不平不満を愚痴として漏らし合っていたのだ。
そして、ネイルをして、適当に話してた。
妹の彼氏の話になって、私が「もうシたの?」と聞いたら妹が「さあね〜?」と返してきたので、これは本気で聞いても答えが引き出せないなと思った私は適当に「まあまだするわけないか」と言った。
そうしたら妹は「シてたらどうする?」と笑いながら言っていたので、内心『まっさか〜』と思いつつ「そんなわけないでしょ(笑)」と返した。
そしたら「…彼氏とヤッた。お母さんには絶対に言わないでね」とか言い出すから『こいつまじか。まあそんなお年頃だよね〜』とか思いつつ「まじか、いいんじゃね?」と返したら、なんだか複雑な気持ちになった。
『なんだろう、この気持ち』
とか思いながら、妹の体験談や彼氏の話を聞きながら思った。
もやもや第一号である。
妹に先越されたことは別にそんな何も思ってない…はずである。
前に母が冗談気味に「先越されるかもね〜」と言っていたからそれが現実となっただけである。心の準備はしていた。
そのような姉のプライド的な話ではなく、自分の内心面での話でもやもやしてる気がする。
私は中・高校生の間、先生から出された課題図書を6年間読んでいた。
国語の先生はずっと変わらず、結果その先生が好きな作家や作品が主に出された。
勿論心が気持ちいい、素晴らしく落ち着く夏目漱石の「こころ」や、伊坂幸太郎の「陽気なギャングは地球を回す」などの面白い話、ヨーロッパ系文学(あまり好きではなかったので覚えてない)、岡嶋二人の「クラインの壺」などのミステリー系なども大量に出されたが、一番多かったのは人の泥沼関係だった。
具体的に言うと、谷崎潤一郎や川端康成などが書く作品である。
その浸食は高校一年生の頃からじわりと私の心を犯し始めた。
高校一年生の時に、桐野夏生の「グロテスク」を読み、心が汚くなった感じがした。いや、すごい物語だとは思う。あらすじは、、ネタバレまでしそうだからやめとく。けれど、なんか心が純粋ではなくなった気がした。読み終わった後、売りたくなる衝動にとても駆られた。
そしてさらに深まる浸食。
谷崎潤一郎の「痴人の愛」なんて、小さい頃から成人男性が育ててきた女の子が大きくなり、浮気性の女になって…という物語だし。時代は文明開化のあたりだと思う。まあとにかく男性の情けなさを曝け出した(私目線)物語でやるせない気持ちになった。
川端康成の「眠れる美女」はもっとキモい物語で薬で眠っている裸の少女の観察日記みたいな話で、やばいキモいやばいやばい(←語彙力)と思って読み終わったあとは不思議と達成感があった物語だった。
私的には「もうキモすぎて読みたくない」だったが、その話が好きな男子はミステリアスだとかその感じがいいとか言ってた。意味わからん。多分それは私が女だからであろう。男性目線なら楽しいのかもしれない。でもやっぱりキモい。
あ、でも斎藤章佳の「男が痴漢になる理由」は面白かった。痴漢になる理由がつらつらと連ねてあってテンポがよくて面白かった。
私は電車通勤だが、終点から乗ってていつも座っていることと、顔があまり良くないおかげで痴漢されたことはない(よね?)ので別世界の話と思っていたのだが、これを読んで「満員電車は危険だな」と素直に思えた。
友達は「この本を電車内で読むと効果的」と言って電車内で読んでた。私も読んでた。そういうことも含めてなかなか楽しい本だった。
……という侵食を受けてきた私は、処女のくせに耳年増になってしまい、内心の常識の範疇がおかしくなってしまっていた。ということに今気づいたのだ。
内心の常識は「まー、お年頃だからしょうがないよね」という気持ちだが、ごくわずかに「それってやばいんじゃない?」とか「体の貞操をもう失ってしまったのか…」とか清純な気持ちだった頃の私が出てきて、それが混じってもやもやしていたのかと気づいた。
…内心の常識がおかしくなってしまい、耳年増のさとり世代になってしまったのは絶対に国語の先生のせいだと思う。
なんか心の感情を吐露したらすっと疑問が解けた気がする。…同時に私の常識に対して不安も増したが。
あ、本紹介のついでに、私が課題図書の中で1番好きな話を紹介するね!
柚木麻子さんの「本屋さんのダイアナ」は本当におススメ!表紙が宝石で飾られてて可愛い本なんだけれど、内容はもっと素敵!
あらすじは、学校で大穴と書いてダイアナと名付けられた女の子と、カースト1位のお嬢様女子が本好き同士で仲良くなっていくお話。そして大学生になって…と高校三年生最後の課題図書に出された本だった。
本当に読み終わった後は少しの胸の痛みと、それでもなお輝きが失われない宝石箱のような本だと思った。キラキラしてて青春が眩しくて、傷ついてもまた歩き出していく勇気をもらえた一冊だった。
ぜひ読んでね!
…そして始まるもやもや2。
その後、黒歴史の話になった。
そしてそれらを書き留めている何かがないかと探し始めた。
私はどうしても妹の黒歴史、人の悪口や悪いテストの点数などを見たかったので、まず自分のを見せた。
私は「人の悪口を言ってたら自分がさらにブスになる」と友達に言われ、『なるほど』と思いあまり言わなくなった。
その結果、家族の攻略ノートになっていた。
例えば、休日は家事を5つやっていれば安全とか、部屋は基本片付いた方がいいとか、風呂で本読まないようにするとか、洗濯物を片付けてないと父が怒るとか、そのようなことである。
これを妹に見せた後、私が「最近、怒られなくなったでしょ?」と言うと妹がコクコクと頷いて同意してくれたから効果は出ている攻略本なのである。
次は妹のターンである。「見せて〜!」と私が言うと「ちょっと待って。」と言いながら妹が黒歴史を探し始めた。
五分後、妹が部屋に黒歴史ブックを持ってきた。そこには、妹の学校の人達が書かれ、嫌いな人の情報が書いてあった。所感とともに。
私は爆笑した後、『うん。さすが妹だな。』と思いながら読み始めた。誰と付き合ってるとか、兄弟の情報とか、妹に対して何をしたかとか、いつ退学したかなどの様々な情報が載っていた。
そこにあるのはその人に対しての悪意で、女の中で強い妹の姿というか、妹を構成しているものが見えた。
『なるほど。こうして人の観察をすることで人の弱みとかを握っていくんだな。』と妹の技能に驚いた。
そして、そんな簡単なことで順位は上にいくんだなと女子の順位の仕組みにも驚いた。
多分、そんな簡単そうに思えることをずっと出来る人がカースト上位にくるんだろうなぁ、観察が出来る人もすごいなぁ、でもよくそんな人の粗ばかり探せるよなぁ、私だったら面倒くさくてそんなことしないわー、とも思った。
それで本題。そのあとに家族についての悪口が書かれていた。
私の父の名前は、慎司である。母の名前は里美である。
そこに書いてあったのは、
義父 慎司 : キレると「ふざけるな」や「うるせぇ」としか言わなくてなる。知能程度が低い。ずっとテレビを見てるか寝てるかしている。
義母 里美 : めっちゃ塾とか門限とか束縛してくる。ストレス。彼氏の話に異様に食いつく。いつもは義父の悪口を言っているくせに、喧嘩になったら暴力が怖いのか、義父の味方をする都合がいいやつ。
ほう、こう書いたらなんかDVの夫や父親に悩まされてる感がでるねぇ。まあ最近はだいぶ性格が丸くなったけれど、前はヤバかったからねぇ。あ、今は大丈夫だよ。全然よゆー。
でもうちらがここで大爆笑をしたのは、私の書き方と妹の書き方が似ていたからだ。
私は母と父のことを「オーナー」「オーナーの夫」と表していたのである。
対して妹は「義母」「義父」だった。
似ているよねーw すごいよね。表し方がめっちゃ似ているんだもん。
今は私は母と父に育ててもらったことを感謝しているし、いなくなったら困ると心の底から思ってるよ。でも、喧嘩した時はどうしてもこんな感情が愚痴として溢れちゃうよね。仕方ない。『家族』だもの。重いよね。
あら?シャッターが開き始める時間になってしまった。外、明るいな。
キッチンで2時間くらいずっと書いてた。流石に寒い。何度もくしゃみが出た。
もう完全に意識は覚醒しているけど、寝よっと。おやすみ〜
…あ、ダイエット?知らなーい。だって痩せないんだもの。また頑張るわ。