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初詣【理系くんside】

【理系くんside】


今日は付き合ってから初めて会える日。


彼女と初めてあったのはバイト先。

バイト代がいいからと1日だけ入った居酒屋のバイトの休憩中。その日は酷く忙しくて、男の僕でも疲れ果ててた。


なのに、優雅に休憩室で小説を読む彼女を見たとき、タフさと優雅さに一目惚れだった。


連絡先を聞くのも一苦労で――というか、自分では聞けなくて。もう一度バイトに入って欲しいからと入らされたLINEグループに招待してくれたのが彼女で。


なんとなく名前を呼ぶのが照れくさくて



「文系ちゃんって呼んでいいですか?」



なんて初対面で失礼なことを言ってしまったのはいまでも赤面するような事件なんだけど。



「あはは、文系ちゃんってなんか可愛くていいですね」


なんてメガネをかけ直しながら笑う彼女があまりに可愛らしくて。


僕はいつの間にか恋に落ちていた。



それから一生懸命彼女が薦める小説を読み漁ったりしながらなんとかクリスマスに付き合うことになれて、緊張で連絡もとれなかった。



だから、いま後悔している。


初詣の初デートなのに、彼女が来ない。


連絡しないから怒らせてしまっただろうか。


いやでも、文系ちゃん友達多いしバイトもあるから年末は忙しいだろうと思って――いや、これは言い訳だ。


付き合えたことが嬉しすぎて、コミュニケーションに自信のない自分がどんな連絡を送ったらいいのか分からなくて。


そのまま初詣の当日を迎えてしまった。


十分経っても来ない。


これくらいは遅刻なんかあるよ。


二十分経過。


来ない。

あれ? 待ち合わせ場所間違えたっけ。

待ち合わせの時間間違えた?


確認したけどやっぱり間違えてない。



三十分経過して、彼女が走ってきた。


息が上がってるから全力で走ってきたんだろう。

髪も少しハネてて。



「はぁはぁ、本当にごめんなさい! 寝坊してしまって……!」



顔を見たら安心したし、自分を作り上げるよりも急ぐことを選んでくれたのがハッキリ分かるから、嫌われていないことがしっかり伝わってきて。


なんだか嬉しくなってしまった。


あ、でも失敗した。


携帯で連絡取れるんだから先に列に並んでおけばよかった。


こういう気が使えないから僕はダメなんだ。


行こうとしてた神社に入場制限がかかってしまったから入れなくなってしまって、僕らは暗い空気のまま近くの神社へ歩き出す。



「遅れてごめん。ごめんね」



力なく俯く彼女が、とても小さく見えて。


でも、合理的に考えれば初詣を明日に延期すれば明日も会う口実になるんじゃないか?


文系ちゃんの弱味につけこむ感じになるが、今日は許してもらおう。


「文系ちゃんさ」


僕はね。

君が本当に好きなんだ。


だから精一杯の愛情を伝えたい。


普段使わない言語脳がフル回転して言葉を紡ぎ出す。



「初詣ってもともと『元日詣』っていうんだけど」



なに言ってるんだそうじゃない。

もっと伝えたいことがあるだろう僕。


失敗しても気にしないで、僕はそんな君が好きだからって、ちゃんと言おう。



「『明日も会える口実になるな』って思ってしまった」



うん。これが精一杯。


それでも顔が赤面してるのが分かる。


うまく伝わったか自信ないけれど相手は文系ちゃん。


きっと文脈を読み取ってくれたのだろう彼女が僕に抱きついてくれて。


新年から幸せで倒れそうになってしまったのだった。

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