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青い秋  作者: UTUTU
9/18

わたしは蛇になりたい

疲労の極。ゆえに、イマジン。

 昨日もビターテイストな一日でした。よく考えてみるとクリスマスでしたが、一切無縁なザツザツとした一日でしたね。


 母の認知症的な振る舞いが高じており、ために、奔走いたしました。まずは介護保険申請。高齢者あんしんセンターの看護師さんに会い、主治医意見書の作成を入院中の病院へ依頼する、等。

 予定を立てて、センターの看護師さんに母を見てもらう段取りをつけたり、等。


 まあ家族のことなので致し方ないのですが、少しく疲労いたしました。親に不平を唱えてはバチが当たりそうなものですけれども、あんまり母自身がアッケラカンと呑気なので、少々くらいは済まなそうにしてくれやしないか、と嘆息します。母はお嬢様育ちで、人の苦労を思い測れないところがあるんです。お嬢様というと深窓の人、繊細な人、となりそうですが、あにはからんや、まったくもって大味と言おうか、デリカシーの欠如した感じがあるんですね。してもらって当たり前、というシタリ顔をしているし、おまけに何だか空気の読めないトンチンカンなことを並べ立てたりしますから、一緒にいると非常に疲弊します。僕が息子だから、そのように特別に屈託を覚えるのかと言うと、それがそうでもなくて、多少、関わったばかりの束の間に、意外なほど腹を立てる方々を何人も見てきました。ちょっと話したばかりの人が、顔を赤くして怒鳴ったことさえあります。


 という、またしても愚痴。


 アルコール依存症の身でぐだぐだ言っているのだから始末に負えない。


 こういう時は別のことを考えよう。例えばだ。イバラの鮮やかな緑色の肌に、みずみずしい水滴が結晶するさま。夕焼けにやがて入り混じり走る、神秘的な、むらさき。あるいは少女だ。うつくしい妖精的な存在が、この世のどこにも存在しえない不可思議な硝子のような、すきとおった声音でうたう歌だ。また、その歌のように透明な少女自身の皮膚だ。


 または精緻な蛇のうろこの犇めき。甘美とさえ言える柔らかな幾何学形、その詩的な艶と、くらい輝きとだ。もしくは僕自身がその蛇かもしれない。昇華され浄化され赦された僕なのだ。


 今は宇宙に触れている。

 心の宇宙、蒼く紅く玄ろく白ろく、なおかつ色をもたない宇宙に触れている。


 わたしはそのように蛇になりたい。

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