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第10話 王都ウルカウ

 セレンちゃん、リカル、オレの3人で待たされているのは王城の一室。王都の宿で一晩明かし、次の日の朝に城を訪れた形になる。


「私こんな格好なんですが大丈夫ですか?」


 セレンちゃんの服装は至って普通、誰かと会うのに不自由はしないだろう。ただ、今回は王様に会うときた。不安になるのも仕方ない。


「陛下はそんなこと気にしませんよ。」


 王直属特務騎士団団長はそう微笑む。...そんなに寛大だったかな?

 この部屋に着いて5分もしないうちにドアがノックされた。


「陛下をお連れしました。」


 と、メイドの声の後、部屋に入ってきたのは...


「お待たせして申し訳ない、私が現王フラン・エカ・セウシムだ。」


(...は?)


 オレのよく知る人物だが、オレの知る王様ではなかった。




「はっはっはっ!なるほどな!」


 セウシム王の笑い声が部屋に響く、


「すみません、知っていると思っていたので伝えてなかったんです。」


「かまわん、たいしたことじゃないからな。」


 セウシム王は笑う。


「にしても襟巻きに転生か、面白いこともあるものだな。」


「こっちはびっくりしたんだが?いつの間に王様になったんだ?前はかなり嫌がってたじゃないか。」


 彼女はこの国の王女で実は名のある冒険者だったり。しかし、どんな心境の変化だろう。


「おまえが死んでから色々あったのさ。」


 あの優秀で真面目な前王が退いたということは、あの魔族との戦いが主な原因なのだろうか。


「おっと、客人を招いておいて関係ない話をしてしまった。」


 セレンちゃんはガチガチに固まってしまっている。目の前に王様がいるとなればこれが正しい反応だろう。


「さて、もう一度自己紹介しよう。私はフラン・エカ・セウシム、人族の王であり君の襟巻きの姉もしている。」


「言っておくけど血はつながってないぞ。それに、正確には元付き人だ。」


 細かいことは気にしない気にしない、まあよろしく。と、セレンちゃんに手を伸ばす。セレンちゃんはそれが握手を求めていることに気が付いたようで、慌てて手を差し出した。


「さて、本題に入ろう。君に来てもらったのは単純に会ってみたかったからだ。今回の魔物討伐の件はあまり関係ない。」


「えっと...私に会ってみたかった...ですか?」


「そう、報告書で名前を発見してね。前から会ってみたいとは思ってたんだが、立場上なかなか難しいだろう?こうして客人として招待した方が都合がいい。」


「私のこと知ってたんですか?」


 俺は教えた覚えはないし、会いに行くときは細心の注意を払っていたつもりなのだが。


「もちろん、名前だけだけどね。弟が休みの度に誰かに会いに行っている、それが女ともなれば流石に気になるだろう?まさかこんなに可愛いお嬢さんだとは知らなかくて少し驚きはしたけどね。」


「なっ、どこでそれを?!」


 俺とリカルは驚いた。王族に関わりがあることや、自分達の立場のことなど、セレンちゃんを面倒事に巻き込まないように立ち回っていたつもりだったのだが。


「私を舐めないことだ。まあ、このことに関しては手を回しておいた、情報は漏れてはいない筈だ。」


 流石は姉と言ったところか、なんでもお見通しだ。


「また話がそれてしまったな。セレン殿...うーんセレンでいいかな?セレンはどうして冒険者になったんだ?」


「どうして...とは?」


「お金に困っていた訳ではないだろう?ちなみに私はダンジョンに用があってな、修行の一環というのもあったが、冒険もできる、ダンジョンに入る資格がある、となれば冒険者になるしかないだろう?」


 セレンちゃんは少し考えた後、質問に対する回答を口にした。


「世界をこの目で見てみたかった、それが冒険者になった理由です。リジムさんから聞いた冒険の話とか、物語に登場した場所とか、そういう所に行ってみたいんです。」


 世界を見る。これは、部屋から出る事なく短い一生を終えるはずだった少女にとって夢そのものなのだろう。


「それに、冒険者になればリジムさんと一緒に旅ができるって思ったというのもあるんですけど...」


「ふむ、つまり世界一周か!良いではないか、是非旅の話を聞かせて貰いたいものだ。して、次に行く場所は決まっているのか?」


「いえ、候補はたくさんあるのですがまだ決めれてはいないです。」


「そうか、ならしばらくはここに滞在するといい。」


 こうして俺たちの王都ウルカウの長期滞在が決定した。




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