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序章 勇者さんと魔王様

 とある広場で2つの人影が戦っている。


 1人は人族(じんぞく)の青年。『六剣の勇者』と呼ばれる彼はその名の通り右手で1本、左手で浮遊する5本をまるで自分の手足のように操り攻撃を繰り出す。

 もう1人は魔族の男。『魔王』である彼は漆黒の鎧を身に(まと)い魔術と剣を駆使して猛攻を(さば)いていく。


 勇者の攻撃を(しの)ぎきり魔王の反撃が始まる。地を焦がすような火球の嵐が盾のように構えられた5本の剣すべてを弾き飛ばし致死の斬撃が勇者を襲う。だが、勇者は左腕に魔法陣の盾を生み出しそれを防いだ。なおも魔王の猛攻は続く。勇者が押されているという形になっていた。


 そして戦いの終わりは訪れた。


 魔王は勝負を決めるべく強力な電撃魔術を詠唱、勇者は既に攻撃手段を失い、血も流しすぎていた。それでもボロボロになりながらでも立ち上がる。


 勇者に向けて魔術を放った瞬間魔王は目を見張った。広場の床全体に魔法陣が引かれていたのだ。この短時間にどうやってと思ったが理由はすぐにわかった。()だ、戦いの途中で弾き飛ばした()()()()そして勇者がさっきまで持っていた()の6本目。地面に突き刺さった6本を基点に魔法陣が描かれていた。


 5本の剣、それを円を描くように地面に刺し、そのちょうど真ん中に最後の1本を刺すことで発動する結界魔術。勇者の切り札にして最終手段。本来は外からの攻撃を跳ね返すものだが今回は逆、内側からの攻撃を()()し反射する。魔術も使って戦う魔王の為に創った魔法陣。勇者はこの方法を使わなくとも勝てると思っていたが甘かった。魔王は彼の想像を遙かに超えた力で立ち塞がり勇者はこの方法をとるしかなかった。


 放たれた電撃は周囲に展開された結界によって反射、威力を増し逃げ場のない2人に襲い掛かる。2人の姿は閃光と爆煙の中に消えた。



 その後、勇者と魔王の死が世界中に広まり、2人が戦っていた原因の戦争は終わった。魔王の副官の活躍により魔王軍は撤退、人族とは和平を結んだ。


 世界はだんだんと平和に向かっている。




 ―――――――――――――――――――――――




 気が付くとそこは白い空間だった。ここはどこだろう。

 確か魔王と戦って一緒に死んだはず...


 頭がモヤモヤする。何かを忘れている気がする。何か約束が、やらなきゃいけないことが...


 そう、大切な約束...なんだったろう。


  視界がだんだん暗くなる。ここで俺の意識は途絶えた。



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