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幽霊館の少女

 どうしてハイポーションの値段でも一気にポーションが売れたのか……という疑問は残っていたが、結果的にシィルはかなりのお金を手に入れることが出来た。


 これを売り続けられたら生活に困ることはなさそうだ。


「これならお店を開いてもやっていけそうだね」


 少し気持ち的に余裕が出来てくる。

 ただ、やはりあれだけ一気に売れていった理由は気になる。

 でも、調べようのないことでもあるので気にしないことにする。


「お兄ちゃん、何迷ってるの?」


 リウが不思議そうに聞いてくる。


「何でもないよ」


 ハイポーション以上……エクスポーションで治る怪我……となると手足が動かなくなるくらいの怪我を負わないと試せない。

 さすがに自分の体で試す……なんていうことは出来なかった。


 ◇


 翌日も露店でポーションを販売していく。

 値段は昨日と同じハイポーションの値段で……。

 ただ、やはり一瞬で販売が終了してしまう。


「こんなにお金をもらっても良いのかな……」


 シィルはお金を入れた袋を見て恐怖すら覚えていた。

 今まで生活していくだけでいっぱいだったのが今では貯まる一方……。


 このままお金を貯めていけば本当にお店を持つこともできるかも……。

 そんな期待を持ちながらシィルは店じまいの準備をしていた。


 すると、そんなシィルの服を軽く引っ張ってくる少女の姿があった。



「あ、あの……」

「どうかしたの?」

「その……、お兄ちゃんがポーションを売ってる……?」

「うん、そうだけど、今日のポーションはもう売り切れちゃって……」

「ううん、違うの。お兄ちゃんの力を貸して欲しいの……」

「力を?」

「うん……」



 それからシィルは少女に事情を確認する。

 彼女が力を貸して欲しいと言ってるのはどうやらこの町の近くにある幽霊館……と呼ばれる建物についてらしい。


 元々立派な建物だったそこは、とある事件が起こってから幽霊騒ぎが起こるようになってしまった。


 そこの幽霊を払って欲しいと言ってきたのだ。


「でも魔物なんて僕は相手にできないよ?」

「えっと、幽霊ってポーションが弱いって聞いたから……」


 確かにそれなら自分に言ってくるのもわかるかも。


「……わかりました。どこまでできるか分からないけど頑張ってみますね」


 すると少女は嬉しそうな表情を見せていた。


「ありがとうございます。もし、幽霊を追い払うことが出来たら私の精一杯のお礼をさせてもらいますね」


 まぁ、この少女が出来るお礼なんて限られているだろうけど、それでも力になれるのならとシィルは幽霊館へ向かっていった。

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