治療
スローライフがしたい大賢者、娘を拾う。2巻が4月25日(木)に発売となります。
詳しくは活動報告にて
どうして僕のポーションが必要なんだろう?
疑問に思いながらもシィルは自分が作ったポーションを取り出す。
「普通のポーションですよ? これが必要なのですか?」
首を傾げるシィルだったが、ユースリッドの方は何度も頷いていた。
「これだ、これだ。これがかの癒やしの女神に愛されたという伝説のポーションだ……」
なぜかシィル自身の知らない単語が色々と付け加えられていた。
「えっと、その癒やしの女神に愛された……というのは?」
「あぁ、このポーションを飲めばたちどころに傷が癒やされるからな。そこから癒やしの女神に愛された……と言われていたのだが、知らなかったのか?」
それは初めて聞いたことだった。
どうやらポーションは癒やしの女神の力……だと思われてるんだな。
でも実際の作り方は子供でもできるようなものなんだけどな。
シィルは苦笑しながらポーションをユースリッドに渡す。それをまるで宝物でも受け取るかのように仰々しく受け取ったユースリッドは目を輝かせながらゆっくりとそのポーションを飲んでいった。
「お、おぉ……」
思わず声をあげるユースリッド。
彼を淡い光が覆ったかと思うと次の瞬間に手を開いて閉じてを繰り返していた。
「治った、治ったぞ!」
感嘆の声をあげるユースリッド。
何か怪我をしているように見えなかったが、どうやらちょっとした傷を受けて手が動かなかったようだ。
まぁポーションで治る範囲の怪我だったようで、それはよかった。
「それじゃあ僕はこれで失礼しても?」
「いや、待て……」
もう用事がないなら出て行って良いかなと思ったが、そうは行かずに呼び止められてしまう。
一体他に何をさせられるのだろうと思わず息をのんでいた。
「まだ礼が済んでおらん。せめて夕食くらい食っていくと良い」
えっと……。本当に良いのかな?
少し不安になりながらも他人の好意を受け取らない訳にはいかず、小さく頷くしかなかった。
そして、気がつくとシィルの前にたくさんの料理が並べられていた。
それは今まで見たことないような豪華な料理でそれを見るだけでユースリッドがどれほど感謝してくれているか分かるようだった。
今まで彼の手によっていろんな人に襲われたけど、どうやらそれはユースリッドの思惑とは違ったのかもしれない。
ただ、シィルを呼ぶだけのつもりが変な誤解が生まれて襲ってきたのだろう。
「さぁ、これは君のために作ったものだ。好きに食ってくれたまえ」
両手を広出て笑みを見せてくるユースリッド。
早速シィルは近くにある料理を取ろうとする。その瞬間に激しい音を鳴らして扉が開いた。
新作2種類始めました。
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