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奴隷商での再会

 結局、シィルはイーレンの誘いを断りきれずに奴隷を見るだけ見ていくこととなった。

 ただあれだけケリーが嫌がっていた割には中は清潔に保たれていた。

 白を基調とした壁に中で待機していた人たちも身だしなみがキチンとされており、ここが奴隷商であることを忘れてしまいそうであった。



「見た目ばかりきれいでも奴隷商のすることなんてどこも一緒だ!」



 ケリーがかなり反発している。

 奴隷商に何か嫌な思い出でもあるのだろうか?



「ケリー、何か奴隷に嫌な思い出もあるの?」



 確かに人が売られている様子は見ていて気持ちのいいものではない。

 それでもしっかりとした服装をさせられ、衛生面も良さそうなお店にいるわけだから想像していた奴隷商よりはしっかりとしているんだけどな。

 シィルはそう感じていた。

 するとケリーがぽつりと話す。



「いや、何でもないよ――」



 それ以上は何も言ってくれずにシィルは少し首を傾げていた。




◇◇◇



「いかがでございましょう? 私の奴隷達は?」



 イーレンが手でゴマを擦りながらやってくる。

 しかし、やっぱり買う予定はなかったので眺めるだけですみそうだ……。


 そう思いながらシィルは更に奥まで見ていく。

 するとそこに以前エリーのことを調べていたリンダの姿があった。

 目に光が止まってなく、以前の元気の良さは見受けられなかった。

 ただしその服装だけは新品……。

 そこだけを見ると違和感しか感じない。



「あの……この人は?」

「おや、そちらの女性がお好みで? お客様もお目が高い、そちらは今日入荷したばかりの奴隷でして――。ただ、少し反応に乏しいところがありますのでお値段も少々お安目になっております。いかがでしょうか?」



 ニコニコ笑みを向けながら聞いてくる。

 どうしてこのようになっているのか? それが気になり値段だけ聞いてみる。



「その値段はいくらくらいなのですか?」

「今でしたら金貨一枚でございます。しっかりと反応してくれる奴隷でしたら金貨二枚が相場になりますのでお安めだと思いますよ」



 本当にその値段が正規なものかはわからない。

 しかし、知ってる人がこのような状態になっている現状をただ黙って見過ごすこともできなかった。


 そこでシィルは自分のお金を取り出してみる。

 自分の手持ちは銀貨五枚……。

 半分ほどしかないので買うことはできない。


 ただ事情は気になるな。お金を集めて買えたとしても事情を聞くにはなぜこんな風になっているのかも調べないといけないかも。

 シィル自身がリンダと関わりがあったため少し気になる節があった。



「お兄ちゃん、この人にポーションを飲ませてみたら話だけでも聞けるんじゃないの?」

「うーん、それは勝手には出来ないよ。それにポーションだとこんな病気治らないわけだし――」



 リウが提案してくれるが、シィルは首を横に振る。

 ただ、この人が自分からポーションを買った後何かがあった。それがシィルが王都に滞在している間にまた起こるかもしれないと考えるとこのまま黙って見過ごすことも出来ない。

 そのためには――。



「金貨一枚……貯めるしかないか」



 ぽつりとつぶやくシィル。

 しかし、その声はそばにいたリウとあと一人、イーレンには聞こえていた。



「お金を稼ぐのでしたらおすすめの場所がありますよ。ちょうどあなた方に紹介できるお仕事が――」



 目を光らせるイーレン。それが不気味に思えた。

 するとシィルが何かを言う前にケリーが言葉を発した。



「そんなのいらないよ! 兄ちゃんにはポーションを売るって仕事があるんだからな!」

「ほう……、ということはこの人が噂のポーション売りということですか?」



 噂のポーション売り……という部分を聞いたリンダがすこし反応したように見えた。

 やはり記憶はまだあるのだろう。

 それならなんとかする方法もあるかもしれない。

 シィルはグッと気合いを入れると奴隷商を後にした。


総合評価23,000突破!!

たくさんの方に読んでいただきありがとうございます。執筆をする上で大変励みになっております。


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