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療養

 リンダが薬を買いに来た翌日。

 シィルは本格的に風邪を引き、熱や体全身の痛みに襲われていた。



「うぅ……、少し寒い……」

「大丈夫?」



 シィルの頭に氷魔法で冷やしたタオルを置き、心配そうに見つめるリウ。

 本来なら彼が作ったポーションでこんな風邪も治るもののそれの在庫はないらしい。

 今あるものは風邪を引いて本調子じゃないときに作った普通(・・)のポーションであった。

 こちらのポーションは道具屋等で売られているものと効果は変わらず、至って普通のポーションであった。


 さすがにこれは風邪を治す効果はなく、その結果シィルは寝込むこととなってしまった。


 シィルがポーションを売りに来ないとわかると何人もお見舞いに来ていたのだが、それを今ケリーが蹴散らしてくれていた。

 しかし、それでも全員は抑えきれなかったようでリエットが部屋へとやってくる。



「シィルくん!? 大丈夫?」



 心配そうにシィルに近付くリエット。

 ただ、それを阻むようにリウが間に立つ。



「お兄ちゃんに無理させたらダメ!」

「大丈夫、そのためにポーション(・・・・・)を見つけてきたから……。ミグドランド様が持って行けって……」



 そう言いながらリエットがポーションを見せてくる。



「それってお兄ちゃんの?」

「うん、そうだよ! いつもお世話になっているんだからこのくらいしないとね」



 ウインクをしてくるリエット。それならとリウは少し離れる。



「シィルくん、このポーションを飲める?」

「……うん、ありがと……」

「寝たままでいいよ」



 体を起こそうとするシィルにリエットはその体をベッドに戻す。

 そして、ポーションの蓋を開け、 シィルの口につけるとゆっくりと飲ませていく。



「んっ……」



 のども痛いのか少し飲みにくそうにする。

 それでも飲んでいくごとにその顔色は良くなっていく。

 そして、全て飲みきったときにはすっかり顔色は良くなっていた。

 そのあと、シィルはすやすやと心地好さそうに寝息をたて始めた。



「うん、もう大丈夫そうだよ」

「よかった……、お兄ちゃんいつも無理するから……」

「そうだね。次からはシィルくんに何かあった時のためにシィルくん用のポーションを取り置きしておかないとダメだね」




 リウとリエットが頷きあう。

 どうやら考えていたことは同じだったようだ。

 それがわかると二人で小さく微笑み出した。




 ◇◇◇




 一日も寝るとシィルの体調はすっかりと良くなっていた。

 そして、ポーションの方もいつもの何でも治せるポーションが作れるように戻っていた。



「うん、リエットが持ってきてくれた薬のおかげで調子が良かったよ」

「それはよかった……。それじゃあ今日はポーションを五本……いえ、六本もらえる?」

「あれっ、いつもより多く買ってくれるんだね?」



 五本取り出そうとしてたシィルは不思議に思い聞き返す。



「う、うん、ほらっ、だんだんポーションを買ってくれる人が増えて在庫がなくなったんだよ……」



 慌てふためきながら答えるリエット。

 自分のポーションがそれだけ人気が出てきたのならありがたいな。

 シィルはポーションを六本、リエットに手渡すとそのぶんの代金をもらう。

 するとリエットはシィルに見つからないようにポーションを一本リウに渡す。



「これ、シィルくんに見つからないように隠して保管しておいてくれる?」



 小声で言ってくるリエットに小さくリウは頷く。

 そして、受け取ったポーションをさっさとカバンの中にしまっておいた。



「それにしてもシィルくんが風邪をひいたときはどうしようかと思ったよ……。ポーションも無くなるし……」

「あははっ……、そんなときは道具屋で買ってくれていいんだよ? 毎回僕から買ってくれるのは嬉しいんだけど」

「そ、そんなわけには行かないよ! だから無理せずにしっかり休んでね!」



 そこまで無茶していたつもりではなかったシィルだが、最近色々なことがあったわけだし、自分の体調のことも考えないとなと少し反省をしていた。

三作同時更新をしました。


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