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新たな同居人

「そういえば、あの人が狙っていたのはエリーみたいだったんですけど、大丈夫なのですか?」

「シィルくんは心配しなくて問題ないよ。一応対策も打ってるからね。ただ、本当に使い捨てで情報だけ仕入れられたらいいと思っていたのか、背後の人物が全然掴めなくてね……」



 ミグドランドは少し歯がゆそうな顔をする。

 でも、昨日エリーを襲っておいて今日また街にやってくるような人だもんね。案外直接聞けば話してくれるかも……。


 いやいや、さすがにそんなことはないよね。自分の雇い主のことを話すなんて……。



「わかりました。何かありましたら僕の方でも調べてみますね」

「あぁ、任せ……いやいや、シィルくんは何もしなくていいよ。それは私の方で調べるから……。君は何もせずに、できたらあまり人前でポーションを売らないで欲しいところだけど、そういうわけにもいかないもんね」



 ポーションを売らないとさすがに生活できないからね。

 シィルは小さく頷いた。



「そうだ、例えば一度君のポーションを私が買い取って、その一部をエリーに販売してもらうというのは?」

「いえ、そんな……、悪いですよ。ポーションの販売については僕の方で考えてみますね」



 あっさりとシィルが断るとミグドランドは少し残念そうな顔をした。



「わかったよ。ただ、相手は元盗賊のようだから注意だけはしていてね」



 シィルが一度頷くとミグドランドは満足した様子を浮かべる。




 ◇◇◇




 ユーグリッド邸を出たあと、リエットはギルドへと戻っていった。

 その去り際に「何かあったら私も駆けつけるからね」といってくれたのがすごくありがたかった。


 そして、自分でお金を稼げるということが嬉しいのか、シィルの隣でリウが顔を染めて恍惚の表情を浮かべていた。

 鼻歌交じりに今にもスキップしそうな様子であった。



「リウ、前を見ないと危ないよ!」



 苦笑を浮かべながらリウを注意する。



「大丈夫です……へぶっ」



 シィルの方に向いた途端に人とぶつかるリウ。

 そのまま尻餅をつく。

 それを見ていたシィルは呆れ顔になりながら手を差し伸べてリウを起き上がらせる。


 そして、相手の人に近づいて行く。



「いたたたっ、ちゃんと前を見て……ってなんだ、兄ちゃんか」



 リウがぶつかったのは以前ポーションの作り方を教えた(結果的に作ることはできなかったけど)少年だった。


 少年はシィルの姿を見るとパッと起き上がる。



「兄ちゃん、俺も立派な冒険者になるために色々やり始めたんだ! まだ登録はできないけど、体を鍛えることはできるもんな。ちょうど配達の仕事もやり始めたし、このまま一流の冒険者を目指すぜ!」



 グッと握りこぶしを見せてくる少年。

 そういえば王都から出てきてこの街に来たと言っていたもんな。



「……泊まるところはどうしてるの? 宿取れてる?」



 リウがどこにも泊まらずに困っていたことを思い出して、少年に聞いて見る。



「いや、金はなるべく貯めるようにしてるからな。基本野宿だ!」



 笑みを見せながら言ってくる少年。

 それを聞いたシィルは少し悩みながら一度リウに聞いて見る。



「リウ、同居人が一人増えても大丈夫かな?」

「私は平気ですけど、あの子信用できるのですか?」

「僕は大丈夫だと思うけど……?」



 一度会っただけだけど、悪い子には見えなかった。それに目標のために日々精進しているところとかはシィルも見習いたいと思えるほどだった。


 しかしリウはそれだけでは信じられないのか、いくつかの質問をしていた。それもただ聞くわけではなく、手元を淡い黄色の光魔法で輝かせながら……。



「まず、あなたの名前はなんですか?」

「俺はケリーだ!」



 いきなり質問されたことになんの疑いも持たず、すぐに答えてくれる。



「出身はどこです?」

「元々は王都住みだ! この街にはすっごいポーション売りがいると聞いてやって来たんだ!」

「ではそのすっごいポーションとは?」



 最後の質問をしたタイミングでリウがケリーの反応を集中して伺う。まるでこれが一番聞きたかったことのように……。

 しかし、その様子に気づかないケリーはなんの疑いもなく質問に答える。



「俺も兄ちゃんに教えてもらったけど、全然ポーションを作れなかった。あんな難しいものが簡単に作れるなんてすっごいよな」



 微妙に質問とはズレた回答をしてくるケリー。

 羨望の視線をシィルに向けて来ていた。

 リウは手元に発動した彼女特製の光魔法『対象が嘘をつくと使った本人にだけわかるように微妙に色を変える魔法』を収束させる。

 そして、小さくため息。



「確かにこの子は信頼できそうですね」



 ケリーは一度も嘘を言っていない。

 つまり、ケリー自身はシィルのポーションについて何も知らないことになる。

 そういった人ならシィルの近くにいても問題はないかなとリウは判断した。


 それを聞いてシィルは少し嬉しそうに少年に提案する。



「ケリーくん。君、僕の家に来ないか?」

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