ポーション売り捜索
「ちっ、町ぐるみでポーション売りのこと隠しやがって! ようやく情報を仕入れることが出来たと思ったら兵士の護衛付きだと!? 一体どうなっているんだ!」
悪態を吐きながら町の外へと向かう赤髪の女性、リンダ。
元は盗賊であった彼女がポーション売りを探していたのには理由があった。
◇◇◇
彼女はとある貴族に捕まってしまったのだ。
盗賊が捕まった後の未来は奴隷落ちか処刑されるか……である。
しかし、その貴族はこの町に何でも特別なポーション売りがいるという噂を聞いて、リンダに交換条件を持ちかけてきたのだ。
そのポーション売りを連れてくれば罪は取り消してやる……と。
そして、その条件を飲んだリンダは早速この町にやってきてポーション売りを探し始めた。
まず人捜しと言ったらギルドだな。
まっすぐに町のギルドへと足を運ぶ。するとちょうどギルドから背丈が小さく、あまり強そうには見えない少年が出てくるところであった。
こんなガキも冒険者なのか……。この町も終わっているな。
そんなことを思いながら少年を一瞥し、そのままギルドへと入っていく。
そして、まっすぐに受付へと向かうとそこにいた茶髪の少女に話しかける。
「聞きたいことがあるんだがいいか?」
「はい、何でしょうか?」
「このあたりでポーション売りがいると聞いたのだが、どこにいるかしらねーか?」
さすがに攫うためと言っては教えてもらえないだろうから、そこは言わずに聞いてみる。
すると少女はほんの少しだけ目の色を変えていた。
ふむ、さすがはキルドの受付を任されているだけあって表情にはほとんど出ないか……。
それでもリンダにはそのほんの些細な変化からポーション売りが本当にいることと、それをギルド側は隠したいと言うことを察した。
「いえ、私はちょっと知らないですね」
受付の少女は予想通りの返答をしてくる。
あまり突っ込んだ質問をして気取られても困るからな。
リンダはここではこれ以上情報を仕入れられないと思い、「すまない、邪魔したな」と言ってギルドの出口へと向かって行く。
しかし、出て行く直前に興味深いことを耳にすることとなる。
「お前もエリー様からポーションを買ったのか?」
「あぁ、あの笑顔を向けられたら買わざるを得ないだろ?」
「そうだよな……まるで天使の微笑みだ……なんだかポーションもいつも以上に効いてる気がするしよぉ」
「がははっ、さすがにそれは気のせいだろ」
「そう……だよな」
口ではそう言いながらも腑に落ちていない様子の男
なるほどな、ポーション以上の効能を持つポーション……お貴族様が食いつきそうなネタだ。
つまりこの町のポーション売りはエリーとかいう人物なんだな。それに様付けされてるから身分の高い……貴族の可能性がある。
つまり、ことを荒立てないために失敗したら即切られるということだな。
それに相手が貴族なら普通は無茶なことはできないわけだ。
リンダは口元を少し釣り上げて笑う。
そして、そのままギルドを出て行った。
◇◇◇
それから町に出るとエリーという人物がどこにいるかを探し始める。
ただこれは前情報から簡単に調べることができた。
「なぁ、あんた。今日、エリー様はどこでポーションを売ってるんだ?」
「ポーション売ってたかはわからねーが、西門の方へ歩いて行ったのは見かけたぞ!」
「おう、さんきゅー」
ポーション売りというだけでは隠されていた情報。
しかし、名前を知ってる人には甘いのか、それとも別の理由があるのか……。
罠を張られている可能性もあるわけだ。
それでもリンダは前に進むしかなかった。
「まぁなるようになれ、だ!」
気合いを入れるとリンダはエリーが向かった西門の方へと向かって行く。
道中で自身の装備である短剣の調子を確かめながら……。
◇◇◇
西門付近までつくと周りをキョロキョロと見ているお嬢様風の女性を発見する。
リンダは気配を消し、目の鼻の先まで近づいてから聞く。
「あんたが『特別な』ポーション売りのエリーか?」
「えっ、あ、あなたは!? それにどうして?」
その返答を聞いたリンダはこれは当たりだなと感じた。
どうして……つまり、自分が売っているポーションが特別なものだと知っている。
「なるほど、なら来てもらおうか!」
懐から短剣を取り出して空いている手でエリーの胸ぐらを掴んだ。
◇◇◇
貴族であることを考えると兵士がついているのはおかしくはない。
だが、自分が撤退を選ばざるを得ないほどの数というのは明らかに異常だ。
これはこの町全体で隠している何かがあるということだろう……。
まだまだ情報が足りないな……。しかし、顔が割れてしまった。さて、どう動くべきか……。




