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謎の少女

本日二話目だよ。注意してね

 アランを部屋に招き食事の用意をしていると、例のごとく、他のパーティメンバーもそれぞれ思い思いのおかずを持って現れた。


 不思議なことに、その二人の登場でアランは汗を垂らし、焦っているように見えた。



「なぁ、アラン。今日はゆっくり飲もうな」



 肩を組み、手に持っていた酒をアランのコップに注いでいくニーグ。

 その目は笑っていないように見える。



「……それよりこっちは私特製のスープ。様々な効果があるから飲むといい」



 ミリシアが差し出してきたのは紫色をして変な匂いも漂っている、おおよそスープとは言えない代物であった。



「い、いや、今はシィルくんの前……だから」



 固まった表情のアラン。

 なんとかその場を逃れようとするが、その方法は見つからない。

 仕方なくアランはシィルに向かって頼みごとをいう。



「シィルくん、悪いがポーションを一つ……俺が倒れたあと飲ませてほしい。金は払うから……」



 それだけ言うとアランはミリシアのスープを飲み干していく。

 そして、突然目をカッと開き、泡を吹いて倒れてしまう。



「えっ!?」



 それを見てシィルは驚き固まってしまう。

 そこでさっきアランに言われたことを思い出し、慌ててポーションをアランの口に流し込んでいく。


 するとアランはすぐに復活する。



「ふぅ……この場にシィルくんがいてくれて助かった……」



 体調を確かめるように手をぐるぐると回す。



「お前のスープは栄養だけ(・・)はあるんだが、すごい味だからあまり作るなっていったのに……」

「一人だけサボった……バツ……」



 そう言われるとアランは口をつぐんでしまった。

 えっ、バツ?

 しかし、シィルにはなんのことかわからずに、ただジッと成り行きを見守っていただけだった。




 ◇◇◇




 来客があるとあっという間に騒々しくなるシィルの家だが、スラと二人になると急に物静かになる。

 さすがにこんな広い家だと少し寂しいかも……。

 部屋も余っているわけだし、困った人がいたら泊めてあげてもいいかも……。


 そんなことを考えながら今日もポーション売りに向かっていった。



「あっ、シィルくん……、あれっ、その子は?」



 その子? 自分以外誰もいないのに……。

 そんなことを思いながら後ろを振り向くとそこにはボロボロのローブを着て、顔をそのフード部分で隠した少女が立っていた。



「あれっ、君は?」



 突然後ろに立っていた少女。何か自分に用事があるのではと聞いてみるが、何も言わずにそのまま去っていった。



「なんだったのだろう……?」



 シィルは首を傾げ、去っていく少女を眺めていた。




 ◇◇◇




 いつも通りポーションを販売していく。

 しかし、シィルはどこか上の空であった。



「さっきの子って誰なんだろうな?」



 さも自然に自分の後ろを歩いていた。

 やっぱり何か自分に用事があったのでは?

 でも、シィルは彼女のことは知らなかった。


 さすがにあんな目立つ服を着ていたらわかると思うんだけどな……。

 不思議に思いながらも今日のところはそのまま家へと帰っていった。




◇◇◇




 それから数日間、あの少女は毎日シィルの後をつけていた。

 そして、声をかけた途端にどこかへ逃げていってしまう。

 一日だけならそれもあるかと思うのだが、それが数日続いたことで少女が何か言いたいのではと勘ぐりを入れ始める。


 シィルが声をかけたタイミングが悪かったのでは思い、話しかけたときの状況を思い返す。

 そういえばちょうど声をかけていたタイミングはシィル以外にも人がいた。

 もしかすると自分以外の人には聞かれたくないのだろうか?


 少しだけその可能性を考えてみる。

 やっぱりこの可能性が高そうだ。それ以外思いつかない……。

 シィルは数度頷いた後に今度あの少女を見つけたときには一人になったタイミングで声をかけようと心に決めた。


 そして、さらに数日が過ぎた。

 なかなかシィル一人という状態にならなかった。

 周りを見て誰もいないことを確認したはずなのにいざ声をかけるタイミングでは自分の近くに寄ってきている。

 それが度々あった。


 まるで自分を見張っているようなそんな気にもなる。

 いやいや、ただのポーション売りの自分を見張るなんてそんな暇人いるはずないよね?


 ふと浮かんだ考えだけど、首を振って自分で否定する。

 それよりももっと警戒して周りを見よう。あの子と話すときには誰もいないように……。


 するといつものように自分の後ろに付いて回る足音が聞こえ始めた。

 そのタイミングでシィルは少女に気づかれないように周りを探る。


 うん、今なら誰もいなさそうだ。


 それを確認するとゆっくりと少女の方に振り向く。



「何か僕に用かな?」



 毎回同じことを聞く。そして、これを言い切ったタイミングで逃げていくのだが、今回は手をグッと握りしめなんとか逃げることを堪えているようだった。



「あ、あの……、その……えっと……」



 あたふたとしてうまく言葉に出来ない様子だった。

 もしかして、今までシィル以外がいたときに逃げていっていたのって人とうまく話せない……人見知りだったから?

 思わず手をついてため息を吐きたくなるが、なんとか堪えて少女が話しやすい環境を整える。


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