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別のナニカの短編置き場

看板は見ていた

作者: 別のナニカ

またくだらないです……ほんとスイマセン……


短編シリーズ 第2弾

上を見よ、という看板が突然目の前に現れたので、上を見てみました。

 何もありませんでした。ただ青い空が一面に広がっているだけでした。

 

 下を見よ、という看板が続いて目の前に現れたので、下を見てみました。

 何もありませんでした。アスファルトでした。

 

 左を見なくていい、という看板が目の前に現れましたが、興味本位で見てしまいました。左を。

 そうしたら、驚くべきことに、なんと、まるで私が左を見るのを予測していたかのように、当たり前のように、何もありませんでした。

 あ、今、おばあさんと目が合いました。が、一瞬で逸らされました。

 

 ただコンビニに行くだけの道なのに、いろんなことがありました。

 まず、なぜいきなり看板が現れたのか。私にはとうてい分からないことです。誰かのいたずらでしょうか。……まさかさっきのおばあさん?

 

 さて、コンビニは目の前です。

 あ、来ました。そろそろ来ると思ってました。

 右を見よ、という看板です。私はなんのためらいもなく、右を見ました。ドキドキです。

 すると、なんと、また、右を見よ、という看板がありました。

 指示通りにまた右を向くと、なんとまた、右を見よ、という看板が。

 

 

 一体何周したのでしょうか。そろそろ目が回ってきました。

 右を見ても右を見ても、『右を見よ』という看板は消えることがありませんでした。

 私は永遠に右を見るためにクルクル回り続けなければならないのでしょうか。

 

 目が回って気持ち悪くなってきたとき、あることに気づきました。

 

 止まればいいのだ、看板なんて無視すればいいのだ、と。

 

 よし、さっそく止まってみましょう。この無限ループからついに解放されるときです。

 

 ……ずっと回っていたため、しばらくは視界が歪み、うまく立てませんでした。

 しかし、落ち着いてみると、気づいたことがあるのです。

 

 看板が消えている。

 

 私はなぜか、寂しい気分になりました。

 

 ずっと、見守ってくれていた気がしたんです。看板が。

 

 涙をこらえ、また看板が現れてくれるのを望んで、私は今日も、生きる。





実は気づいていました。私の背後で、

 『前を見て生きよ』

 という看板が現れていたことに。

最後まで読んでいただきありがとうございました

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― 新着の感想 ―
[一言] 星新一さんは好きですか? 久しぶりに、星新一さんの短編を読んだ気分です。 星新一さん嫌いでしたら、申し訳ありません。 今後も、シュールさと笑いと教訓の入り混じった作品を期待しています。 …
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