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感激のモヒート

汗がワイシャツの首を締め付けるかのようにまとわりついている。


社会人になって2年が経つ。随分と外回りにも慣れたが、この夏の暑さだけは慣れない。


得意先から得意先に移動する時に、時間があればカフェにで入って冷たいアイスコーヒーなど


飲む事こともしばしばあった。


そんなある暑い日にそのカクテルに出会った。


その日は繁華街を歩いている時に見つけた看板に吸い寄せられる様にその店に入った。


「いらっしゃいませ」


30過ぎのベストに蝶タイのマスターが笑顔で迎えてくれた。


「昼2時からオープンってめずらしいですね」


俺はそう言うと8席ほどあるカウンターの窓側に腰を下ろした。


15坪ほどの大きさの店内には一面に大きな窓があった。


燦々と降り注ぐ日光がBARと思えない店内の明るさを出していた。


「ビールもらえますか」


「かしこまりました。」


昼間とは言え、この暑さではビール一杯飲んだところで汗ですぐに出てします。


さすがに仕事中とは言え罪悪感はまったく無かった。


ボサノバが店内をゆったりとした雰囲気にしていた。


マスターとの会話も心地良く、昼酒の醍醐味を味わってる気がしていた。


暑さで仕事の気力はほとんど失せていた。


黒板におすすめが書かれているのが目に入った。


『モヒート』


「何ですか。モヒートって?」


「フレッシュミントを潰してラムと砂糖を入れたキューバで有名なカクテルです。」


聞いた事はある気がしたが飲んだことは無かった。


実際、酒は飲むがBARといってもTシャツにジーパンでやってる様なカジュアルなお店にしかいった事が無い。


「うまいですか?」


愚問だった!


「暑い日には最高ですよ!ミントと言ってもフレッシュの爽快感は違いますかね」


ビールが残り少なくなっていたので、飲んでみる事にした。


大ぶりのグラスにフレッシュミントを入れてなにやらすりこ木の様なもので潰しだした。


そこに、ホワイトラムをたっぷり入れた。


マスターの手つきは鮮やかでついつい見とれてしまった。


粉砂糖を入れるとクラッシュアイスをいっぱいに入れてかき回し、最後にソーダを少し入れた。


ストローが刺さって、俺の前に差し出された。


作っている時からミントのいい香りが漂っていた。


「うまい!」


ついつい口に出てしまった。


暑さでイライラしていた感があったのに、一口飲んでその爽快感に気持ちが変わった気がした。


たっぷりのラムが入ってるのできついはずだが、それも感じさせない!


フレッシュミントの香りはまさにリラクゼーション効果があるかの様だった。


「この時期は最高ですね。ミントがいい状態でしかつくれないですからね」


マスターとその後モヒートの話をした。


作り方もさまざまでそのお店やバーテンダーによってかなり違いがあるので、店ごとで違ったモヒートが飲めると言うような話だった。


仕事の途中で暑さに嫌気がさしていた気持ちがたった一杯のモヒートで変わった。


表も昼2時からオープンの看板が無ければ、このモヒートとの出会いも無かっただろう。


それから、気持ちが萎えかけた時は「モヒート」を飲む事にした。


季節感!その季節に何故その物があるのか?それは意味があるから!


一年通して飲める物あるが、その季節だからいい物もある。


四季のある日本の楽しみ方!


夏には夏の物を楽しむ!


暑くなってきたら迷わず「モヒート」それが俺の夏の季節感だ!





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