04 同じ人
〈04 同じ人〉
それは、友達との約束だった。
この約束を果たす代償として、ずいぶんとぼろぼろで不完全な姿になってしまったと自嘲する。
仕方が無いことだとしても、この使命を全うすればばらばらと崩れ落ちるように死ぬだろう。
準備のために、まず一人の少女に声をかけた。
「君は、伊藤明だね?」
*
不思議と私によく似ているその人は、私の名前を尋ねてきた。
髪の色も目の色も身長も同じくらいで、でも、性別がわからないくらいにやせ細っていて、あちこちぼろぼろの服を着ていたことは私と違う所で……もしかしたら自分もそうしようと思えば出来るような気分にもなる。
「そうですが、なにか……」
「怪しいと思われてもしかたないか……ジブンは、野呂瀬眼って名前なんだ。年は……一応16歳、きっと君と同じだと思うよ」
野呂瀬……あれ?
いや、気のせいか偶然のどちらかだよね。
「えっと、じゃあ眼と呼ぶけれど……」
「こっちも、明と呼ばせてもらうよ」
眼はにこりと笑みを浮かべて、私もつられて笑う。
「なんで名前を知っていたの?」
「これから話すことに関連するんだ。でも、君はジブンとあったことはすぐに忘れちゃうかもね、それだけ曖昧な存在だと言うことをまずは言っておくよ」
どういうことだろう、こんなに不思議な人なのにすぐに忘れるなんて……曖昧な存在だというのは、性別がわからないことにも繋がっていそうな気も少しだけする。
「まず、そうだな、ジブンでジブンのことを間違うわけが無いけど、君には那由多って名前の友達はいるかな?」
「えっ」
問いかけているけど、ただの推測で言ったわけではなさそうな、確認しているような気がして、戸惑いながらも私は首を縦に振る。
それに、自分で自分と言っている所が、まるで……。
「そっか」
眼はくるりときびすを返して私に背を向けて、指を指した
「ねぇ、座って話そう……あっちなら良いか」
その先はバス停のベンチで、眼は先にすたすたと歩いていって腰掛けると、隣に来るようにと空席をぽんぽんと叩いた。このまま帰るのも失礼だから、と私はそのまま近付いて隣に腰掛ける。
隣に確かにいるのに、すぐにでも消えそうな雰囲気がして、少し怖いような気分、
「で、話って?」
「ジブンの正体とその経緯かな、手伝って欲しいこともある」