君との思い出
『8年待ってて。8年たったら戻ってくるから。その時はまた、一緒にお祭り行こう?』
あの時彼女はそう言った。小学校六年生、12歳の夏祭りの夜だった。
一緒に花火を見ながら。
その時君が言った言葉。とてもショックを受けた。
『私、引越しするんだ・・・』
いつの間にか君は居なくなったんだ。まるで神隠しにあったように。
その日から、皆がおかしかった。
クラスの友達に聞いても、先生に聞いても、お父さん、お母さんに聞いても誰も知らないって。
君の行き先を知らないんじゃなくて、君の存在を知らなかったんだ。
僕が君の話をするたび、皆は「そんな子はいないよ」って笑ってくる。
何度も、何度も皆に説明したけど、信じてくれなかった。
先生なんか学級名簿にも載ってないぞ。って言ってきた。
その事があってから、僕は君の話をしなくなった。
だって変な事言う奴だって苛められたくなかったし、本当に君が居たのか、僕にもわからなくなったから。
でも、僕が君の事を忘れてから、不思議なことが幾つも起こった。
僕達の住む町で、妖怪を見た! とか足のない人がこっちを見てきた。とかそういう話が凄く増えたんだ。
でも、それもすぐに無くなって、君の事を本当に忘れたまま、大人になったんだ。
そして12歳になって迎えた夏祭り。
突然君は現れた。