五分五分なのですが・・・
「して、翔吾であったか、おぬしがこの干し椎茸を作ったのか」
悪代官顔のクロード様が、俺→ヨイチさん→石花様と渡ったのであろう献上品の干し椎茸を前に置き、そう聞いてきた。
「はい、私めが作りました」と答える俺。
「これはもっと作れるか?」とクロード。
「いえ、たまたま裏山で見つけたものを干して作りましたモノでして。また、たまたま見つかれば作れますが、そうそう見つかるものでもないでしょう」と俺。
「椎茸はこの時期はよく食べるのぉ」とクロードは家来顔のシゲサブローにきいた。
「干しておらぬ椎茸は今ごろはちょっくら献上されますだで」とシゲサブロー。
「俺ひとりでではそうそう見つけられるものではありませんので、まずはお殿様が人手を集めて人海戦術で椎茸探しをさせてみてください。多少は見つかるでしょう。見つけたら、その場所を覚えさせてください。そこは椎茸が生えやすい場所です。そしてクヌギかナラの木をご用意ください。後は実際に作業にたずさわる人たちにと打ち合わせします」
と、俺は逆行転生の醍醐味、椎茸栽培を藍原のクロード様に手伝わさせようとしてみた。
「うむ、それでこれ(干し椎茸を指さしている)ができるのか?」クロード。
「そうですね、五分五分で」俺。
「なんじゃ何じゃ、心もとないのぉ」と言って笑うクロード。
『ぅん、この殿様、好きかも… (悪代官顔だけど)』
「これも五分五分なのですが・・・」
俺は、この悪代官顔の藍原様が、何となくだが信頼できそうに思えて大勝負に出てみることにした。
「西三川の方で砂金がとれますよね?」俺。
「そうじゃな」クロード。
「あの辺は羽茂の本間様のご領地じゃ」
と、これは茂三郎と呼ばれた家来顔のお侍さんだ。
「それで沢根様とイザコザしとるの」と、これは石花様。
「うむ、河原田の本間様もチョッカイをかけようと考えとられる」これはクロード。
「なんとまぁ、そんな本間様同士で争わなくても、島中みんなで幸せになれますよ」と、俺。
「西三川の方では砂金ですが鶴子の方では銀が出るはずです」と、俺が続けた。
「何っ! 銀が!?」クロード。
「お聞きになったことはございませんか?」俺。
「ない」クロード。
「ないのぉ」ゴローザ。
「鶴子となるとあそこら辺も沢根様とイザコザしそうですな」ゴローザ。
「鶴子で銀… まことか? 翔吾」クロード。
「五分五分です」と笑う俺。
「翔吾よ、時をさかのぼって来たと言うたな。おぬしがおった世界では鶴子で銀が掘られておったのじゃな?」と、ちょっと鋭さをみせるクロード。
「ぃゃぁ、実は私のおりました世界では、もう掘り尽くされておりました」と苦笑いの俺。
『まだ内緒だけど金もたくさん出るよ』
「鶴子にはこちらと、あちら側、相川の辺からも登れませんか?」と、俺が聞くと、
「あいかわとはどこじゃ?」とクロード。
『あれ? あの辺、相川って言わないのかな?』
「とにかく人手を集めて鶴子で銀を探してみてください」と、俺。
「うむ、そうじゃのぉ、茂三郎、五郎左、人を集めよ。探させるぞ」とクロード。
「はっ」
「かしこまりました」
シゲサブローとゴローザが、いかにも家来らしく返事をした。
『確か鶴子銀山も石見銀山も発見者が「海から山を見てたら光ってみえた」とか言う逸話があったよな…』
それも伝えておこうと、
「本当かどうかはわかりませんが、鶴子銀山の発見者は海から山を見ていたら光ってみえたので探してみたら銀鉱石を見つけたと言うような言い伝えがございます」俺。
「よし、晴れた日に船を出して確認させてみよ」とゴローザ。
こうして、鶴子銀山探索隊が結成されることになった。
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「翔吾、他にはどうじゃ? 何でも言うてみよ」とクロードが言うので俺は、
「そうですね、まずは銀鉱石が見つかりましたら俺のことを信じていただけたらと思います」と言った。
するとクロードは、
「銀が見つかっても見つからなくても、おぬしはワシが抱えるぞ。先ほど自分で役に立つと言うたではないか」と言う。
どうやら俺は藍原大和守蔵人秀貞の家臣になったようだ。
「それは有り難い限りです。では、いくつか考えていることを申し上げます」
そう言って、俺はやってみたいことを列挙していった。
二回目言うよ(;´∀`) 登場人物については、パラレルファンタジーフィクションってことで、ツッコミはナシでお願いします、はい(^O^;)




