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瀬戸内はご存知村上水軍

 大岡丸と黃連丸、緑連丸が北に向かった。

 今回もホームステイ組として母子二組を乗せていった。


 遠山丸が台湾から博多へ、そして博多から佐渡へと帰って来た。

 こちらから乗り込んで行った池田直正(ナオマサ)は台湾に残って入植の差配を続けている。

 戻ってきたのは遠山丸だけで、赤連丸と青連丸はそのまま台湾での(アシ)として残してきたらしい。


『そりゃあそうか。必要だもんな』


 黄門丸に乗り込んでいた井田尋季(ヒロスエ)殿は遠山丸で帰って来た。

 遠山丸の乗組員いわく、台湾までの海は日本海の海とは荒れ方がまったく違うとのことだ。


『やっぱり外洋なんだな…』


 〜 〜 〜 ※ 〜 〜 〜 ※ 〜 〜 〜


 井田尋季(ヒロスエ)殿と一緒に黄門丸に乗り込んでいた多田三助(さんすけ)殿は博多で神屋さんと相談して、黄門丸で瀬戸内を堺まで行ってみようと言うことになったようだ。


 蝦夷からの荷は全部明の商人に売れてしまっており、積み荷は明の絹や陶磁器、そして大量に仕入れた銭だ。

 こちらが欲しいのは、とにかく穀類だ。

 米、麦、粟、稗、蕎麦だ。

 芋や豆でもいい。 


 瀬戸内を仕切っているのは、ご存知村上水軍だ。

 村上水軍も細々と分かれていて、所々でいわゆる通行税を払わなければならない。

 逆に言うと、所々で仕切っている水軍に金を払えば、額によっては案内までしてくれる。

 瀬戸内海の浅瀬に乗り上げたりしないように、ここはしっかり払うものを払って、堺まで連れて行ってもらおう。

 村上水軍(むこう)はむこうで、こちらの船(特に帆)に興味津々だし、今後のことも考えて仲良くしておこう。


 途中の寄港地では麦と大豆はまあまあ仕入れることはできたが、米はほとんど買い付けられなかった。

 この辺はそこまで不作でもなさそうなのだが、きっと戦に備えているのだろう。

 堺まで行くと、米がドッサリ出てきた。

 堺では銭が何よりものを言うようだ。

 と言うか、堺、どんだけ蔵に米がうなってるんだ!?


 そこで多田三助(さんすけ)殿が機転を利かせて、積み荷とは別便で陸路(とは言え、途中琵琶湖と日本海で船だが)で佐渡送りの米を発注した。

 代金は黄門丸に積んでいた銀の残りを半金に、佐渡に荷が届けば同じ量の銀を支払うと言う内容だ。


 サンスケ、よくやった!

 正直、高値ではあるが、越後の新田開拓事業も台湾入植計画も、今欲しいのは銭より米だ。

 今は高くても穀物が欲しい。


 〜 〜 〜 ※ 〜 〜 〜 ※ 〜 〜 〜


 遠山丸は松ヶ崎のドックで整備に入った。


 安宅クラスの和洋折衷船はまだ出来てこないが、新しくガリオット船を模した船が二艘出来てきた。

 ガリオット型 (サーワタイプ)としてサーワ1号、2号と名付けよう。


 出来てきたガリオット型 (サーワタイプ)は、関船クラスの和洋折衷船が一回り小さくなった感じで、目新しさはなかった。

 ただ、サーワ1号、2号からは羅針盤付きになった。

 佐渡のスコップ部隊が各地で鉱山開発に勤しむ中、金銀以外にもいろいろと掘り出しており、中には磁鉄鉱もあったので、技術・開発部門で作ってもらっていたのが出来てきたのだ。


 この二艇は、1号は蝦夷行きの、2号は博多行きの直行便として、それぞれ途中寄港せずに行き来させるようにしよう。


 ヨット型 (ハーモタイプ)も続々と出来てきており、佐渡と直江津、柏崎、蒲原、岩船、佐渡と敦賀、小浜の間を以前とは比べ物にならない頻度で行き来している。


 ハーモタイプにも新しく出来てきたものには羅針盤を付けた。

 台湾に残されている助さん丸と格さん丸には羅針盤が付いていないので、第二弾入植者を乗せて行く時には羅針盤付きで行って、赤連丸と青連丸には帰ってきてもらおう。

サンスケが堺から送った荷は、堺から海路で淀川に入り、伏見で荷を降ろして陸路に、大津からは琵琶湖をまた船で塩津まで、塩津からはまた陸路になり、最後は川舟屋さんが佐渡まで運んできた。

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