和平案検討の一幕
「馬鹿にされとるのか?」と新発田伯耆守綱貞。
「いや、それが陰陽師らしい」と加地安芸守春綱。
「面妖な格好をしておった」と中条弾正藤資。
「わしらが皆敵にまわっても春日山が勝つのか…」とツナサダ。
「その場合は何年も争って、結局春日山が勝つと言いよった」とハルツナ。
「わしらが春日山につくとすぐに終わると」とフジスケ。
「春日山についても報奨は期待できん」とツナサダ。
「それはそうじゃが、かと言って何年も戦って負けては疲弊するだけじゃ」とフジスケ。
「じゃから負けると言いよる奴らのことを信じるのがそもそも、じゃな、勝てんのか…?」とツナサダ。
「その、軍師だか、陰陽師だかが妙な術を使いよるのか?」とハルツナ。
「うむ、あっという間に村の周りに壕を掘りよった。それに奇妙な弓を使いよる」とツナサダ。
「酒が透き通っとるんじゃ」とフジスケ。
「酒は今はかんけ、い… 美味いのか?」とハルツナ。
「美味い、あれは美味い」とフジスケ。
「イカも美味かった。塩っぱくて酒とよう合う」と竹俣式部清綱。
(和平の話し合いには五十公野氏と竹俣氏も参加している)
「式部殿、あの店に行かれましたのか?」とフジスケ。
「何度も通っとる。かけ蕎麦と言うのもな、あんなそばの食い方は初めてじゃ」とキヨツナ。
「むう… どうも戯れ言と無視できん奴らよのお」とツナサダ。
「北に出向いて本庄と鮎川に話に行くだけなら、さしたることでもなかろう」とフジスケ。
「それがどうにも屈辱的じゃ」とツナサダ。
「兵力では勝っちょるしの」とハルツナ。
「力尽くで城を奪い返すのですか?」と五十公野弥三郎景家。
「それがじゃ、それがどうにも…」とツナサダ。
「どうにも、どうなのですか?」とカゲイエ。
「奇妙な弓もそうなのじゃが、紐みたいなもんで石を投げて来よる。こっちは矢を放っちょるのに、向こうは石じゃ。それが矢と変わらんぐらい飛んできよる。やりおうたら矢がもったいのうて割にあわん」とツナサダ。
「やはり本庄と鮎川に行こう。わしも行くで。向こうも向こうで黒川らとああじゃこうじゃと言うとるんじゃろ」とフジスケ。
「屈辱的じゃ…」とツナサダ。
「澄んだ酒飲ましちゃるち」とフジスケ。
「柿の酒も美味かったぞい」とキヨツナ。
「そんなもんもあるんか?」とハルツナ。
〜 〜 〜 ※ 〜 〜 〜 ※ 〜 〜 〜
新発田氏はショーゴの提案した二つ目の案を承諾し、中条氏も含め、各氏とも騎馬兵のみを率いて北へ向かった。
「本庄氏と鮎川氏にも、兵をおさめてくれたら正条植えのやり方を教えますと言ってください。後、お茶の種もわけます。お茶は平らじゃない山あいでも植えられますし。それと、干拓についても相談しましょう」
と、北へ向かう前に、本庄氏と鮎川氏の説得にあたっての土産話も持って行ってもらった。
結果、本庄氏、鮎川氏と挙兵する、しないでつばぜり合いをしていた、黒川氏、色部氏も一緒に宮川の村までやってきて、飲み食い屋(猪口酒屋)のメニューでもてなしながら、佐渡と揚北衆との宮川協定が取り交わされることとなった。
【宮川協定】
越後宮川本間領地内飲み食い屋(猪口酒屋宮川店)
[列席者]
本庄房長
鮎川清長
黒川清実
色部勝長
中条藤資
新発田綱貞
加地春綱
五十公野景家
竹俣清綱
本間賢密
本間高康
菱田翔吾
[協定内容]
・佐渡本間家は揚北衆の領地の田にて正条植えの手ほどきをする。
・正条植えの手ほどきを受けた翌年に限り、米の収穫量が増えた分の半量を佐渡本間家に渡す。
・佐渡本間家は揚北衆の領地の沼や潟にて、干拓の手ほどきをする。
・干拓の人足は各々の領地にて集め、かかる費用は佐渡本間家が貸し出す。
・干拓により新しくできた田の年貢は三公四民三返済とし、借入金の返済をする。
・佐渡本間家は揚北衆に茶の種を分け与える。
・茶が収穫できるようになれば、佐渡本間家が優先的に購入することができる。
房長「宮川の村に行けば、その澄んだ酒が飲めるのか?」
藤資「ああ、飲ましちゃる」
清長「みんな旗揚げんのじゃったら仕方ないのお」
勝長「わしも行くぞ! ええじゃろ?」
清実「わしもじゃ」




