和平交渉
和平交渉にあたって沢根本間賢密と潟上本間高康は交渉人に、共に挙兵していた加地氏と挙兵を促されていた側の中条氏を指名した。
加地氏も五十公野氏も竹俣氏も元は新発田氏と同族である。
新発田城はこの地区の要の城なので、加地氏は受けざるをえない。
中条氏もある意味当事者であり、自領の足下で起こったことでもあり、交渉人として新発田城にやってきた。
新発田城前陣幕内
佐渡軍
沢根本間賢密
潟上本間高康
新発田軍交渉人
加地安芸守春綱
中条弾正藤資
急遽呼ばれた:菱田翔吾(俺)
「儂の首で手打ちにせい!」
和平交渉するからと佐渡から駆け(乗り)つけた俺の前で、先代領主の新発田長綱様が喚いていた。
「いえ、お首はいりません。先代様のお首も伯耆守様のお首もいただきませんので、落ち着いてください」と俺。
「何者じゃ?」とハルツナ。
「面妖な」とフジスケ。
「コヤツはショーゴじゃ。うちの軍師じゃ」とタカヤス。
「いや、陰陽師よ」とハルミツ。
「菱田翔吾と申します。佐渡国本間佐渡守の名代としてやって来ました。今から二つの和平案を申します。持ち帰りご検討ください」といつものように名刺を渡す俺。
「二つの和平案とな」とハルツナ。
「申してみよ」とフジスケ。
「まずはひとつめの案。新発田軍、加地軍、五十公野軍、竹俣軍は兵を率いて府中長尾方として参戦し、上田長尾ー上条上杉方と戦ってください。勝ち負けにかかわらず、戦から戻られたら城を明け渡します」と俺。
「なんと、春日山につけと申すか!?」とハルツナ。
「当家もか?」とフジスケ。
「いえ、こちらの案が選ばれた場合は、中条様は見届けてください。あっ、もちろん自発的に助力されると言うのであれば大歓迎です」と俺。
「もうひとつの案は何じゃ?」とハルツナ。
「はい、二つ目は、北で挙兵されている本庄氏と鮎川氏を説得してください。本庄氏、鮎川氏が応じるか応じないかは別として、今回は兵をおさめようと提案してきてください」と俺。
「応じなくてもよいのか?」とハルツナ。
「はい、本庄、鮎川、両氏が兵をおさめなくてもいいです。あっ、皆さんは兵をおさめてくださいね。どっちにしろこの戦は府中長尾家が勝ちます。皆さんが反春日山にまわると何年もかかりますが、勝つのは府中長尾家です。皆さんが府中長尾方につけばもっと早く終わります」と俺。
「そんなもん戦ってみんとわからんじゃろ」とハルツナ。
「いや、ショーゴが言うとそうなる」とハルミツ。
「陰陽師だからか?」とフジスケ。
「ハハ^^; 100%… あ、十割ではありませんが、おそらくそうなります。皆さんが反府中長尾方で挙兵しても何もいいことはありません。無駄に何年も争って、収穫もなく、疲弊だけすることになります。それより兵をおさめて、そうですね、隣の宮川の村の田んぼを見てきてください。よかったら来年、あの田んぼの植え方を教えますよ。それと、皆さんの兵がおさまれば、また渡部と新保で干拓作業を始めます。それも見に来てください。戦なんかしてないで干拓してください。その方が確実に収穫が増えますよ」と俺。
顔を見合わすハルツナとフジスケ。
「安芸守殿、「馬鹿にするな! 新発田軍だけでなく加地、五十公野、竹俣全軍で叩き出してやるわ!」と言いたいところじゃろう。しかしのぉ、すぐそばじゃからわしは報告を受けておる。宮川の田んぼはきれいに真っ直ぐに並んじょるらしい」とフジスケ。
「うーむ…」とハルツナ。
「それにの、店ができちょっての。そこで出す酒が美味いんじゃ。忍びで寄ったら、こんな小さな皿でチョコっとだけ出しよって、二杯目は倍じゃ、三杯目はさらに倍の値段じゃと言いおってのぉ、斬り捨ててやろうかと思ったわ」とフジスケ。
「斬らんかったのか」とハルツナ。
「小姓にとめられたわ、ここに書いております、と言われて…」とフジスケ。
(飲み食い屋ではお品書きが壁に貼り出されている)
「わしが挙兵を思いとどまったのは、佐渡から書状がきたからじゃが、それは去年から、あの宮川の村が気になっちょったからじゃ。あの村だけ稲穂の実りがいいらしいのじゃ」
とフジスケが続けた。
「弾正殿、その辺の話は一旦持ち帰って伯耆守も交えて話しましょう」
とハルツナがフジスケの話をとめて、交渉人の二人は一旦引き上げた。
長綱「誰の首もいらんのか?」
翔吾「いりません。田んぼの植え方教えますよ」
長綱「領地が欲しいのか?」
翔吾「そりゃあ領地は欲しいですけど…」
長綱「何? 領地はやらんぞ! わしが腹を切る」
翔吾「腹は切らないでください。お茶の種もわけますから」
長綱「人質を出すのか? 綱貞にはまだ子はおらんからわしが人質になろうぞ」
翔吾「人質もいりませんよ。綿花も上手く育ったらわけますね)




