出頭命令
エイ! ヤー! ター!
タスケをはじめ村の子供らに竹槍を持たせて槍術訓練だ。
(振りまわして突くだけだけど^^;)
その後は読み書き算盤だ。
(ぃゃ、算盤はないよ^^; あいうえおとカキクケコといちにいさんしいだ)
まぁ、「やりたくない子はやらなくていいけど、教えて欲しい子には教えるよ」ってスタンスで学校ごっこをやっている。
タスケとかずちゃんに教えていたら、ちょっとづつ人数が増えてきた。
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◯俺がやったこと其八
マイ船を作る
村の中に居る分にはいいけど、ここからどこかに行くには船が必需品だ。
ここはいっちょ、俺専用の船を作ってやろうと思いたった。
いずれは格好いいヨットみたいな船を作りたいけど、まずは竹筏だ。
最初に作ったのは、2mくらいの太い方の直径が8cmくらいの竹を、太い方は太い方、細い方は細い方で揃えて、前が狭くなっていくように並べて、前後と中2箇所に横材の竹を括りつけて作った。
櫂も竹で作ったよ。
俺が竹筏を作っていると、学校ごっこに来始めた子の中に、そろそろ大人たちにまじって仕事をしようかというような歳の、平太と甚一という男の子が、自分たちも作りたいと言ってきたので、その二人用にこちらは細い方と太い方を交互に並べて、2m✕2mくらいの正方形の筏を作った。
それを見ていた大人たちが、直径10cm以上ある太い竹で、3m✕3mくらいの筏を作った。
俺は、マイ船第二弾で、ナントカ帆を張れないか試作中だ。
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そうこうしていると肝煎っぽい役をしているヨイチさんがやってきた。
ヨイチさんは毎日、隣の村に住んでいる石花様と言うお武家さんに年貢代わりの魚を届けている。
石花様から藍原様、さらにこのあたりの本間様に献上されて年貢扱いされているのだとか…
「ショーゴさん、今からちょいと一緒に来てくれんかな?」とヨイチさん。
「はい、どちらまでですか?」と俺。
「ショーゴさんが献上してくれ言うてた干し椎茸と干しイカば魚と一緒に献上したら藍原のお殿様から呼び出しじゃあって言われて石花様がお見えになられちょる」とヨイチさん。
そうそう、干し椎茸が上手い具合に出来たのでスルメと一緒に領主様に献上してくれとヨイチさんにお願いしておいたのだった。
「それはそれは、すぐに参りましょう。ぁ、ちょっと待ってください。着替えます」と俺。
逆行転移してきてから、普段は着替えで持ってきていた短パンにTシャツルックでいたので、急いでリクルートスタイルに着替えて家を出てきたら、ヨシキチさんと一緒に、帯刀はしていないが身なりはいかにもお侍さんっといった出で立ちの若い男の人が立っていた。
軽いお辞儀程度でヨイチさんとヨシキチさんは俺を石花様に紹介した。
「お前がショーゴとやらか?」と石花様。
俺は例によって
「はい、菱田翔吾と申します。突然、神隠しのようなかんじでヨシキチさんやヨイチさんの村に彷徨いあらわれて参りまして、村の皆様にお世話になっております」
と、名刺を渡しながら言った。
「何じゃ、これは? 紙なのか? ずいぶん上等の紙じゃな。ぅむ、菱田、翔吾… しょうごと読むのか、これは…」
俺が名刺を渡した、ジロべーさんもヨシキチさんも名刺を透かしたりかざしたりしてみていたが、石花様はちゃんと名前を読んでくれた。
「はい、菱田翔吾です」と俺。
「ワシは石花の五郎左じゃ。ショーゴとやら、神隠しにあう前はどこにおった?」と石花様。
「それが、どうやら俺は時をさかのぼって未来からここに来てしまったようです」と俺。
「何!? 時をさかのぼって来ただと?!」と石花様。
「はい、俺が元居た世界はおそらくここから500年くらい未来の世界です」と俺。
「ぅうむ、まぁいい。とにかく明日、朝からご領主様のところへ行くぞ」と石花様。
「はっ、朝とは何時くらいでしょうか?」と、俺。
「細かい奴じゃのぉ、辰巳の頃でよい。明日、また村まで船で迎えに来てやるので待っておれ」と、石花様。
「はっ、了解いたしました」と俺。
俺の返事を聞くと、石花様は船に乗って帰って行った。
登場人物についてはまぁ、パラレルファンタジーフィクションってことで、ツッコミはナシでお願いします。




