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北行

 春(初夏)に蝦夷に向けて出航した黄門丸、助さん丸、格さん丸(パクリ北前船)は、鯨波の案内衆のおかげもあって、能代港までスイスイと進んだ。

 行きはできるだけ早く進んで、帰りは主要な港にはできるだけ寄って、積めるだけいろいろ買って帰ってくると言う予定だ。


 先発していた鯨波の船団は薩摩屋さんが積めるだけの穀物を積んで出航した。

 この頃はどこも不作が続いており、戦もしょっちゅうあって慢性的に飢餓状態なので、寄る港、寄る港で薩摩屋さんの穀物は高値でドンドン売れて、能代港で売れた荷を降ろすと積み荷は四分の一くらいになっていた。


 能代でその鯨波の船団と合流して、深浦、鰺ヶ沢、十三湊へと一緒に北上した。

 十三湊はこの頃、寂れた寒村となっているときいていたが(ソースはラノベ)、実際はなかなか賑やかな漁村だった。


 そしていよいよ松前へ。

 今回は初回なので松前までしか行かない。


 林主計殿(かずえちゃん)磯田徳兵衛(トクベー)には以下のことをお願いしている。


・昆布…昆布はあるだけ全部。なんなら帰りの積み荷全部昆布でもいい。


・身欠き鰊…身欠き鰊はニシンを三枚におろして干したモノだが、この頃もう作られているかどうかわからない。なければ作り方を伝授して、作ってくれと頼んで来てください。三枚におろした残りの頭や内蔵、骨も乾燥させてやくれたら(肥料にするので)買い取ると言っておいてね。


・数の子…数の子もこの頃もう作られていたかどうかわからないので、なければこれまた作り方を伝授して、作ってくれと頼んで来てください。それと今回塩を大量に積んで行って、まだ作られてなければ生の数の子を塩漬けにして持って帰って来てね。


・たらこ…数の子に同じ。なんだけど、たらこは日持ちしなさそうだよなぁ…


・干し鮑、干しナマコ、干し鰯、干し◯◯…魚介類はとにかくカチカチに干してもらうようにお願いして来て。干し鰯については、食べるだけじゃなくて、これも肥料にする。


・石炭…神屋さんが手に入れてくれた石炭を持って行って、こんな石を掘って来てくれたら買い取ると伝えてきてね。


・砂金…あったら買い取ってきてね。


 そして松前に着いた。


 この頃の蝦夷は蠣崎氏がアイヌと交戦も交易もしており、蠣崎氏が安東氏と南部氏を天秤にかけてるのか、安東氏と南部氏が蠣崎氏を綱引きしているのか、とにかくとても危ういバランスのところだ。


 本当はアイヌと直接取り引きしたいのだが、いかんせん言葉の壁があるので、松前にある商場(あきないば)に来たのである。


 蠣崎氏の御用商人だろうか? そこは今泉と言う武士なのか商人なのか、パっと見ではわからない者が仕切っていた。


 今泉いわく、


「銭はいらない。穀類はあるだけ全部欲しい」とのことだ。


 鯨波の積み荷は、深浦、鰺ヶ沢、十三湊でさらに減ってほとんど残ってなかったので、こちらの積み荷を半分売って(その辺は薩摩屋さんと組屋さんの交渉だ)、お互いに昆布を大量仕入れした。


 身欠き鰊はまだ作られてないようだったので、俺からの指令の通り作り方を伝授して来た。


 数の子は作られていたが、干物ならあるが、塩漬けは数が少ないので売るほどはないとのことだ。

 それと言うのも、この辺、海が近いのにあまり塩を作ってないらしい。

 こちらが積んでいた塩を売ってくれと言われたくらいだ。

(塩は半分売って、半分は数の子を塩漬けにして持って帰った)


 たらこは時期じゃなかった。


 干し鮑、干しナマコはそこそこ仕入れられた。


 米がよほど欲しかったのか、砂金も思いのほか多く持ち出してきた。


 石炭もサンプルを渡して、掘って来てくれたら買い取ると伝えて、双方いい取り引きが出来たと帰路についた。


 帰りは予定通り主要な港に寄り、木材や漆器、紙や麻布や馬も仕入れて帰って来た。

蠣崎氏って、若狭武田氏→蠣崎氏→松前氏だっけ?

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