高信ー晴景会談
さらに翌日にも続々と刈り取り部隊を送り、帰り便には収穫した稲穂の束を積んで帰るようにした。
渡部の領地の収穫も終えて、新保に向かおうかと言うときに椎谷の近くの村が、どこの配下なのかはわからないが狼藉者の集団に乱妨取りにあっているとの連絡がきた。
自領に攻め込まれたわけではないが、現地で手ぐすねをひいて待ち構えていた潟上本間佐渡大膳高康が、各村の領民も合わせて部隊を編成し、近隣の村で乱妨取りを働いている狼藉者の討伐部隊を結成して、自ら率いて掃討した。
乱妨取り集団は隊の体をなしていないような輩で、クロスボウ部隊が矢を射かけると、すぐに這々の体で逃げだしていった。
気を良くしたタカヤスは、勢いのまま椎谷周辺の村々をまわり、乱妨取り集団を見つけては討伐していった。
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羽茂城での評定の後、羽茂本間高信は、陣中見舞いと称して春日山に来ていた。
「佐渡は落ち着かれて何よりですな」
と長尾晴景。定景から改名したばかりの為景の嫡男で景虎(上杉謙信)のお兄ちゃんだ。
(ちなみに景虎は生まれたばかりだ)
この時、為景は上条が取り囲んだ北条城へと出兵しており、春日山城を守っていたのは晴景だった。
「去年までは佐渡の国内で争っており、越後にいただいておった領地を守ることもできずに申し訳ござらんかった。今後はしっかりと守り、発展させてみせようぞ」と高信。
「それは頼もしいですな。くれぐれも軒から母屋まで取りにこないでくださいよ」とハルカゲ。
「ハハ、自領を守るための備えはさせていただきますが、春日山に弓引くことはございませんのでご安心召されよ」とムコどの。
「北条城を囲んだ上条上杉軍はすぐに抑え込みますゆえ、過度の出兵は不要ですぞ」とハルカゲ。
「それがですな、佐渡のショーゴが言うにはですな… あぁ、ショーゴと言うのは佐渡に去年から仕えておる祈祷師と言うか陰陽師と言うか、そのような者なのですが、その者が言うにはすぐに上田長尾家も兵を挙げ、さらに此度は揚北衆が反旗を翻すと申しておりましてな…」とムコどの。
「うーむ、それは十分に有り得ることよのお」とハルカゲ。
「なので、我らは今は稲刈りをしておるが、自領の分ぐらいはすぐに刈り取り終わるであろうから、それ以降は何処かに砦を築き、港、港を守る動きをするつもりです」とムコどの。
「それは、援軍を請うたら応えていただけると?」とハルカゲ。
「もとよりそのつもりで」とムコどの。
「これは有難きかな、意を得たり。陣中の父に伝令を出させていただきます」とハルカゲ。
「よろしいかと。それで、話は変わりますが…」とムコどの。
高信と晴景の話は、この後、即位の礼の献金の話に移っていった。
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一方その頃俺は…
うち(おはまさんとおていさんの)で、ナンとかカビることなく、それらしくできたイシルを試していた。
小麦と蕎麦を挽いて二八でコネて、打って、切って茹でる。
『太さはバラバラだけど、少しは蕎麦っぽく切れるようになった』
イシルを海鮮出汁で溶いて、茹でた蕎麦を入れ、きざみネギも入れて食べてみた。
『うん、現世の味からはまだまだ程遠いが、前から作ってたすいとんモドキよりは蕎麦に近いものが出来たと思う』
これも飲み食い屋さんのメニューに加えよう。
【飲み食い屋さんのメニュー】
・お白湯:温かいのと冷ましたの。
・蕎麦湯:そばの茹で汁を湯呑でだす。
・お茶:当面は茶葉を仕入れて、抹茶ではなく今風にいろいろと焙煎してだす。いずれは地元の茶畑で採れたものにシフトする。
・柿ワイン:佐渡の窯でぐい呑みくらいの大きさの器も焼いてもらっているので、それでグイっと飲んでもらう。
・澄み酒:佐渡の窯でお猪口のようなものも焼いてもらっているので、それでチョコチョコ飲んでもらう。
・オヤキ:各種旬の具を入れて焼いてだす。
・パン:獲れた魚を焼いてほぐして、ネギとか葉物と一緒にはさんでサンドイッチ。
・かけそば:今回の試作を元に、開発部門でさらにブラッシュアップしてもらってだす。
『越後、バタバタしてるから、まずは佐渡でパイロット店を開店してみようかな… 甘味も出せるようになりたいな… 干柿ならだせるか…』
「軒を貸して母屋を取られる」
………この頃はまだないか、こんなことわざ^^;




