奪われる前に刈り取れ!
視察は平穏無事に終わったが、各村に詰め所と飲み食い屋を建て始めた頃には早速周りがきな臭くなってきた。
秋口にはまず、上条上杉家が挙兵。
上条上杉家は長尾為景が守護として担いでいる上杉定実の出自家であり、為景が定実を担いで以来ずっと対立している。
俺が逆行転移してくる前から度々挙兵しており、その度に為景が抑え込んできていたが、例の細川家の対立(公方様が堺と近江にいる)で為景が支持してきた細川高国が敗れてから、現状はどうも旗色が悪そうだ。
史実ではこの上条上杉家の挙兵後に、これまたずっと対立し続けている上田長尾家も挙兵したり、なんとか協調関係にあった揚北衆が反為景へと転んだりして、越後は戦乱が続くはずだ。
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羽茂城評定の間
上座真ん中:羽茂本間高季
左並び筆頭:河原田本間貞兼
左並び二番目:久知本間正泰
左並び三番目:吉住本間惟秀
左並び四番目:藍原蔵人秀貞
右並び筆頭:雑太本間有泰
右並び二番目:潟上本間高康
右並び三番目:和泉本間豊季
右並び四番目:羽茂本間高信
下座真ん中:菱田翔吾
「今、越後の領地には何人くらいのスコップ部隊がおるのじゃ?」とマサヤス。
「各村に15〜20人はおるぞ。家を建てておるものと茶の種を蒔くための畑を作っておるものと」とクロード。
お茶の種はあの後、組屋さんと川舟屋さんにも手に入れて欲しいと依頼して、川舟屋さんが手に入れてくれる目処がたっており、詰め所と飲み食い屋の建設にかかっていた人員に畑作りの人員を先日増員したところだ。
「それで、上条上杉軍は北条城を取り囲んでおるのじゃな」とマサヤス。
「この時期の挙兵は自領の収穫を急いで終わらせて、こちらの収穫時期を狙って乱取りを見越しとるのぉ」とタカヤス。
「以前も田植え後ではなく、だいたい収穫時期に挙兵して、うちの領地も荒らされまくっておった」とタカスエ。
「まったく領民はたまったもんじゃないのお」とタカヤス。
「ついこの間まで、わしらも佐渡でおんなじようなことをしとったがの」とサダカネ。
「ハッハッハッハッハ」一同。
『ぃゃ、笑いごとじゃないって ^^; ^^; ^^;』
「どこが一番近いのじゃ? もう来ておるかも知れん」とマサヤス。
「抗戦に何人くらい送り込むかじゃの。ショーゴ、どう思う?」とサダカネ。
「そうですね、急いで送れるだけ送りましょう」と俺。
「こちらから討って出るのじゃな」とタカヤス。
「いえ、こちらからは仕掛けません。みんなで稲刈りをします」と俺。
「何じゃ?」とマサヤス。
「七箇所も守れないので、人海戦術でなるべくはやく収穫を終わらせて、どこか一箇所に集めて守りましょう。必要な兵糧以外は稲穂のまま束にしてこちらに送ってしまって、こちらで干してもいいかも知れません」と俺。
「村に乱取りに来る前に取るものをなくすのか?」とサダカネ。
「間に合うかの?」とコレヒデ。
「まぁ、元々そんなに米が採れる領地でもないがの」とアリヤス。
「とにかくすぐにでも行動しましょう。今日からでも準備できた者から鎌と槍とクロスボウを持たせて。まずは近くの椎谷、川本、久田から」と俺。
「うむ、わしは指示を出してくる」とサダカネ。
「総督様、こちらの目的はあくまで稲刈りですので、くれぐれもこちらからは仕掛けないように… 向こうがうちの領地に攻め入るようなら、その途端に徹底抗戦でお願いします」と俺。
「ふはは、任せい」とサダカネは評定の間を後にした。
「おい、わしも行くぞ」とタカヤスもサダカネの後について出て行った。
「では、出兵については総督様と大膳様に任せるとして、続いては献金と献上品の輸送について…」とクロード。
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サダカネの号令の元、その日のうちに20人ほどの刈り取り部隊を椎谷の村に送り込んだ。
(潟上本間大膳高康も自ら指揮をとって乗り込んでいった)
翌日には100人ほどの刈り取り部隊を送り込み、村人も総動員して椎谷、川本、久田の収穫は終えた。
評定は越後出兵についての話し合いの後も続きましたが、戦況の方が気になりますので割愛させていただきます。




