「王」はいかんじゃろ
世界地図を前にして、俺は話し続ける。
「ここら辺りまで行きたいのです。ここでは石油、燃える水が採れるので、できれば領有したい」と、樺太の北の端を指さす。
「ここが琉球、ここが台湾、高砂国です。この辺は温暖な気候なので、綿花や、特にサトウキビを育てたい」と、沖縄から台湾までの島々を指さす。
「ここがマニラ、ここがマカオです。スペインやポルトガル、いわゆる南蛮の船がきます」マニラ、マカオ、スペイン、ポルトガルを指さす。
「台湾の南の方に拠点をつくりこの辺の貿易をしたいですね」地図の上で指でクルッと輪を描く。
「なので佐渡守様には「佐渡守」を雑太にくれてやって、あらためて「日本海王」を名乗っていただいたらよろしいかと…」と俺。
「いや、「王」はいかんじゃろ」とサダカネ。
「いけませんか?」と俺。
「いかんいかん」とクロードとショーべー。
「王はいかん、王はいかん」とサダカネ。
「そうですね、では、海の守護職はなんと言いますか?」と俺。
「海の守護は「防人」じゃ」とクロード。
「防人ですか… なるほど、防人… あんまり偉そうじゃないですね(;´∀`) それになんか九州っぽいし… あっ、総督はどうですか? 確か「禁裏御守衛総督」とか言う肩書きがありましたよね?」と俺。
「禁裏御守衛総督なる役職は知らんが、御守衛総督と言うのはいいのお」とサダカネ。
「日本海御守衛総督」と俺。
「うむ、いいのお」とサダカネはまんざらでもない様子。
そんなかんじで、ある程度の方向性を決めて、スリングやクロスボウガンの出来具合を確認していると、今度は雑太から使者が来たとのお呼びがかかった。
使者の口上によると、
「昨今、河原田と羽茂において、何かと不穏なる動きが見受けられる。謀反の心ありと見るが申し開きがあれば登城してのべよ」
とのこと。
同じ内容が羽茂にも行っているであろう。
「えっと、確認なのですが…」と俺。
「何じゃ?」とサダカネ。
「佐渡守様、あっ、今はまだ佐渡守様と呼ばせてもらいますが、佐渡守様は雑太本間氏の家臣ではないですよね?」と俺。
「ショーゴ、それにはわしが答えよう」
とクロードが俺の質問をひきとった。
「佐渡守は佐渡守を名乗っているように、河原田本間家こそが本間の惣領家と思われておる」とクロード。
「はい」と俺。
「一方、雑太も本間惣領家と名乗り、双方が本間惣領家を自認しておる」とクロード。
「ですよね」と俺。
「羽茂は惣領家とは主張しておらんかったが、ここしばらくの戦でどこの下にもつかずに優位を保っており、宗家と名乗ろうとしとったので、我らとは一触即発状態だったのじゃ」とクロード。
「なるほど」と俺。
「それ以外の本間家は戦の度に勝ったり負けたりして、最近では久知と潟上が争っちょった」とクロード。
「つまり、雑太から佐渡守様が呼び出される謂れはないと考えてよろしいのですね」と俺がきくと、
「もちろんじゃ。何が申開きじゃ!? 叩き潰してくれようか!」とサダカネ。
「まあまあマアマア、ここはいくつか選択肢がありますね」と俺。
「ほう、何じゃ?」とサダカネ。
「まずは、使者を追い返して、「銀を分けてやるから、そっちが挨拶に来い」と返答するやり方」と俺。
「良いのぉ」とサダカネ。
「良いのか?」とクロード。
「ぃゃ、あまりやりたくないやり方です」と俺。
「何じゃ」とサダカネ。
「じゃろうの」とクロード。
「次は、こちらも俺を使者としてたてて、俺がうまい具合に話をまとめてくるやり方」と俺。
「まとまるかのぉ?」とサダカネ。
「いや、ショーゴ、お主に何かあったら元も子もない。それはだめじゃ」とクロード。
「では、羽茂との時のように、軍勢を引き連れて相対して、先に話したようにスリングで銀鉱石を投げ込んでから話し合いに持ち込みましょう」と俺。
「そうじゃの」
「それじゃ」
と、サダカネとクロード。
雑太からの使者には「羽茂と日を揃えて雑太城に向かうと伝えよ」と言って帰し、俺はゴローザとトクベーと一緒に、この「投石機で銀鉱石を投げ込んで、佐渡守をくれてやろう大作戦」を羽茂に伝えに行った。
佐渡守と佐渡国守護は別だったかな?(;´∀`)
禁裏御守衛総督って江戸時代だよね?(^_^;)(^_^;)




