次は木工職人さんからの…
「ここが木工屋じゃ」
と、次に磯田様が俺たちを連れてきたのは、河原田城下よりやや東に入った店だった。
『できれば鍛冶屋さんの近くがいいけどなぁ…』
とか思いながら、俺は木工屋さんに入る。
「こんにちは。お邪魔します」
みんなも続いて入ってくる。
また、挨拶で土下座したり、一悶着あって…
〜 〜 〜 ※ 〜 〜 〜 ※ 〜 〜 〜
「まずは今、鍛冶屋さんにこういうモノを作ってもらうように頼んでますので、よく打ち合わせして、例えばここの柄の部分とか、ここのこう…」
とシャベル他の木部の作成を依頼する。
木工屋さんはご主人(夏弥太)と奥さん(おさえさん)の二人でやっており、鍛冶屋さんと同じように人を増やして欲しいこと、いずれは河原田のどこか川辺りに水車地帯を作るので、そこに引っ越して来て欲しいことも伝えた。
そして一番の依頼だが…
「それから、河原田様の船の作成を手掛けておられると聞いたのですが…」俺。
「へえ、何度かお手伝いさせてもらいました」とご主人。
「今後、船が増々必要になってきます。今は河原田には専門の船大工さんは居られないようなので、育てていきたいと思っています。どうかお手伝い願います」と俺。
「それは、まぁ、あっしでできることなら…」とご主人。
そして俺は、スマホに残っている写真の中から、とにかく船が写っている写真をいくつか木工屋のどこかご主人に見せる。
「何じゃ、こりゃ、たまげるだっちゃ!」
写真を見せられたご主人は仰け反って驚いていた。
そのご主人の様子をみていた他のみんながスマホを覗き込み、口々に仰天を伝える。
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まぁ、作りたいモノも、育てたい人材もいっぱいだが、まずは先立つものが必要だ。
と言うことで、商人だ。
向こうから来るのを待ってられない。
俺は河原田所蔵の船と漕ぎ手要員も四人借りて、こちらから商人を訪ねることにした。
磯田様にも同行をお願いして、ゴローザとトーロクも引き連れていく。
日をあらためて俺たちは、やや小さめ(こぶし大よりちょっと大きいくらい)の銀鉱石を十個ほど持って、まずは一番ご近所の越後の商人のところに向かった。
「越後の商人は薩摩屋と言って、羽茂の港にはちょくちょく来ちょる。まぁ、砂金を買いに来ちょるんじゃが、青苧の座の頭領だち、佐渡の苧麻も仕入れていきよる」
越後に渡る船の中で磯田様が色々と教えてくれた。
『青苧の座の頭領って、上杉謙信のお抱え商人じゃなかったっけ? 越後屋じゃなくて薩摩屋なんだ…』
などと考えながらその薩摩屋さんへとやって来た。
「こんにちは。お邪魔します」と店先で出迎えた店子にこちらのメンバー紹介をすると、すぐに奥から店の主人らしき人が出てきた。
「これはこれは、河原田の皆様。よくぞお越しくださいました。薩摩屋の主をしております蔵田五郎左衛門と申します」
『そうだそうだ、上杉謙信のお抱え商人の名前、そんなだった、そんなだった』
俺は例によって名刺を渡し、薩摩屋の主に向かってもう一度こちらのメンバー紹介をすると、早速とばかり銀鉱石を一つ取り出した。
「今日伺ったのはこちらを米か銭に替えたくて、薩摩屋さんではいかほどで引き取ってもらえるかと持って参りました」と、俺。
「これは、銀、ですかな?」と、薩摩屋。
「ええ、河原田のご領地で見つかりました銀鉱石です。精錬しておりませんので、ここからどれくらいの銀が抽出できるかわかっておりませんが、この状態で引き取ってもらった場合、いかほどになるかと思いまして…」と、俺。
「なるほど、わたくしどもで値をつけろとおっしゃるのですね。こちらはお預かりしても…?」と薩摩屋。
「そうですね、預かりと言うより、言い値で結構ですので引き取っていただきたい。米でも銭でもいいので、今度薩摩屋さんが佐渡に来られるときにお持ちいただければ… あっ、値がつかなければ、そのままお返しいただいてもよろしいので」と、俺。
「いやあ、菱田様… でしたか、河原田のご商人様で? なかなか面白い駆け引きをなさりますな。わかりました。できる限りの値をつけさせていたたきましょ」
と薩摩屋さんは「心得ておりますよ」と言わんばかりの笑みを浮かべて俺たちを見た。
大工は惣領に、船大工は羽茂にいるらしい。
早く仲良くやってくれ(-_-;)




