002 - ここはほんとうににほんかよ! -
002 - ここはほんとうににほんかよ! -
ぽろんっ!
「んぅ・・・何の音?」
「メールだろう」
「あはは、今時メールで連絡?」
「あいつとのやりとりはメールにしてる、今日も新しい曲ができたって送って来やがった」
「あぁ、あんたの曲をタダで作ってる娘?」
「今はどうでもいいじゃねぇか、お楽しみの途中だろ」
俺の名前は累塚誠、19歳だ、ミュージシャンを夢見て田舎から上京したがまだ叶ってねぇ、バイトをしながら金を稼ぎ狭いライブハウスで演奏を続ける毎日が続いてる。
幼馴染が集まって結成されたバンドの名前は「Si Vow-Flag」音楽性はブルース寄りのハードロックだ、俺はそこでギターとボーカルを担当してた。
活動は正直上手くいってない、一緒に上京したメンバー達は一人また一人と抜けて今は俺一人になっちまったし生活の為のバイトが忙しいから曲を作る暇も無ぇ。
だが俺にも運が向いてきた、あいつを見つけたからな・・・。
動画サイトで何かパクれそうな曲が無いか探してた俺はとあるチャンネルに目を付けた、フォロワーも居ねぇし投稿動画も一番古いのが1ヶ月前だった。
映ってるのはリゾネーターギターを弾いてる若そうな女、顔は見えねぇが曲が良い、俺が連絡を取ろうと調べてみたら何とメールアドレスが書かれてるじゃねぇか!。
今こいつのメールはスパムや冷やかしで溢れてるだろう・・・そんな事を考えながら危機感が全く無いアホ女に俺はメールを出した。
結果は上手く行った、会ってみたらなかなか可愛い顔をしてる、髪が真っ白なのは生まれつきだそうだ、アルビノか?・・・一瞬そう思ったが瞳は黒いし肌もそんなに白くねぇ。
付き合い始めてしばらく経った後、酷く抵抗されたがベッドに組み伏せて奴の身体を貪った。
俺の好みは巨乳だが奴は貧乳、ガキの頃変態野郎に1週間拉致られてたようで処女じゃなかったし男に触れられる事にトラウマを持っていた。
だが俺に惚れていたようだから事が終わって優しく慰めてやったら素直に曲を作ってきた、しかもその曲はイケてる、この間も俺が演奏する曲を聴いたインディーレーベルから連絡が来た!。
もちろん曲を書いたのは昴だがレーベルには俺が作った曲だと言ってある。
使い潰すには惜しいから適当に機嫌をとって長く搾取してやろう、あいつはアホだから少し優しくしてやればいくらでも曲を書くだろうぜ。
ぽろんっ!
「しつこい奴だな・・・」
何度目かのメール着信音で目が覚めた、俺の隣には数年前から付き合ってる女が全裸で眠ってる。
「どうでもいい用件だったら許さねぇからな!」
俺は奴からのメールを見て愕然とした・・・。
最初は会って話したいって内容だったが最後・・・夜明け頃に来たメールにはとんでもねぇ事が書かれてた。
あいつの実家は山をいくつも持ってる資産家で当主が長年行方不明の嫁と娘を探してたらしい・・・で、ようやく見つかった娘が故郷に帰り親族と感動の対面を果たす事になった・・・。
「突然知らない場所に連れて行かれるのは心細いから誠君も一緒に来て欲しいです」
バンド活動にも金がいる、こいつから金を毟り取ればバイトなんてやらなくても済むじゃねぇか。
「あははははは!」
「何朝から笑ってるの?」
「明後日から四国に行くぞ、お前も一緒に来いよ」
きぃっ・・・
がちゃ・・・
「何で芋ジャージなんだよ!」
「うわ、だっさ・・・」
俺のアパートの前に止まった高級車の扉を開けて運転手が乗れと言う、車内には中学の時のダサい芋ジャージにパーカーという完全に部屋着姿の昴が座っていた。
「お前だって一応女子高生なんだからもっとまともな服があるだろ・・・何で初対面の父親に会うのにそんな格好なんだ?」
「実家のお屋敷は山奥だって聞いたから動きやすい方がいいかなって、それにパジャマにもなるから荷物が少なくて済むと思ったの・・・」
メールを見た日の夕方、俺は昴の部屋がある雑居ビルに向かった。
一通り話を聞いて俺と知り合いが同行する事を伝えた後、奴と激しいセックスをした・・・ちなみに誘って来たのは昴の方だ、1ヶ月以上ご無沙汰だったから俺と会って身体が疼いたらしい。
こいつは変態野郎に何度も犯されたせいで性癖が歪んじまってる、物みたいに乱暴に扱って痛めつけると悦ぶ・・・。
俺にはそんな趣味は無ぇが大事な金蔓になるんだし、調教して俺無しじゃ生きられねぇ身体にしておけば後々都合がいいから遠慮なく気絶するまで虐め抜いてやった。
「昨日言ってた俺のバンドのマネージャーで家珠斗織だ、法律関係に結構詳しいから役に立つと思って連れてきてやったぜ」
法律に詳しいってのは嘘じゃねぇ、留年を繰り返してるが大学の法学部に在籍してる。
「はっじめましてー、何年も前から誠くんのサポートをしてるの、斗織って呼んでねっ!」
「よ・・・よろしくお願いします、斗織さん・・・」
昨日はバンドのマネージャーを連れて来るって言ったが女だとは言ってなかった、少しは関係を疑うもんだがアホなこいつは素直に信じたようだ。
ざぁぁぁ・・・
東京から高速道路を走り続けて瀬戸大橋を渡る、今日は雨だから景色が全然見えねぇぜ!、ほぼ丸一日かけてようやく俺達は四国に入った。
朝早く出たのに今はもう夕方だ、昴の故郷はここから更に1日かかるらしい・・・遠過ぎるだろ!、飛行機に乗った方が早かったんじゃねぇか?。
「お疲れ様です、今日はこちらに宿泊致します」
高級車の窓から見えたのは地方都市の駅前に建ってる高そうなホテルだった、こいつの実家は本当に金持ちなんだって改めて思ったぜ・・・。
斗織の奴は疲れたと言って夕食を済ませた後すぐに部屋に入ったが俺はホテルの展望室から夜景を眺めてる・・・地方都市と言ってもこの街は程良く発展してるし活気がある。
「誠君・・・こんな遠い所まで付き合って貰ってごめんね」
後ろから声が聞こえた、振り返ると押翼と名乗る胡散臭い中年男に連れられた昴が立っている。
俺達は展望室のソファに座って少し話をした。
押翼が言うには昴は実家である牛鬼家唯一の跡取りらしい、他に親戚も居ねぇしこのままだと村を取り纏める家が絶えてしまう、だから十数年前に失踪した母親を探していた。
で、その母親の腹には既に昴が居た、妊娠したまま行方不明になったから子供の性別も分からず捜索が難航したようだ。
「それじゃぁ昴は東京に戻らねぇのかよ」
俺は一番心配している事を聞いた、昴には今後も俺の曲を書いて貰わなきゃならねぇし金も搾り取る予定だからな。
「いえ、今はご当主様が健在でいらっしゃいますので10年・・・いえ、20年はお好きな場所で自由に暮らしても差し支えないかと」
「そんな名家なら婚約者も決まってたりしてな」
これも懸念事項だ、婚約者が居たら俺は用済みになる。
「お好きな殿方がいらっしゃるのならご自由に結婚されても宜しいかと、ただ、家や資産を継いで子孫を残して頂ければ・・・」
つまりこいつと結婚した奴も莫大な資産を手にするって事か、悪くねぇ話だな!・・・ってか昴が俺の方を見てるぜ、こいつは俺に惚れてるから上手くやれば俺と斗織で家を乗っ取れるかもな。
ざぁぁぁ・・・
ざばざばっ・・・
ごとごとっ・・・
ぶろろろろろ・・・
俺たちは今四国の山の中を走っている、徳島県と高知県の境らしいがとんでもねぇド田舎だ、途中で高級車からオフロード四駆に乗り換えろと言われた時に嫌な予感がしてたがこれは俺の予想を超えてるぜ!。
「ここは本当に日本かよ!」
「あはは!、それ四国に住んでる人達に失礼でしょ」
「周り見ろよ!、ずっと山と木しかねぇ!、それに道も細いしこの雨で所々崩れてるぞ!」
後部座席に乗っている俺と斗織はヤケクソ気味に話をしてる、こんな山奥に人なんて住んでるのかよ?。
俺達を乗せた車は雨で薄暗い上に木が生い茂った山道を結構なスピードで進む、まだ昼の2時なのにヘッドライトつけてるし霧も出てきた、谷が深くてガードレールも無ぇ道を既に二時間以上走ってる。
「落ちたら死ぬだろうな・・・」
「・・・」
何気なく呟いた俺の言葉に斗織が無言になった、昴の奴は周りのヤバさが見えてねぇから呑気に居眠りしてやがるぜ。
しばらく走ってると道が更に細く険しくなってきやがった、アスファルト舗装の剥がれかけた断片や時々目に入る落石や野生動物の注意看板が辛うじて人の手が入ってる道だと主張してる、マジでふざけるなよ!。
ざぁぁぁぁ!
どしゃぁぁぁぁ!
「雨がやばくなってきたぜ!」
「ご安心下さい、この辺りは既に目的地の鬼牛村です」
これの何を見て安心しろって言うんだよ!。
ぴしゃぁ!
ごろごろごろっ!
「ひぃっ!」
「きゃぁ!」
「雷まで鳴り始めたぞ!」
きぃぃっ!・・・
「お疲れ様です、到着致しました」
どっしゃぁぁぁ!・・・・
ざばばばばばば・・・
車の外は大雨・・・いや豪雨だ、雨粒のデカさも半端ねぇ!。
「どうぞお使いください」
車を運転していた押翼のおっさんが俺たちに傘を差し掛けてきたが、雨量に負けて今にも傘が潰れそうだ。
どどどどどど!・・・
ざぁぁぁぁぁ!・・・
「結局ずぶ濡れかよ畜生!」
傘は全く役に立たなかった、幸い数日間滞在するって聞いてたから俺達は着替えを持って来てる。
「これは・・・ヤベェな」
「雰囲気があり過ぎて怖いわ」
俺達が入った屋敷はとにかくデカかった・・・純和風建築の大豪邸だ。
見るからに古そうだが手入れが行き届いていて清潔感はある、ただ・・・雨が降ってるからなのか家全体を覆う身体に纏わり付くような湿気が気持ち悪い。
「こちらへどうぞ、お部屋を用意しましたのでお着替え下さいませ」
和の豪邸に似合わねぇメイド服を着た若い娘が2人先頭に立って俺達を案内する、しかもえげつないくらい可愛い顔をしてるぜ・・・じゅるり・・・。
「殿方はこちらです」
一人のメイドが障子を開けて俺を見る、廊下は薄暗かったが部屋の明かりに照らされてメイドちゃんの顔がはっきり見えた、本っ当に顔が可愛いなおい!。
「あ・・・ありがとう」
「私はこの屋敷に仕えるメイドで秋間と申します、御用の際はこちらの鈴を鳴らして頂ければ参りますので何なりとお申し付けを」
え、本当に何なりと申し付けちゃっていいの?・・・思わずそう言いそうになったが俺は耐えた。
「秋間ちゃんか、よろしくね」
「では私はこれで・・・」
かたっ・・・
障子を閉めて秋間ちゃんは去って行った、俺は案内された部屋を改めて見渡したが広い・・・畳の数を数えたら12畳あった、隣の部屋に続く襖があったから少し開けてみたらそこも12畳の和室だ。
「寺かよ・・・」
障子の外は長い廊下・・・広縁でその向こうはガラスの入った引き戸がある、アルミサッシじゃなくて年季の入った木のやつだ!、今は雨戸が閉まってるから外は見えねぇ。
部屋の隅に飾られてる薄気味悪い日本人形が気になるな・・・。
「ここで寝るのか・・・いや怖かねぇけどよ」
俺は小学生くらいの背丈がある人形から目を逸らして濡れた服を着替え始めた。
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