第一話~臆病な僕と不良な俺~
僕、風水 陽は臆病です。
何よりもまず怯えから入って、それでしばらくしてようやくその怯えがとれる……そんな、どう考えても臆病すぎる男です。
だから。
「おい、ごら!てめえぶつかっといてなにシカトしてんだよ!シメられてえか!?」
「ひい!?」
今、僕はとっても怖いです。
体中から冷や汗が出てます。
がくがく体中が震えてます。
視界が真っ白になりそうです。
今まさに僕は何もされていないのに昇天しそうになってます。
「おいごら!何か言ったらどうなんだ、ああん!?」
「ひ、ひいいいいいいい!?」
顔を、近づけないでください!あ、やめ、だめ、です、これ以上、怖かったら、き、気絶してしまいます!
僕は、とても気を失いやすい性質なのです。ちょっとしたことで気絶して、気が付いたらベッドの上だった……なんてこと、何度もあります。
お医者さんが言うには、怖くて怖くて仕方ない時は、人は気絶して心を守るんだそうです。
で、僕は人より怖がりだから、気絶するのが多い、というわけなんです。
お父さんやお母さんにもそれで迷惑かけたせいか、最近全然話をしてくれません。
友達も、気絶しやすい僕に見切りをつけたのか、どんどん離れて行ってしまいました。
ああ、これも全部僕が気絶しやすいのが悪いんです……
「ああ!?てめえ何白眼向いてんだよ!ふざけてっと殺すぞ!?ああ!?」
ああ、やめてください……殺さないで……
あ、気絶する……
そう思った次の瞬間。
僕は気を失いました。……とほほ、情けない……
「……おい、その手を離せ」
「ああ!?んだと?聞こえなかったな、もう一度言ってみな!」
俺は目覚めると同時に屑どもに喧嘩を売られていた。んで、俺は胸倉つかまれた、ってわけだ。
ちきしょう、あの野郎、こんなところで寝かせやがって……!
「その手を離せっつったんだこの野郎!」
言うと同時にがら空きになっているドテッパラに一発お見舞いする。
「ぐ……」
屑は両手でおなかをかばい、前かがみになって呻く。
さすが俺。一発で相手の体勢崩したぜ。
「ほらよ、寝てな!」
前かがみになってあいた首筋に、かかと落とし。
屑、声もあげずに昏倒した。
「へ、ざまみろ。俺に手ぇ出すからだバカヤロウ」
俺はB級映画の不良よろしく倒れた屑に唾を吐きかけて言った。
「……あーここはどこで、いつだ?」
そんな疑問は普通の奴になら、おかしくて頭のいかれた質問だろう。でもな、俺にとっては当然で、しなきゃいけねえ質問なんだよ。
周りを観察する。どうやらここは学校で、朝の登校時間のようだ。
「……ったく、さぼったらあいつも泣くだろうし、仕方ねえな。受けてやっか……」
俺は逃げて行くギャラリーどもを無視して、自分の教室に向かった。
ガラリ、と扉を開ける。
シン、とざわついていた教室が静まり返る。
「……今日はどっちだ……?」
そんな疑問があちこちから湧いてくる。
「んだよてめえ!なんか文句あんのか!?」
「な、ないです!」
にらみつけるように俺を見てたやつに怒鳴り、俺は俺の存在を知らしめる。
「……おい、今日はオンだぞ……」
「オンだな……」
そんな声が聞こえるが、無視。事実に怒鳴り立てても意味があるとは思えねえ。
俺の名前は風水 陰。
寝るときはいつもベッドなのに、ベッドで起きた記憶がないという人に言えそうもない秘密がある、不良だ。
あとそれと、起きた時はいっつもなんか身に危険が起きてる。
しかも、なんかめちゃくちゃ怖い思いをしていた気がする。
……まあ、全部気のせいなんだろうけどよ。
……さて、ナンパでもするか。
こんにちは、作者のコノハです。
『俺』と『僕』と『私』と『あたし』と銘打ちまして、略して『四一』。『四人の一人称』を略しました。
この作品を呼ぶときはどうか四一とお呼びください。
さて、この物語は四人なはずなのに頭数が少ない人間が繰り広げる、恋愛といろいろな物語です。
話の進みようによってはえっちい方面に行ってしまうかも……です。
ぎゃくに、ぐろい方面に行ってしまうかも……です。
でも、あくまでかも、なんです。
基本姿勢はコメディーです。
だから、安心してください。
では、駄文散文失礼しました!
ご愛読感謝!
では、また次回!