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復習を誓う時
目が覚めたら頭がスッキリしていた。
釘に打たれたような響く痛みがなくなっていた。
目も良くなってる。
なんでだっけ?
っていうか、なんでこんな所で寝てるんだっけ?
草が生い茂る森にいる。
限りなく続く闇の中、僕は1人だ。
暗闇の中、聞こえてくるのは虫の声だけ。
1人寂しい僕を照らしてくれる月の光。
「帰ろう。家に」
心配してるだろうな。
……心配?
僕を心配してくれる人?
お母さん?お父さん?
あれ?
分かんない。
記憶がない。
それに気づくのに時間はかからなかった。
誰だよ。
どこに行けばいいんだよ。
僕は誰なんだよ。
教えてくれ。
誰か……。
僕は暗い森の中で泣きながらうずくまった。
もう虫の声は聞こえなくなった。
気がつくと月は太陽に変わっていた。