小説 第一冊 まえがき
まえがき
我々の住む地球とは、まったく環境の違う異世界。
そこは天動説で昇って沈む太陽が、どこまでもフラットな地上に生命エネルギーを降り注ぎ、一年が四百八十七日で季節が入れ替わる。
地球の歴史で言う、中世の半ばごろの文明が長く続くこの世界には、人間が誕生するよりずっと昔 ─── 神龍が地上を統べた時代から魔法使いが魔法を使い、人間以外にも獣人や巨人といった亜人、そして聖霊やドワーフ、魔族までもが存在した。
地上の中央に大きな大陸がいくつかあり、最も大きな大陸の北部にある王国は、魔族の大軍に襲われるという、ヒトの歴史始まって以来かつてない災厄に見舞われたが、教会が軍を繰り出すなど必死の抵抗によって魔王を滅し、なんとか平和を取り戻す。
しかしその傷跡は大きく、失われたかけがえのないものや、新たに生じる問題も決して少なくない。
だがもちろん、どんな厳しい時代でも朝になれば太陽が昇り、新しい命は芽生えるのだ。
そんな王都へ、魔王を討伐した急襲隊が凱旋した日から、この物語は始まる。
3/14から公開の予定ですが、諸般の事情で本日より本編でない部分から、公開します。