第八話「驚愕!坂崎のスーパーサーフィン!!」
こんにちは、オロボ46です。
今回は「とつ市」のお話です。
ちょっと早めの海を(坂崎が)堪能します!
それでは、どうぞ!
どこまでも続く海。
その地平線を少女は見つめていた。
「アノ向コウニハ、何ガアルンダロウ・・・・・・」
ありがちなセリフだが、純粋なセリフを呟いている少女が
着ている物は言うまでもないだろう。
「行ッテミタイナ・・・・・・」
そう呟いた時、大きな波が来た。
その波に一人の老人が立ち向かった。
「いいいいいっやっふううううう!!!!」
老人は喜びを叫びながら波に乗っていた。
「ほうううう・・・・・・ひゃっはああ!!!!」
老人は波に乗りながら様々なトリックを決めていく。
(坂崎サン、楽シソウ・・・・・・)
少し雰囲気を壊されながらも、
これはこれでありかなと思う化け物の少女だった。
化け物の少女がいるのは「とつ市」のビーチの近くにある岬だった。
ビーチの方は人々で溢れていた。
海で泳ぐ者、肌を真っ暗に焼く者、ナンパをする者、
目隠しをしてスイカを割ろうとする者、
他の者に砂をかけられる者、
それに近づいていく目隠ししてスイカを割ろうとしている者・・・・・・
坂崎と化け物の少女がここを訪れたのが事の発端だった。
「スゴイ・・・・・・人ガイッパイ・・・・・・」
ビーチの道路を横切った少女はその様子を見て立ち止まった。
「海か・・・・・・」
坂崎が呟いた時、大きめの波が来ていた。
その時、少女がふと見ると坂崎の手が震えていた。
「坂崎サン、ドウシタノ?」
「いかん、禁断症状が・・・・・・」
「キンダンショウジョウ?」
「海がわしを呼んでおる・・・・・・あの波に乗れと・・・・・・」
「?」
「わしがサーフィンを始めたのは高校生の時じゃ。
あれ以来、一年に一度は波に乗らないと生きていけない体になったのじゃ。
すまん!もう我慢できん!あの岬で待っているか観光でもするんじゃ!!」
そう言って坂崎はビーチに向かって猛ダッシュして行った。
それから二時間過ぎていた。
坂崎は老人とは思えない体力でサーフィンを楽しんでいる。
「坂崎サン、疲レナイノカナ・・・・・・」
そう思いつつ、お気に入りのぬいぐるみを抱えて海を見続けていた。
一時間後、
「坂崎サン、マダヤッテル・・・・・・」
さらに一時間後、
「海見テイルノ・・・・・・飽キテキタナ・・・・・・」
もう察してきたが一時間後、
「アレ、コンナニ人少ナカッタッケ・・・・・・」
そして辺りが薄暗くなってきた一時間後、
「・・・・・・観光シニイコウ。」
計六時間海を見続けた末、化け物の少女が振り返った時だった。
男が二人、こちらに向かって来ている。
一人はぽっちゃりとした背の低い男で、
もう一人は背が高く、謎の機械を持っていた。
機械を持った背の高い男は少女の前に近づき、話かけた。
「私たちの言葉を理解できるか?」
少女は頷いた。
「お前の名前はなんだ?なぜここにいる?」
「ア、エット・・・・・・アル人ヲ待ッテイルンダケドナカナカ来ナクテ・・・・・・」
「・・・・・・名前は?」
「ナ、名前・・・・・・?」
「名前はなんて言うんだ?」
「・・・・・・」
化け物の少女には、名前がなかった。
この姿になる前は名前はあっただろうが、もう思い出せないでいるし、
坂崎にさえ「お嬢さん」としか呼ばれていない。
「・・・・・・わかった。」
男はもう一人と相談してから答え、スマホをとりだしつつきだした。
「エット・・・・・・アナタ達ハ?」
「もう心配しなくていいぜ、
君はちゃんと自我を持っているってわかったから、命を取る・・・・・・」
「命ヲトル!?」
「いや、そういう意味じゃなく・・・・・・」
男の言葉を無視して少女は慌てて逃げ出した。
「ふう、もう満足だ。」
坂崎は青春の汗をかいてビーチの砂浜を歩いていた。
その顔は、青年のように爽やかだった。
その時、ふとこちらに走ってくる人影があった。
化け物の少女が二人の男に追われている。
その追いかけている男たちの服装を見て、
坂崎は険しい老人の顔に戻った。
(あいつらは・・・・・・警視庁化け物処理係・・・・・・!!)
警視庁化け物処理係・・・・・・
それは自我をなくし人間を襲うようになった化け物に対抗して設立された
化け物討伐の専門家だ。
なぜ彼らが自我を持っている化け物の少女を追いかけるのかはわからない。
だが、捕まると何をされるのかわからない。
「坂崎サン!!」
少女が近づいてくる。
「しゃがむんじゃ!!」
坂崎はバックパックから白い玉のような物をとりだし、男たちにめがけて投げた。
白い玉は砂浜に当たると、煙幕のように煙が男たちを包んだ。
「けほっけほっ・・・・・・」
「これは・・・・・・けほっ・・・・・・煙幕か・・・・・・?
けほっ・・・・・・あははははははははははははははははははははははははははははは!!」
「おい相棒!どうしたんだあははははははははははははははははははははははは!!」
男達が二人腹を抱えて笑っている。
「笑い玉じゃ。すまないがちょっと30分ほど笑い続けてくれないかのう。」
そう言って化け物の少女を連れてビーチを去った。
「ふう、ふう、ここまでくれば、ふう、大丈夫、ふう、じゃろう、ふう。」
坂崎は息を切らして言った。
サーフィンしている時ほどの体力は残っていなかった。
「デモコレカラドウスルノ?」
「仕方ないからもうこの町から去ろう。
今なら電車にも間に合うじゃろう。」
坂崎はそう言って駅へ向かおうとした。
「チョットマッテ!ソノ姿デイクノ?」
少女は坂崎の海パン姿を見て言った。
「ぜえ、ぜえ、ぜえ・・・・・・」
男たちは海岸で真っ白に燃え尽きていた。
もう笑い玉の効果は切れていた。
「あのじいさん、何者だったんだ?」
ぽっちゃり男が先に口を開いた。
「・・・・・・俺が知っているとでも言うのか?」
背の高い男が言葉を返して、
しばらくの沈黙のうちにまたぽっちゃり男が口を開いた。
「はあ・・・・・・また始末書か・・・・・・
命取るつもりはないって言ったけどな・・・・・・」
「仕方ないだろう。とりあえず帰るしか・・・・・・」
その時、背の高い男のスマホが鳴った。
「こちら警視庁化け物処理係の・・・・・・なに!?・・・・・・わかった。
今二人でそっちにむかう。」
そう言って電話を切った。
「どうしたんだ?相棒。」
「駅で様子のおかしい化け物が発見された。
今から処理に向かうぞ。」
「まさかさっきの・・・・・・」
「安心しろ、特徴が全然違う。」
「そうか、よし、さっさと終わらしてしまおうぜ!相棒!」
「ああ、そうだな。名誉挽回だ。」
二人の化け物処理係は駅へと向かった。
一方、坂崎と化け物の少女も駅に向かっているのは
この小説が二話完結であることからお察しできるであろう。
いかがでしたか?
一応坂崎さんは人間です。
決して化け物ではございません。
次回もお楽しみに!




