表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【化け物バックパッカー旧作版】  作者: オロボ46
第一部「日本編」心の旅
6/24

第六話「コインランドリーと透明な虫」

こんにちは、オロボ46です。

今回は「せす市」のお話で・・・・・・うっ

雨が「せす市」の路上に降り注いだのは、夕方に近いころだった。


突然の雨にも慌てず、傘をさす者もいれば、

慌てて雨具を着けるのに手間取る者、

傘や雨具を忘れて屋根の下で途方にくれる者、

そして、そのまま雨の中を走っていく者・・・・・・


その中で、坂崎という老人と怪しいローブを着ている化け物の少女が

雨の中走っているというのは皆さん予測済みであろう。


二人は、近場のコインランドリーへと急いでいた。




「ふう、ふう、まさかいきなり降りだすとは思えんわい。

まあ、いい運動になったからいいかのう・・・・・・」


坂崎は背中の黄色いバックパックからタオルを取りだし、

濡れた髪を拭いていた。


「周リノヒトノヨウニ

傘ガアッタラヨカッタンダケド・・・・・・」


化け物の少女が周りに聞こえないように呟くと、


「ん?傘か?

それならちょっと待ちなさい」


そう言って坂崎はバックパックからあるものを取り出した。


「折り畳み傘じゃ。閉じるとこんなにコンパクトになるから、

こんな急な雨にも・・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


しばらく沈黙が続いたのは言うまでもないだろう。




二人が雨宿りに訪れたコインランドリーは他にも人がいた。


二人と同じく雨宿りに来た者もいれば、


洗濯機の前でじっと待っている者もいた。


「服も濡れたし、ここで乾かそうかのう・・・・・・

そういえば、お嬢さんの"それ"もいつか洗わないといけないのう・・・・・・」


「エッ、デモココジャア・・・・・・」


少女は周りの人々を見ていった。


もしここでローブを脱げば、黒い皮膚と頭に生えた触角が見えてしまう。


その時のコインランドリー内の人々の状況は容易に想像できるだろう。


「まあ、また別の機会じゃな」


坂崎がそう呟くと、少女は突然立ち上がり、辺りを見渡した。


「・・・・・・どうしたんじゃ?」


「チョット動ゴカナイデ」


そういって少女は坂崎の頬に指をそっと近づけた。


そして、そのまま指を引っ込めた。


坂崎の頬に何かがいて、それが離れていったかのような反応だった。


「何かついていたのかのう?」


「・・・・・・ウウン、何デモナイ」


実際はいた。


少女の周りに透明な昆虫が飛んでいて、さっきまで坂崎の頬に止まっていたのである。


少女はそれを見ることができていたのだった。


坂崎は少女の心を詠み、その事実をしった。




坂崎の服が完全に乾いたのは、雨が止んでからのことだった。


なお、この時坂崎はすでに替えの服に着替えて化け物の少女と共に

町の観光に出ていた。


その子供たちにあったのは、

二人がコインランドリーに戻ってきた時だった。




コインランドリーの前で3人の小学生ぐらいの子供たちが集まっていた。


一人はまさにガキ大将と行った感じだった。


そのそばにいるもう一人はそのとりまきといった感じだ。


そして三人目はのんびりしていてどこか抜けていそうな少年・・・・・・


有名なマンガを想像していただくと分かりやすいだろう。


坂崎が乾燥させた服を取り出している間、

化け物の少女はぬいぐるみを抱いて少年たちの話を聞いていた。


「おい、お前も肝試しにいくよな?」


「ええ・・・・・・めんどくさいよ・・・・・・」


「何ィ!?俺様の誘いを断るだとォ!!」


「お前のくせに生意気だぞ!」


少女はこの光景に少し微笑ましく思った。


その時、さっき見た虫が少年たちを横切った。




「ふう、今日は疲れたのう・・・・・・」


ビジネスホテルの部屋の中で坂崎は腰を下ろした。


化け物の少女とは一緒ではなかった。


さすがにチェックインすることはできないからだ。


「さて、コーヒーでも・・・・・・」


そう言ってバックパックに手を入れた。


「・・・・・・ない」


坂崎は腰を上げた。




路地裏で寝ていた化け物の少女は人の話声で目覚めた。


まだ夜空は真っ暗だった。


「・・・・・・見つかった!?」


「いいえ、見つかりません・・・・・・」


二人とも女性のようだった。


「どうかしましたかな?」


聞き覚えのある声が聞こえた。


「あの、すみません。この子を見ませんでしたか?」


少女はこっそり隙間から覗いた。


坂崎と女性二人がいて、女性の内の一人が坂崎に写真を見せていた。


その写真に写っていた少年に、少女は見覚えがあった。


(坂崎サンガ服ヲ乾カシテイタトキノ・・・・・・!!)


その時、少女の前にあの透明な虫が現れた。


その透明な虫は少女に語りかけた。


「オイデ・・・・・・オイデ・・・・・・」


甘く、そして懐かしい声に少女は頭がボーッとしてきた。




「おーい、大丈夫かのう」


坂崎の声で化け物の少女は気がついた。


「アレ・・・・・・ココハ・・・・・・?」


少女は辺りを見渡した。


どうやらここは雑木林の道の真ん中のようだった。


「どうやら、虫さんに呼ばれたようじゃのう・・・・・・」


「エ?ソレジャア坂崎サンモ!?」


「いや、わしはお嬢さんを追いかけただけじゃ。

コーヒーを買いに行ってたところで主婦の方々の話を聞いていたら、

いきなりお嬢さんが走っていくのが見えたからのう」


少女はまた心を詠まれたなと思った。


「どうやら、あの子供たちもあそこに入っていったかもしれん。」


坂崎は道の先を指さした。


そこには、今にも崩れそうな廃墟が見えていた・・・・・


やはり、「せす市」のお話はもう少しだけ続くようだ。

・・・・・・ッハ!!

そっ、それではどうぞ・・・・・・、

て、もう終わっているし・・・・・・

なんか自分も誘われていたような気がするな・・・・・・


というわざとらしい演技をしたところで、

いかがでしたか?

次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ