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【化け物バックパッカー旧作版】  作者: オロボ46
第一部「日本編」心の旅
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第三話「迷猫マルとその真相」

こんにちは。オロボ46です。

今回でうあ市の話はおしまいです。

迷猫マルにまつわるエピソード、そしてその真実とは・・・・・・!?

それでは、どうぞ。

「いやあ~ありがとう。

おかげで泥棒を捕まえることができたよ~」


「イヤ、ワタシ何モシテナイケド・・・・・・」


化け物の少女は路地裏で、

大きくて頭が中年男性の顔がついているムカデの化け物と会話していた。


そばにはすっかり気を失った男が倒れている。


「しかし君、ローブで姿を隠すなんて、考えたなあ」


「コレ、アル人ニモラッタモノダケド・・・・・・」


「まあとりあえず、話をしないかい?

話す相手がいなかったからさあ。」


「・・・・・・」




「すみません、ご馳走になって・・・・・・」


「大丈夫じゃ。遠慮せずに食べてくだされ」


坂崎は昼間世話になった女性と共に公園の近くのファミレスで食事をしていた。


話から察するに、坂崎のおごりだ。


外は暗くなりはじめていたが、

公園のシンボルである「迷猫マル」の銅像はまだ見えていた。


料理を食べる坂崎はふと女性を見た。


女性は窓の外を見つめて、

料理はほとんど手をだしてなかった。


「・・・・・・あの銅像に何か思い出があるのですかな?」


「・・・・・・」


「あ・・・・・・すまなかったのう・・・・・・

こんなこと聞いてしまって・・・・・・」


「い、いいえ、大丈夫です。

ちょっと昔の事を思い出しちゃって・・・・・・」


そう言って、女性はこの店の看板商品の「バニラスパゲッティ」を食べ始めた。


(最近の若者は変わったものを食べるのう。)


そういって坂崎は再び「ほうじ茶スパゲッティ」を食べ始めた。




「コンビニの近くか・・・・・・以外と近所だったねえ」


化け物の少女は気を失った男を置いて

路地裏の奥でムカデの化け物との話を続けていた。


(オモイッキリ坂崎サン待タセテイルヨウナ・・・・・・)


少女は坂崎の事を心配していた。


坂崎が「ほうじ茶スパゲッティ」を食べていることももちろん知らないであろう。


「そういえばさあ、君、ここの観光をしているんだろう?

ここの近くの『迷猫マル』の銅像は見たかい?」


ムカデの化け物は話を進めた。


「銅像ナラ見タ・・・・・・ソノ後ハグレチャッタケド」


「それならその猫、実際していたのは知っているかい?」


「エッ!?実際シテタノ!?」


「もちろん、その猫『マル』がある騒動を起こして

あの銅像ができた訳なんだけど、聞くかい?」


あの銅像に何か面白いエピソードがあるかもしれない。


少女は期待し、うなずいた。


ところで、さっきまで気を失っていた男が気を取り戻し、

逃げるように走り去った事に二人は気がついたのだろうか。




「迷猫マルは・・・・・・私の命の恩人なんです」


「バニラスパゲッティ」を食べ終わった女性は、坂崎に向かって語り始めた。


「私が小さいころ、初めてこの町に家族で観光に来たときに

迷子になったことがあります。

それであの公園に流れ着いて泣きそうになった時、一匹の猫がいました。

その子は私に寄り添って顔をなめてくれたんです。

私は元気が出ました。それでその子と一緒に両親を探そうと決めました。

その猫と一緒に町のあちこちを探しました。

そして川を渡るとき、私は過って川に落ちてしまった時、

その猫は助けを呼びに行ってくれたんです。

大人の人たちに助けられて一命をとりとめました。

その後、騒ぎを聞きつけてやって来た家族にも会えました。

翌日、帰る時にその猫の飼い主と会いました。

その人がその猫の名前を教えてくれました。

その猫の名前は『マル』。あだ名は『迷猫マル』・・・・・・

あの銅像が建ったのはそれから数週間後のことでした・・・・・・。」




「ソンナ話ガアッタナンテ・・・・・・」


化け物の少女は内心しんみりとして話を聞いていた。


「まあ、ここまでならいい話だけどさあ、

うん・・・・・・本当の事を聞くかい?」


(本当ノコト?)少女は聞こうか迷ったが、聞くことにした。


「そのマルがねえ、とんでもない方向音痴でねえ、

そのくせ、いつもどっかにいっちゃうから

よく近所に迷惑かけるんだ」


「ソレジャアソノ女ノ子ニ会ッタノハ・・・・・・」


「迷子のついでだったんだよ。

それで、女の子が川に落ちたときに助けた大人なんだけど・・・・・・

実際はマルに焼き魚を盗まれて追いかけたらその女の子を見つけたらしいんだ。

有名なフレーズが女の子を救ったわけだなあ」


「・・・・・・」


「まあフォローすると、別に魚の匂いがしたんじゃなくて、

女の子を助けるためだったと思えば・・・・・・」


「・・・・・・魚ノ匂イダッタンダ・・・・・・」


「・・・・・・」


魚の匂いと言わずに普通に女の子を助けるためと

言ったほうがよかったと後悔するムカデの化け物であった。




「マルの飼い主さんは、優しそうな人だったんです。」


坂崎は女性と共に夜の公園を歩いていた。


「長いコートを着ていたからムカデのおじさんと呼んでいました。

結局1日しか会えなかったのですが、

またいつかマルとムカデのおじさんに会えるかもしれないと思って

休日はよくこの町にくるんです」


坂崎は女性の話を聞いていた。


(本当のことは胸の中にしまっておくかのう。)


坂崎もこの話の真相を知っていたのだった。


「あの、おじいさん、ありがとうございました。

あの時隣にいた人に会えるといいですね」


「ああ、もうその心配はなさそうじゃ」


坂崎は、公園の奥からローブを着た人影がこっちに来ているのが見えた。


「それじゃあおじいさん、よい旅を」


女性は微笑んで言って、去っていった。


「坂崎サン・・・・・・」


化け物の少女はムカデの化け物に道を教えてもらって来ることができた。


「・・・・・・あっはっはっは!!

どうやら、話の真相をしったらしいのう。」


坂崎は少女の心を詠んで、笑った。




それから数日後、

うあ市の警察署にて


「あの、このまえ自首してきた男の言っていたことって本当ですかね?」


「さあな。しかし、化け物病の患者かと思ったが、

調べても見つからなかったからなあ・・・・・・

だんだん信用がなくなってきたんだよなあ。」


結局、その後のムカデの化け物を見た者はいなかった。


しかし、化け物の少女はもうすでに坂崎と共にうあ市を去っていた。


そうとは知らないひったくりの男は留置場でこう叫んでいるだろう。


「ちゃんと調べてもくれえ!!俺は見たんだ!!この町に化け物がいるんだよ!!」


ひとまず、うあ市のお話はこれでおしまい。

いかがでしたか?

ひったくりの男が少しかわいそうですが、

次回はいよいよ次の町に向かいます。

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